「あの時の商談がうまくいっていたら」
「あの時こういっていたら決まったのに」
「俺ってなんで勝負弱いんだろう」
「なかなか強く言えないんだよな」
説得力は人生を左右する大きな武器です。私はずっと営業をやってきて、説得力を嫌でも磨ける環境に身を置き続けたおかげで、嫁とも結婚し、行きたい会社にも入社し、そして今では自分で会社を立ち上げ、採用したい人思った人は全員採用できている、そんな人生を歩めています(まぁ、説得力というよりも周りの人に恵まれている説が濃厚ですが笑)
ただ「説得力」は自分を救うのは事実です。一方で営業パーソンに限らず
「説得力がなくて辛い」
「説得力を身につけたい」
と思い、投げていている人はたくさんいます。そこで今日は「説得力」をテーマに考えていきたいと思います。
説得力の本来の意味
そもそも説得力とは人を騙すため、欺くためにある力ではありません。
相手にこちらの提案や意見をしっかりと理解してもらい、認めてもらい、行動に移してもらうことがゴールです。
つまり、説得力とは
- こちらの意見や提案を理解してもらう
- こちらの意見や提案に納得してもらう
- こちらの意見や提案を受け入れて、行動してもらう
という3つのステップがあるということです。
説得力は口先のテクニックではない
説得力を高めるためには、5つのステップがあります。
説得力を高めるためには何を話すかだけではなく、やるべきことがたくさんあります。
- 相手理解
- 事前情報調整
- 環境整備
- コミュニケーション・プレゼン
- フォローアップ
1つずつ見ていきます。
説得力アップのステップ1:相手理解
何を話すか、どう話すか、これを決めるのは営業ではなく、相手です。
ロジックで話すのが好きな人、ノリと勢いでいきている人、警戒心が強い人など、相手のタイプを理解すること
こちらが提案をしようとしている内容の緊急度・重要度
話をする相手に決定権があるかどうか、など事前に把握しているか否かで説得の成果は大きく変わります。
説得がしづらい人の特徴としては下記があります。
- プライドが高い
- 心配性過ぎる
- 攻撃的
- 権威主義
- 知的水準・情報感度が高い
- 人の目を気にしない
そして、このような人たちが起こす行動パターンはこのようなものがあります。
- 極端な言葉を使う人
- 反対の意見が出ると怒る
- 同じことを何回も確認してくる
- 何回も伝えているのに聞く耳を持たない
まず極端な言葉とは「最高・最悪」「絶対」「間違いない」「全員・誰でも」など、決めつけてしまう言葉や全ての人に意見を押し付けてしまう言葉です。こういった言葉を使うことが多い人は、それ以上思考が広がることが少ないため、新しい提案を受け入れづらい人と言えます。
また反対意見が出ると感情的に怒る人や心配性で同じことを何度も確認する人も説得に応じることは少なく、結局同じやり方や考えに戻ることが多いです。
また、コーネル大学の研究では、4回やり取りして相手を説得できなかった場合、相手が意見を変える可能性はほぼないことがわかっています。
説得を成功させる1つの方法として、説得して意味がある=意見や考え、行動が変わる可能性がある人にアプローチをすることも大切な要素の1つです。
説得力アップのステップ2:事前情報調整
相手が営業に対して持っている事前情報は「会社」「商品」「営業自身」に対して、何かしらの”印象”を持っています。
説得力を高めるためには、実際に説得をする前からポジティブな印象を持ってもらえるアプローチを事前に行なっていく必要があります。
会社や商品であれば、テレビやWebでCM配信をしたり、電車などの中吊り広告を出すことで、目に触れたり、耳にした回数が増え、単純接触効果が機能し、ポジティブな印象を持ってもらえたり、Webページで商材情報をしっかりと見せておくことも大切です。
事実下記のような調査結果も発表されています。
2012年にシリウス・ディシジョンが発表した調査データは多くの人に衝撃を与えた。それは、情報収集、比較検討、意思決定といった購買プロセスのうち、前半の67%は営業担当者が接触する前に終わっているというものだった。また、2015年のフォレスターのレポートによると、B2Bバイヤーの75%は営業担当者から買うよりも、ウェブサイトで買うほうが便利だと考えている。
つまり商談やプレゼンの前に商材や会社についてのリサーチがほぼ終わっていることがあるということです。
引用:顧客の行動が変わり、ビジネスも変わった 『THE MODEL』で語られる新しいプロセスとは | マーケジン
この図は非常にわかりやすいですね。意思決定に必要な情報が営業から聞くから、ネットで自分で調べるという割合が圧倒的に増えたということです。だからこそ、相手が事前にどんな印象や情報を持っているかを確認し、必要があれば他の情報提供を行う必要があるということです。
また営業を行う自分自身の印象コントロールも必要です。権威性を高めることで、営業自身への期待値が高まったり、話の聞き方が変わってくるために、事前に自分が何者か、アピールできるものがあれば先に伝えておくことも一手です。
説得力アップのステップ3:環境整備
続いて行うべきは環境整備です。
人は気分が良い時に寛大になり、人からの提案を受け入れやすくなるという傾向があります。つまり、人が気分が良い環境を作ることが大切です。
環境を整える方法としては
- 場所の選定
- 時間帯の設定
- 同行者の選定
などがあります。
場所については、個人コンサルタントがホテルのラウンジなどで食事をしながらクロージングを行うのは、まさにこの気分を高める狙いがあります。
また時間帯については後ほど詳しくお伝えしますが、人は食事中もしくは食後満足感を覚え、幸福感を感じます。このような時間帯も狙い目です。
最後に同行者の選定です。非常に安易なアプローチですが、効果的なのが美人・イケメンを連れていくこと、もしくは権威ある人を連れていくことで、その人が一言も発さなくても効果があります。
説得力アップのステップ4:コミュニケーション・プレゼン
相手の理解、事前情報・環境整備が終われば、いよいよここから具体的な説得が始まります。具体的にはこれから詳しくお伝えしていきます。
説得力アップのステップ5:フォローアップ
そして最後がフォローアップです。話して終わり、プレゼンで終わりにしていては二流です。
プレゼンや提案後、営業にできることはフォローアップです。商談やプレゼンの場では聞けなかったことや、商談後考えたら出てきた不安点などをしっかりとフォローして解消することが大切です。
説得力のある話し方
では実際に商談やプレゼンで話す際、説得力を高めるために意識すべきことを整理していきます。
正しく伝える
説得力のある人というと口が上手い人、盛って話すのが上手い人、相手をその気にさせるのが上手い人と思いがちです。
しかし、説得力の大前提は物事を正しく伝えることが大前提です。
「正しく伝える」とは嘘、偽り、私情・感情なく、ありのままの事実をしっかりと伝えること、つまり事実を相手に理解してもらうということです。
そのために必要なポイントは4つあります。
・嘘・偽りなく伝える
・私情を挟まずに伝える(事実を歪めない)
・相手が誤解しないように伝える
・印象をコントロールさせずに伝える
これらを意識して話すことが大事です。
偏らずに伝える
情報を操作していると思われたら、当然その人の意見・提案を信用してもらえなくなります。
自分的には偏った意見を伝えていないつもりでも、どちらか片方の意見によっていては相手も反対の側面を調べなければと思ってしまいます。その典型例が「メリット・デメリット」です。どんな話にも良い面もあれば悪い面もあります。その天秤にかけて人は判断をするので、メリット・デメリットは両方伝えておくべきです。またメリットとリスクを伝えることも説得力をあげる効果があります。
人は”うまい話”は好きでも、うますぎる話は警戒するものです。
この良い面と悪い面の両方を伝える話法を両面提示と言います(良い面だけを伝えるのは片面提示)。
両面提示を行うときのポイントは
- デメリットから先に伝える
- メリットとデメリットの割合は2:8
- デメリットは相手のことを心配する内容で伝える
- メリットは相手がこうなれるという変化を伝える
- デメリットの解決策も提示する
ある心理学の実験で、どのコミュニケーションスタイルを選びたいかという実験を行ったそうです。
- 終始褒める
- 終始否定する
- 最初に褒めて、最後に否定する
- 最初に否定して、最後に褒める
圧倒的に選ばれたのが4の「最初に否定し、最後に褒める」というコミュニケーションスタイルです。人は「親近効果」と呼ばれる早退する意見を聞いたとき、最後に聞いた意見の方が印象に残りやすいという特徴があります。また、先に期待値をあげすぎてしまうと、デメリットを聞いたときの反動が大きくなるというリスクもあります(これをコントラスト効果と言います)。
またデメリットを伝えすぎると、デメリットを強調することになってしまい、結局何を相手に伝えたいのかがわからなくなってしまいます。
あくまでデメリットを伝えるのは、メリットの説得力を高めるためです。ですが、デメリットを当て馬的にとりあえず伝えても効果は薄いです。デメリットはしっかりと相手を心配していることを伝え、メリットはデメリットを補うだけの魅力があることを、そしてデメリット・リスクの解決策があることを伝えることが大事です。
注)片面提示法が効果的なケースもある
片面提示法とはメリットもしくはデメリットだけを伝える話法です。
営業では自分の提案を受けて入れてもらうという側面ばかりを考えがちですが、すでに検討中もしくは実施中のものを辞めてもらうことも必要な場面があります。その際はデメリットを伝え、行動を止める必要があります。
片面提示は比較材料や検討材料を与えるというよりも、自分の言葉を信じてもらう時に使う話法です。
片面提示が効果的な状況
まとめると相手がリスクやデメリットに対して鈍感なケースです。
- 相手がすでに提案に魅力を感じてる
- 提案内容に相手にとってのリスクがない
- 相手が行動派ですぐにやりたい人
- 相手からの共感や賛同をすでに受けている
- 関係がすでにできている
- 提案内容が相手の考え方や思いに則している
- 相手が持っている情報が著しく少ないかつ情報収集の手段がない(オススメはしません)
このようなケースでは「デメリットへの検討」がしっかりとされずに、すぐに相手が動いてくれる可能性があります。
これは相手にとっては不利益を与えるという見方も当然ありますが、一方で人は情報や選択肢が多すぎて決断できないということもあるため、相手の背中を押すためにメリットしか伝えないという方法もあるということです。
両面提示が効果的な状況
両面提示が効果的な場面は片面提示の逆です。
- 相手が提案に対する知識を持っている
- 相手が他の選択肢も検討をしている
- 提案への信頼は薄い(警戒している)
- 相手との信頼関係がない・築ききれていない
- 相手の価値観や考え、これまでの行動とは異なる提案
- 相手にとって前例のない提案
- 相手が疑り深い
つまり、この状況は相手が「警戒心」を抱いている場面です。警戒されていれば、こちらがどんなに良い提案をしても「自分(営業)にとって都合の良い話しかしていない」と思われて終わりです。
そうならないためにメリットトデメリット・メリットとリスクという両面を伝えることが重要になります。
ただ注意点はデメリットの伝え方です。人は最後に聞いた情報が印象に残りやすい親近効果という心理があり、さらに悪い話を先に聞くことで良い印象が伝わりづらくなるコントラスト効果があります。
つまり、最初にも最後にもデメリットは伝えてはいけないということです。ではどうするか、メリット→デメリット→メリットの順番で伝えることが大切です。
AISASに基づいた使い分け
また購買行動に合わせた使い分けもあります。
つまり人が購入を検討する状況に合わせて提示の仕方を使い分けるということです。
ユーザーの購買行動は、「Attention(注意)→ Interest(関心)→ Search(検索)→ Action(購買)→ Share(情報共有) 」と言われています。AIDMAやAIDAなども購買行動の流れですが、ネットが普及し「検索」と「共有」が一般化され、電通がこのような流れを発表しています。
そしてもっと簡単に言えば、感情→思考→行動の順で人は動きます。
感情:Attention(注意)・Interest(関心)
思考:Search(検索)
行動:Action(購買)
この時に感情・行動の状況では片面提示をすることで、まずは興味を持ってもらうチャンスが生まれます、興味を持っていない相手にデメリットを伝えても逆効果です。
そして、興味を持ってくれた相手に対しては具体的に検討できるようにデメリットや競合他社との比較情報を伝え、しっかりと検討してもらえる状況を作ります。
最後行動の場面で営業ができることは「背中を押してあげること」です。そこでは「デメリットがあるけど」と言われても人は悩むだけです。なので、メリットを再度伝えて背中を押してあげてください。
信頼されている
そもそもどんなに正しく伝えていても、その人自身が信頼されていなければ前に進むことはできません。
信頼されるためには、まずは自分がどう映るかを客観的に見直す必要があります。
メラビアンの法則をご存知でしょうか。人がコミュニケーションを取る時に相手から受け取る情報の重要度を比率で表したもので、「7-38-55のルール」とも言われいる学説です。人の情報は視覚情報から受ける影響が1番大きいとされています。つまり、自分の身だしなみを整えることはとても重要なのです。
▼メラビアンの法則について詳しくはこちら!
営業は第一印象が大切。重要性を学ぶメラビアンの法則とは?
また視覚情報として商談時に入ってくる情報は営業個人の身だしなみだけではありません。営業資料や名刺もあれば、商談場所も大きく影響します。個人のコンサルタントは、クロージング時の商談を高級ホテルのラウンジで実施することが多いそうです。その理由は自分がすごいコンサルタントだと思いやすくさせるためです。
堂々と伝える
先ほどメラビアンの法則を紹介しました。
そこで考えてみて欲しいのはこの2人の営業マンがいたときに、全く同じを話をしていたらどちらをあなたは信じますか?
自信満々に話すAさん
どこか頼りなさげでボソボソ話すBさん
これだけの情報であればほとんどの人がAさんと答えると思います。話す内容は同じでも、話し手の雰囲気や話し方で説得力は大きく変わってきてしまうのです。自信を持ってしっかりと話すことが大切です。
営業が相手から自信を持っているように魅せるためには
- 相手の目を見て話す
- 大きな声で話す
- 手や足などをもぞもぞ動かさない
- 背筋を伸ばす
- 身だしなみを整える
何か特別なことをするよりも、当たり前のことをしっかりとやることが大事です。是非自分の話し方は動画に撮影してチェックしてみてください。
信頼できる情報を伝える
説得力を高めるためには、今の自分をどう魅せるかももちろん大事ですが、外部の情報からの影響も大きいです。
- 上場などの実績がある
- 有名人や著名人と繋がりがある
- 相手の知り合いと関係がある
- 大学教授など有識者と関係がある
- 表彰などの実績がある
- 数字で自慢できる実績がある
- お客様からの声や感想がある
など、自分がどう見られるかは、これまでの自分や会社の取り組みや実績からも印象が変わってきてしまうのです。
これはちょっと残念な話ですが、「上場企業の〜〜です」と「ベンチャー企業の〜〜です」と自己紹介をしたとき、どちらを信頼するかをアンケートを取れば、他の要素が全く同じだったら上場企業の方が信頼されます。これは過去の積み重ねがある分仕方がないことです。
話すスピードを変える
話すスピードは実は早口の方が説得力が高いという研究結果があります。
心理学者のマクラクランのが行なった研究で、CMのスピードを変えることによる反応の違いを調査したのです。その結果の概要はこちらです。
- 語り手のスピードを25%上げたとき、よく理解できたと評価された
- 語り手のスピードを25%上げたとき、誠実・面白いという声まで上がった
さらに同様の調査を行なったモーア博士の研究では話すスピードを1.3倍にするまでは評価が上がり、それ以上になると評価が下がるということがわかっています。
また、別の研究では心理学者のパックウッドが「成功している能力の高いカウンセラーの成功はなにが要因なのか?」を調査しました。そして、成功しているカウンセラーの共通点が「早口」だったのです。ゆっくり話すことで相手に考える時間を与えるという意見もありますが、問題解決や悩んでいる人に考える時間を与えるよりも、まずはしっかりと自分の話を聞くことに集中してもらう必要があるということです。
またスラスラとスムーズに話すことで、話し手への信頼感や権威が増す効果も期待できます。
ただここではあくまで自分の意見をしっかりと聞いて欲しい時、また否定的な考えを盛っている相手に対してです。すでに賛同している、自分の意見をしっかりと聞いてくれている相手には、まくしたてるような話し方よりも自分の意見や提案について考えながら聞いてもらう方が効果的な場合もあり、そのときはゆっくり話します。
ポジティブな言葉を投げかける
「このままじゃ痩せない」
「こうしたら痩せる」
あなただったらどっちらの方が行動する気になりますか?
基本的に営業が提案をする商品・サービスは「現状のネガティブ状態の脱却」です。つまり、ポジティブな状態を手に入れることを提案しているわけです。
「このままじゃ痩せない」というのはネガティブな表現で、これを提案に変えるということは「”このままじゃ痩せない”ではダメなのでうちの商材を使ってください」というネガティブ表現の否定、二重否定することによって、自社の商品価値を伝えています。
一方で「こうしたら痩せる」というメッセージは、シンプルに「うちの商材は良い」というメッセージにもなっているため、相手としては提案を受け入れやすい言葉になります。
相手をポジティブにさせている
「気分一致効果」という理論があります。
これは気分が良い時は物事のプラスの側面が目に入りやすくなり、逆に気分が悪い時はマイナス面ばかりに目がいくという傾向です。つまり、気が沈んでいる時は、マイナス面ばかりに目がいってしまうため、なかなか提案を受け入れるのが難しいということです。
さらにネガティブな気分は自己焦点的注意(self-focused attention)になりがちです。自己焦点的注意とは自己に対する注意が高まった状態、つまり「自分に興味が向く」状態になっています。このような状況下で、何か新しいことにチャレンジすることは難しいです。
営業の提案は「ポジティブな変化」を受け入れるということです。しかし、問題意識が自分に向いていたり、マイナス側面ばかりが気になる状態では、変化を受け入れること自体が難しくなってしまうのです。人間にはそもそもホメオタシスという恒常性があり、変化を好まない生き物なので、この点は要注意です。
話しすぎない
情報過多は相手の思考を止めます。話を聞くことで精一杯になってしまい、決断をするというところまで思考が及ばなくなってしまうのです。
そこで1つ是非活用いただきたいのが「マジカルナンバー」という考え方です。これは人間が短期記憶で記憶できる情報の数を表したものですが、その答えは「3±1」と言われています。
話したいこと、言いたことはたくさんあっても、相手が覚えられなければ意味がありません。記憶に残る提案をするために、数を絞ることも意識しましょう。
提案内容をラベリングしている
ラベリングとは、話をする・提案をする前にその内容について見出しをつけることです。
いきなりダラダラと話をされても相手の印象には残りません。提案を受け入れてもらうためには記憶してもらう必要があり、記憶させるためにもこのラベリングが重要です。
ラベリングで重要なポイントは「短い言葉でインパクトを残すこと」です。
これはキャッチコピーの考え方を大事にすると良いです。
キャッチコピーを作るコツは
- ターゲットを絞る(誰宛のメッセージかを明確にする)
- 数字や具体的な話を入れる
- ベネフィット(得られる価値や変化)を伝える
- 簡単であることを伝える
- もっと聞きたいという気持ちを作る(好奇心や矛盾)
- ノウハウを伝える(〜〜のコツ、〜〜の法則など)
また短い言葉にする狙いは相手にしっかりと認識をしてもらうためです。Yahoo!ニュースのトピックは必ず13文字以内になっています。これは人間がパッと見たとき、一度に認識できる文字数が13文字が上限だからです。考え方はこれと同じです。
相手と同じ言葉を使う
人が1番耳慣れている、聞きやすい、受け入れやすい言葉は、普段自分が使っている言葉です。普段使わない専門用語でツラツラ話されても相手からすれば、よくわからないし、勘弁して欲しいと思うのは必然です。説得する前に、相手の耳に届く言葉を使わなければいけません。
相手と違う言葉を使う
矛盾しているじゃないかと思うかもしれませんが、そうではありません。説得を行うタイミングはある程度関係構築ができているタイミングが多いはずです。この関係構築がしっかりとできており、改めて相手に強く意識して欲しいタイミングでは、あえて相手と違った単語を使うことで、相手により真剣に考えてもらえる確率が上がります。
質問に答える時は一瞬間を開ける
営業をしていればお客様から質問が来ることは当然多いですよね。
その時に慌てて回答していると、その人の説得力は落ちていきます。
慌てて回答することによって、「この質問は相手にとって都合が悪い」「慌てているということは何かを誤魔化そうとしている」と勝手に勘ぐられてしまうからです。
間を開けて回答をすることで
- しっかりと質問を聞いて答えてくれている(ように見える)
- 発言・会話に余裕がある(ように見える)
- 自信を持っている(ように見える)
- 頼り甲斐がある(ように見える)
- 落ち着いている(ように見える)
という相手にとってポジティブな印象を与えることができるのです。
相手に合わせる
ちょっと汚い例で恐縮ですが、「今どうしてもトイレ行きたい人」に営業をかけると考えてみてください。
そんな時に丁寧にヒアリングをして、「うちのトイレを使うべき理由」を丁寧にプレゼンをしますか?
多分その人は他のトイレを探すことになると思います。
人の意思決定はその人の考え方や意思決定の方法、さらにはその状況に応じて意思決定のスピードや優先事項は変わります。相手に合わせた説得をしなければ当然説得力は落ちます。
話す順番を意識する
相手を説得する、特にビジネスの商談の場ではながながと起承転結で話している時間も、相手の聞く態勢もできていないことが多いです。そこで話す順場で意識することは「結論から話す」ということです。
有名どころはPREP法。
- Point:結論
- Reason:理由
- Example:事例
- Point:まとめ(結論)
話をする時にはまず面白さよりもわかりやすさ、記憶への残りやすさが大事です。「なんか面白かったけど、よくわからなかった」はビジネスではNGです。まずはわかりやすさと覚えやすさ、この2つのを意識しましょう。
▼ビジネスで使われる話す順番は色々パターンがあります
伝え方を飛躍的に向上させる絶対に外せない5つのポイントと7つのフレームワーク
イメージができる
人は自分がどうなるかわからないもの、想像できないものにはチャレンジしません。これは物を買うことも同じです。
ではどうすればイメージできるのか。ポイントは「例え話」と「事例」です。
どんなに雄弁に饒舌に機能やメリットを伝えても、相手はイメージできません。しかし、ストーリーがあり、Before/Afterの見える話には相手も食いつき、かつ想像しながら話を聞くことができます。
ピクチャートークを活用する
落語は言葉だけで笑いを取る、コミュニケーションとして非常に秀でた能力が必要な場です。
落語がなぜ今尚愛され、笑いを生み出し続けているかというと、鮮明に相手の頭に言葉だけをイメージを作らせているからです。
落語家の「そばをすする」音って聞いたことはありますか?
https://www.tbsradio.jp/167690
上のページでは「蕎麦をすする音」と「実際に蕎麦を食べる」で比較をしています。笑
ここから何を言いたいかというと、音を使って伝えることで映像化させているのです。商談時にそばをすする音をやることはないと思いますが(笑)、会話の中で「雨が”ざぁー”と降ってきた」「このツールを使うと”ガラッ”と今の作業がなくなります」というように、形容詞や音や情景を伝える言葉を混ぜることで相手にその絵を想像させているわけです。
根拠や裏付けもしくは実績がある
どんなに素晴らしい話でもその話を鵜呑みにしてくれる人は少ないです。
ましてや営業=売り込む人と思われていることも多く、自分の話をいかに信じてもらうかは、これまでの積み重ねや他人の声を活用します。
そこで伝えるべきは「根拠」「裏付け」「実績」です。
根拠
提案している内容が実現できる根拠です。根拠とは「正当性を支える事実」です。
つまり、相手に提案している内容が必要な事実を伝えることが求められます。ここではデータを用いたり、専門家の声を用いるなど、「自分はこう思う」ではなく、事実やデータもしくはそれを肯定している専門家の声を活用します。
裏付け
裏付けとは証拠や保証です。営業の提案で”確実”や”絶対”ということはありえませんが、それに近い証拠を示すことが求められます。統計データや調査・アンケートなどを行なったり、調べたりすることで、提案内容の証拠を作ります。
実績
実績には定量的実績と定性的実績があります。
定量的な実績とは数字で示せるものです。利用者・ユーザー数や顧客満足度調査の結果、リピート数やリピート率など、数字で示せるものです。数字では「量」と「率」があります。
定性的な実績とは「お客様の声」です。誰からどんな感想やコメントをもらっているか、これが大事になります。また、このお客様の声の中で有名企業や上場企業、有名人、権威のある人が使っているとさらに効果的です。
根拠・裏付け・実績がない場合の対処法
新サービスでこれらの情報やデータがない場合もあると思います。そういった時は提案する側が事前にシミュレーションを行い、そのシミュレートした内容を伝えるようにしましょう。
コミュニケーション手段を使い分けている
伝えるツールによっても相手の印象はガラッと変わります。
最も説得力のあるコミュニケーション手段は今も昔も対面です。しかし、全てを対面でやっていたらコミュニケーションコストが跳ね上がってしまったり、時には相手にとってストレスになってしまうケースもあります。
今はコミュニケーション手段は対面以外にも「電話」「メール」「SNS」「チャット」「Fax」「手紙」など色々な手段があります。大事なことは自分の想いや考えが1番伝わる方法が何かを考えることです。
多角的に検証している
1つの物事や事実を単一の側面で捉えるのではなく、多角的に捉え、様々な可能性や見方を持っているからこそ、説得力のある話ができます。漠然と我流の話を押し並べても、相手は納得できません。様々な可能性・選択肢の上で、しっかりと伝えてくれるから、相手は信頼して受け入れることができるのです。
自分の意見を伝えている
説得力を高めたいと考えている人が陥る罠が客観的に相手にとって良い理由を探したり、有名人や学者、ニュースなどから必要性を訴えられる情報元を探して、一生懸命伝えようとしている人がいます。
この行為自体は決して悪いことではないのですが、そもそもあなたはどう思っているのか?を明確に伝えていない営業が多すぎます。説得をするためには「私はこう思う」という自分の意見を明示することが大切です。
リスクを背負っている
エンゼルバンクという漫画の一節でこんなシーンがあります。
画像引用:『エンゼルバンク ドラゴン桜外伝』第4巻 キャリア34 | 「説得力」がない人に欠けている”2つ”の要素とは?ーーマンガ『エンゼルバンク』に学ぶビジネス
私の好きな漫画の1つなのですが、ここで
説得力ってね……
リスクを背負うことさ
という言葉があります。説得をする時、どちらの言葉を信じますか?
「〜だと思います」というAさん
「〜です」というBさん
しっかりと言い切る=言葉に責任を持っているということです。この言葉に責任を持つ=リスクを背負うことが相手からの信頼や納得を産んでくれるということです。
クロージングテクニック
説得力を高め、相手の行動を引き出すテクニックは心理学の様々な研究でも明らかになっています。
強制的承諾法
人は本心とは真逆の行動を取ってしまっても、後から自分を納得させるために自分の行動を正当化しようとします。
この理由は「認知的不協和」が影響しています。認知的不協和とは、自分の持っている価値観と矛盾する・相反する新しい事柄に出会った際に不快感を抱える人間心理です。
認知的不協和は事実や行動を変えられない場合、自分自身を守るために、理由や考えを歪めさせます。
すっぱい葡萄の理論:不快な結果の重要性を、不当に低くして納得する
甘いレモンの理論:不快な結果の評価を、不当に高くして納得する
つまり人間は納得したい生き物であるということです。
実際に研究でもこれらは証明されており、下記のことがわかっています。
- 報酬や罰が小さいと自分の言動を正当化できない(「報酬や罰が大きいからやった」と言えない)ので、認知的不協和が大きくなり、納得するために態度を変えやすくなる
- 承諾した、自分が選んだ言動が自分にとって重要なものであるほど不協和も大きくなり、承諾した立場に対して態度変容が起こりやすくなる
ではこの結果をクロージングでどう使っていくかということですが、まずは使ってみるという状況を作ってみるということです。
まず使ってみる状況を作るには無料もしくは格安で最初使えるようにするケースがあります。ただここで勘違いしてはいけないのは、申し込みを無料でも格安でもさせればOKなのではなく、ちゃんと使ってもらえるフォローが不可欠です。無料もしくは格安で利用開始の場合、相手の優先順位が上がってこないケースが多々あります。
自分に置き換えるとイメージしやすいと思いますが、「これだけのお金を払ったんだから無駄にできない」と高額のものを購入した際は行動に移りやすいですが、安いものの場合はこういったモチベーションが生まれないため、営業がサポートしてしっかりと使ってもらうことが重要です。
そして使っていく中で自分が必要と思っていないものを使っているという状況に人間は矛盾、認知的不協和を感じるため、最終的に必要性を感じるようになっていくという流れが作れるということです。
集団への同調
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」
この言葉を聞いたことはありませんか?人間は人と同じだと安心するという心理を持っています。間違っている、変だと思ったけど、みんながやっているのであればそれが正しいと考えてしまう思考です。
同調思考が強まると、「グループシンク」の1つである「リスキーシフト」が生まれます。
グループシンクとは集団思考・集団浅慮と呼ばれるものです。集団で合議を行う場合に不合理あるいは危険な意思決定が容認されることを言います。集団の意思決定において、合意形成することが目的になっていたり、空気を読んで周りに合わせることを優先してしまうことで、正しい意思決定を行う能力が逆に失われることを指します。
「三人寄れば文殊の知恵」ということわざがありますが、これは1人よりも複数人で考えた方が良いアイデアや結論が出るというものですが、そうじゃないこともあるというのがグループシンクです。
さらに「リスキーシフト」とは、グループシンクの中でより危険性が高い事項を決定してしまうことを指します。普段は真面目でおとなしい人でも、大人数の中ではメンバーが極端な言動(明らかに間違っていても(例:いじめなど)を行なっても、そこに同調したり、一緒になって行動を起こしてしまうのはまさにこれです。
つまり、集団の論理というのはそれだけ影響力が大きく、また人の思考を止めて意思決定を促すだけの力があるということです。とどのつまり、人間は自分が決めたことに対して安心したい生き物ものであり、その安心の拠り所を自分以外のその他大勢がいるというところに持っていきたいということです。
この心理を営業で、説得で活用するには、多くの人が使っているというエビデンスを相手に示すことが効果的ということです。また、これは実際に担当者が上長に説明するときも「1000社使っているので大丈夫です」と言える内容にもなり得ます。つまり、自分が納得しやすい、かつ上長や周りにも説明しやすい情報が「大勢の人が使っている」という内容ということです。
規範的影響
人が動きやすい、つまり説得されやすいものの1つに「ルール」「模範」があります。
正しいか否かに関係なく、昔の日本は「家を買う」ことが当たり前でした。それは「夢のマイホーム」という謳い文句から、サラリーマンは稼いでローンを組んで、自分の家を持つことが理想の家庭像として謳われてきたらからです。
ルールや規範というのは言い換えれば「〜〜らしくすること」です。
- 男らしく・女らしく
- 社長らしく
- 営業らしく
- 若者らしく など
これを批判的な言葉に変えれば「〜〜なんだから」という言葉になります。
「男なんだからしっかりしろ」「若いんだからもっと〜〜しろ」とかはまさにこれです。
つまり、人間は「〜〜すべき」「〜〜であるべき」という思想や考えを持っています。この「〜〜すべき」「〜〜であるべき」というメッセージと自分の提案している内容が合致し、相手が理解してくれればそれだけ相手の行動を引き出しやすくなります。
最近の事例で言えば、採用マーケットは「ナビサイトでの採用はやめるべき」という風潮があります。そこで「ナビサイトでの採用はやめて、もっと学生個々とコミュニケーションをとるべき。なのでうちの採用イベントで学生と深いコミュニケーションをとりましょう」という提案が増えています。
限定性
人は手に入るはずのものが手に入らない、という状況を避けたい欲求を持っています。
欲求は基本的には「何かを得たい」もしくは「苦痛や損失を避けたい」という2つしかありません。そして、このうち行動を起こしやすい欲求は「苦痛や損失を避けたい」という欲求で、損失回避の法則と呼びます。つまり、人が1番行動を起こしやすいのは苦痛を避けて快楽を得るという提案です。
限定性を活用することで、得られるものが得られない=苦痛が生まれ、行動がすぐに起こしやすくなります。限定には種類があります。
- 数量の限定
- 期間の限定
- 場所の限定
- 対象の限定
限定性の効果を高めるには「理由をつけること」です。
- 数量限定の場合:サポートをしっかりと行いため、ご提供させていただく人数には制限させていただきます
- 期間限定の場合:今回は申し込みが殺到する可能性があるため、募集期間を今日からの3日間だけにさせていただきます
- 場所限定の場合:何かあった時にすぐに駆けつけてサポートするためには、心苦しいのですが東京在住の方のみと今回はさせていただきます
- 対象限定の場合:このサービスをご利用いただくには、過去に〜〜をやったことがある方に限らせていただきます。そうではないと、このサービスの価値を十分に感じていただけないためです
このように数を限定し、さらに限定する理由をつけることで”今動くべき理由”をこちらで準備してあげるわけです。
希少性
希少価値という言葉あるように、数が限られるものに人は価値を感じる傾向があります。
数が限られる=手に入れることができる人が少ないということです。いつでもどこでも手に入るというメッセージをたまに目にしますが、これは「今買わなくても良い」というメッセージになりうるということです。
たまに「在庫切れ」「売り切れ」とあえて見せているサービスがあります。これは買い手側にとって希少性を示す1つの方法です。売り切れ=たくさん売れていて、また販売されたらすぐに買わないと購入できないと思ってもらうことで、商材の気承知価値を高めているわけです。
有言実行
有言実行は美徳とされることが多いですが、実はクロージングにおいても強い効果を持っています。
具体的には相手に目標や希望を言葉にしてもらう、つまり話をしてもらうことが説得力を上げるということです。
人は自分で決めたことや立場や考えを明確にすると、最後まで一貫性を持った態度・行動をとりたい一貫性の原理が働きます。つまり、一度コミットすることでそれを守ろうとする心理が人間にはあるということです。
期待明示
ピグマリオン効果をご存知でしょうか。これは教育心理学の心理的行動の1つ。教師・先生の期待によって学習者の成績が向上することを言います。つまり、人は他者から期待されることによって成績が向上する現象です。
これを説得力アップに活用するには、自分が相手に期待していることを伝えることが効果的です。
- 御社はもっとポテンシャルがあるはずです
- 御社はもっと上のポジションにいるべきです!
- ○○さんにはもっとこうなってほしい!
- ○○さんにはもっとできるでしょ!
そのためのお手伝いをさせてください!と伝えることで、相手の行動が起こりやすくなるわけです。人間は期待された通りに成果を出す傾向がある、この効果を利用してみてください。
徹底ヒアリング
人が動くのは強制された時ではなく、自分で決めた時です。
まして営業と顧客の関係で考えれば、営業がクロージングするために相手の行動を強制することは難しい、というより無理ですよね。つまり、強制という力技が使えない以上、相手からの自発的な行動を引き出すしか営業の選択肢はありません。営業は自発的な行動を引き出すためのコミュニケーションが必要になります。
ただ自発的な行動が営業にとっては受注につながることがベストなため、相手を自分にとっても利があるように(自分にしか利がないクロージングは詐欺と一緒です)誘導していくことが時には必要になります。
そこで重要なことがヒアリングです。まずヒアリングで大切なことは十分に話を相手にしてもらうことです。
人は人の言葉よりも自分で言った言葉に納得します。そして、先ほどお話した一貫性の法則が働き、より一層その態度を強めていきます。人は自分の言葉で説得され、自分の言葉で納得し、行動を変えたり継続したりするということです。まして、営業という警戒している相手からの言葉が行動を強要するような言葉であれば、営業への不信感が募るだけです。
だからこそ、相手が自分の行動を変えることが必要と感じてもらうための質問を重ねながら、たくさん話してもらうことが大事になります。質問の例としては下記があります。
課題を見つける質問
- 今が100点満点中100点の状態ですか?
- あえて1つ挙げるとすれば、どこを変えたらもっと便利になると思います?
- ぶっちゃけ、今の状態ってどうですか?
- これができたらもっと楽になるのに!と思うことってなんかありますか?
問題を明確にする質問
- 今まで解決できなかった理由って何ですか?
- これって何で今まで放置されていたんですか?
必要性を高める質問
- これができたら、○○さんは楽になります?
- これができたら、周囲の人も喜んでくれますよね?
- これができたら、具体的にどうなります?
根回し
人は直接人から聞いた話よりも第三者から間接的に聞いた話の方を信じるという心理があります。これをウィンザー効果と呼ぶます。ウィンザー効果が発揮される理由は「利害関係のない相手」の言葉だからです。
例えば営業が「〜〜さんに○○がおすすめです」という言葉はどうしても営業自身の利益につながっていると思われてしまいます。これが大学時代の友人から「俺、○○を使ってるんだけど、お前も使ってみたら」と勧められると受け入れやすくなるという心理です。
この第三者からのメッセージを意図的に作ることが説得力を上げる1つの方法です。ただこれは一朝一夕で作ることは難しいため、アプローチ相手の周りの人にも働きかけをすることが大切です。
私が実際にやっていたのは大企業に派遣の営業をしていた時の話です。東京支店は開拓ができていて、その支店内でシェアトップまでのし上がったのですが、本社の開拓が進まずにいた時です。その際に東京支店長に本社の担当者を紹介してもらいたいとお願いしたところ、打ち合わせ当日に受注をもらえたという経験があります。
とことん粘る
賛否両論あるのはわかった上で一応あげておきます。
これは字の通り、良い返事がもらえるまでとにかく粘ることです。一昔前では「受注をいただけるまで帰りません」的なことを実際にやっている営業がいました。相手の印象は別として、結果として受注になっているケースも多々あります。
これには2つの側面があります。
ポジティブな側面は、そこまで頑張って粘ってくれるのであれば、これは良い商品で私にとって必要に違いないと、お客様が解釈をしてくれるケース。ネガティブな側面は、本当にしつこいから契約しないと本当に帰らなくて面倒だからやる、というケースです。
当然ポジティブな印象を持ってもらう必要があるため、粘る時は”相手のため”という姿勢は崩さないようにしましょう。
また粘る方法は1回の商談を引っ張るだけでなく、回数を重ねるという方法もあります。断られても何度もアプローチを重ねることで単純接触効果も重なり、関係も良化され説得力が増します。
共通の敵作り
人は「共通の敵」を作ることで団結を強め、安心感を得る傾向があります。
説得力を高めるにはメッセージの強さよりも関係性の方が影響は大きいです。そこで関係を強化するための方法の1つが共通の敵を作ることなのです。実際に同一人物ではなくても、「うちの上司が」「うちの社長」がお互いが話すだけでも十分効果があります。
フット・イン・ザ・ドア
説得では有名なテクニックの1つです。これは人は一度小さな要請や依頼に応じると、次の大きな要請や依頼も応じやすくなる傾向を利用したテクニックです。段階的要請法とも呼ば、小さな頼みごとを承諾させてから、徐々に大きな頼みごとを承諾させていくといった手法です。
小さなYesを重ねていくと私はよく言っていますが、これらが効果的な理由はいくつかあります。
- 小さなYesや依頼を受けることで、相手との関係が親密になる
- 関係が深くなることで、説得される側は説得する側の依頼や要望に応えたいと思うようになる
- 一度商談をすることで類似した要請や依頼を断る理由がなくなる
ただフット・イン・ザ・ドアには弱点があります。それは最初の小さな依頼を断られたら営業としては次に出せる選択肢がないということです。ハードルが低いところからお願いをするため、それ以上のことは一度断られてしまうと身動きが取れなくなります。
ドア・イン・ザ・フェイス
フット・イン・ザ・ドアの逆がドア・イン・ザ・フェイスです。譲歩的要請法と呼ばれます。
大きな要請をして拒否させ、次に小さな要請を出すテクニックです。最初の要請・依頼を断らせそれを受け入れることで、返報性の原理が機能し、相手からすると次の依頼は応えなきゃいけないという心理が生まれます。さらに小さな要請にすることで、大きな要請とのギャップが生まれて、最終的に依頼したい内容のハードルが低く見えるわけです。
わかりやすい例で言えば、「100万円の受注をください」と言って断られた後に「じゃあ、今回は10万円から始めてみましょう」と伝えることで、受注率が上がるというものです。
ここで意識して欲しいのは、「10万円安い!」と思わせることではなく、100万円から90万円も勉強してくれる(=やすくしてくれる)なら私も真剣に考えよう、購入しようと思ってもらうことです。
結局どっちが良いのと悩んだら、相手との信頼関係を考えてみてください。
いきなり大きな要求をして「何なの?」と思われない関係、信頼関係が成り立つのであればドア・イン・ザ・フェイスが効果的です。信頼関係がない場合であれば、小さな依頼やYesをもらうフット・イン・ザ・ドアが良いですね。
ザッツ・ノット・オール・テクニック
ザッツ・ノット・オール・テクニックはドア・イン・ザ・フェイスの相手の返答を待たずにこちらから提案レベル・依頼レベルを下げる提案です。
ドア・イン・ザ・フェイスは
100万円でこの車が変えます
100万円は無理です
じゃあ、80万円でお願いします
という、相手の拒否や断りを受けてからの提案です。
ザッツ・ノット・オール・テクニックは
100万円でこの車が変えます
(心の中)悩ましいな。どうしようかな
今回は特別にカーナビも無料でつけます!
というように相手の反応を待たずに、依頼を受けやすい状況を提案する方法です。
依頼が受けやすい状況とは
- 値引き
- おまけ・特典の付加
などがあります。
ザッツ・ノット・オール・テクニックはコントラスト効果、つまり最初と最後の比較で”お得”と思ってもらうことが狙いです。先ほどの例で見れば100万円で
最初:車
最後:車+カーナビ
つまり、最初は100万円で車1台だったのがカーナビがつくことでお得感を得られるということです。テレビショッピングなどでは、「今回に限り〜〜をつけます」というトークはまさにこれです。テレビは一方的な発信のため、下記のような流れの話になります。
<テレビショッピングのザッツ・ノット・オール・テクニック>
普通に買うとこの金額→今回は特別○○円→さらに期間限定でもっとお安くこの金額→さらにこれ(特典)もつけちゃいます!
ローボール・テクニック
外堀を固めていく提案手法です。言い方は悪いですが、ローボールテクニックとは、最初は相手が受け入れやすい提案を行い、徐々に相手にとって都合の悪い不利な条件を突きつける手法です。
例えば洋服屋。「店内30%オフです」という声がけで入って、実際に手に取ったものが「値引き対象外」になっていたものの、もう手に取って試着もして、お店の人に買いますと言っているので、レジで「これはセール対象外です」と言われても、「まぁいいか」と断りづらくさせて、結局買ってしまうというようなものです。
はじめに相手が承諾しやすい好条件を出し、徐々に相手にとって不利な条件を突きつけたり、元々の受け入れやすい提案をなかったものにする提案のため、相手からすれば都合の悪い条件を知らないまま話が進むために反感を買いやすいテクニックです。
恐怖アピール
字の通りですが、相手の恐怖心を煽って行動を引き出す説得術です。
「〜〜をしないと大変なことになる」
「〜〜をやらないと損をする」
など、相手が抱えている課題やコンプレックスを煽ることで、行動を引き出すことです。
この恐怖アピールの効果が高めるには下記を強調すると説得力が増します。
- 相手にとってより深刻な悩みや問題
- 問題が起こる確率が高い
結論提示タイミングの使い分け
営業側の意見・結論を出すタイミングで相手の印象がガラッと変わることがあります。
結論をこちらから伝えることで「押し付け感」を感じる人もいれば、ズバッと言ってくれて嬉しいと思う人もいます。一方で結論を相手に出させることで、相手に考えるタイミングを与えられる一方で、営業自身が自分の言葉に責任を持っていないと思われるリスクもあります。
これは明示的説得と暗示的説得と言われる違いです。
明示的説得が効果的な状況
相手が悩んでいたり、人に相談することが多かったり、知識・情報が少ない人にとっては明示的説得は効果的と言われています。ただ伝え方を間違えると押し付けになってしまうので、その点は要注意です。
人は心理的リアクタンスという心理があります。親から「宿題をしなさい」と言われたらやる気が無くなるのが、まさにこれです。
暗示的説得が効果的な状況
明示的説得とは逆で、自分で考えて結論を出したい人、情報を持っている人にはこちらから「こうすべき」「これが良い」という情報は逆効果になるケースが多いです。これは先にご紹介した心理的リアクタンスが起こるからです。
ただ営業として自分の発言にはリスクを取るべきです。その方が相手も真剣に検討してくれます。なので、このような相手の場合には「私個人としては〜〜がオススメですが、ぜひ最後は○○さんに決めていただきたいです!」とあくまでさいしゅう意思決定者は相手にあることを伝えることが効果的です。
説得タイミング
人は気分が良い時は相手の要求を受け入れやすくなる傾向があります。
その1つで言われているのがランチョン・テクニックです。これは食事をしながら商談を行うという方法です。人が幸福や気分が良いと感じやすいタイミングが食後と言われています。なので、昼食後のタイミングで商談を設定したり、ランチョン・テクニックを活用するなど、クロージングのタイミングを使い分けることで説得力をあげることができるわけです。
大きな商談や取引が飲み会やゴルフなどプライベートと仕事の境目がない形で進むのも、こういった理由があります。
選択肢限定法
テレアポなどでもよく使われるテクニックです。
「来週ご都合の良い日はございますか?」と聞くのではなく、「来週月曜日午後と火曜日の午後、どちらがご都合よろしいですか?」と聞くことで相手の選択肢を減らし、相手に断る選択肢をなくす方法です。
ご都合良い日はございますか?と聞くことで
- 来週1週間全てが選択肢(午前午後と分ければ、午前午後(2パターン)×7日間で14個の選択肢
- 都合が良くないという選択肢
合計15個の選択肢があり、かつ「断る選択肢」が残っています。
しかし、「来週月曜日午後と火曜日の午後、どちらがご都合よろしいですか?」と聞くことで
- 月曜日午後
- 火曜日午後
の2つのみが選択肢となり、かつ「断る選択肢」をなくすことに成功しています。こうすることで、こちらの依頼・要望に答えてくれる確率が上がる説得術です。
極端性回避の法則(松竹梅理論)
人は3つの選択肢があったら真ん中を選びやすいという人間心理を活用した説得術です。
説得とは論破ではない、コミュニケーションの1つに過ぎない
説得について色々と考え、理論にも触れてきました。
ただ最後にこれだけは覚えておいて欲しいことがあります。
それは説得とは論破することでも、自分の都合よく相手を動かすことでもなく、コミュニケーションの1手段ということです。
説得で1番大事なことはテクニックでも、話す内容でもなく、相手のために真剣に考え、伝え続ける気持ちだと思います。そのための方法の1つとして、テクニックがあるということをぜひ覚えておいてくださいね!
▼YouTubeでも発信しています。
他にも有益な情報発信を続けておりますので、見てくださいね。
提案力がある営業とは? – YouTube
【営業ノウハウ集】たった1週間で 常に3ヶ月先の売上を確保する営業方法
営業マンとして成長する最も効果的な方法は 「できる営業マンの真似をする」ことです。
しかし、自分の周りを見たときに 素晴らしい営業マンがいなかったり他社の営業マンの良いところを 学んだりできないので営業マンとしての成長が遅れてしまうのです。
あなたが営業としてもっと成果を出したければ
自分だけでやろうとすれば 成果を出すのに、時間が掛かります。
だからこそ、先人の営業を真似ることで 2倍も3倍も成果を早く出すことができます。
成長することもできるのです。
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