オンボーディング
ここ最近、この言葉を目にした、耳にしたという方は多いのではないかと思います。スタートアップやベンチャーでよく使われ、最近は大企業などでも使うようになってきました。また、こういったSNSや広告などのコンテンツ、ウェビナーも増えてきており、その重要性は年々高まってきているように思います。
しかし、個人的には「またカタカナ用語きた」と思っているのも事実です笑
そこで今日はこのオンボーディングをできる限りわかりやすくお伝えしていきいたいと思っています。
オンボーディングとは?
オンボーディングとは新入社員の受け入れ体制の構築を指します。入社後、しっかりと組織に馴染めるように、また成果を出せるように受け入れる体制作りや支援・サポートをしていく施策がオンボーディングです。
そもそもなぜ「オンボーディング」というのかというと、「on-board」から派生した言葉で「船・飛行機に乗っている」という意味から生まれています。つまり会社という船にもう乗っているんだから、早く馴染んで成果を出して欲しいということですね。
もっと言うとちゃんと船に乗せるということと言い換えても良いかもしれません。
オンボーディングは受け入れて終わりではなく、定着と戦力化がゴールです。そしてこれを想起いい実現することが目的となります。
またもう1つ大事なポイントは新入社員=新卒社員ではなく、中途採用した人材も含まれているというのは大事なポイントです。
オンボーディングの目的
オンボーディングの目的は「早期の定着・戦力化の実現」に尽きます。ただこれには時代的背景も影響します。
オンボーディングの目的①採用コストの高騰
就職みらい研究所の就職白書を見てみると、採用コストは増加していることがわかります。
2019年度の新卒採用コスト(1人当たりの平均採用コスト)は93.6万円。2018年度は71.5万円でした。また2019年度の中途採用の採用コストは103.3万円で、こちらも2018年度は83.0万円と採用コストが高くなっていることがわかります。
見方を変えれば採用はどんどん高い買い物になっているという事実です。この高い買い物をしっかりと成果に変えるための取り組みを強化している企業が増えてきたということです。
オンボーディングの目的②副業やフリーランスの登用
また働き方の多様化も急激に進んでいます。働き方の多様化は、会社の働く人の受け入れた方の多様化でもあります。
今までは全て正社員で回していた会社が、フリーランスや時短勤務などの働き方を受け入れることで、会社内でも多様な価値観・考え方が混在するようになりました。
一律的な働き方から多様な働き方になってきたということは、新たに入社した人からすれば「わからない」「複雑」と感じることも多いはずです。そういったサポートや支援が求められるようになってきた事実もあります。
オンボーディングの目的③採用力の強化
育成なのになぜ?と思うかもしれませんが、採用力は求職者・候補者に選ばれる力でもあります。
選ばれるためには、面接官や人事の人的魅力だけじゃなく、組織としても働き手のニーズを満たす必要があります。
ジェイックが行った22卒学生の就活に関するアンケートでは会社を選ぶ基準のトップは「社風」でした。
またリクルートキャリアが行った就職プロセス調査では「自らの成長が期待できる」がトップです。
こういった社風や成長を支援する、しっかりと取り組みをおこなっている会社の注目度が上がるのは必然です。
実際、「オンボーディング」という検索ワードはここ数年高まってきていることもこちらからわかります。wantedlyで「オンボーディング」と検索をしても、これだけの数が出てきました。
オンボーディングの目的④離職防止
繰り返しですが、採用の難易度が高まっているため、せっかく採用した人材が早期に離職・退職しては、組織としてはせっかくの投資が回収できなくなります。また採用だけでなく、そこまでの育成や教育、備品等のコストも結局人が辞めてしまえばリセットされてしまいます。
実際、早期離職について労働政策研究・研修機構がおこなった調査ではこのような結果が出ています。
オンボーディングの目的⑤競争力低下回避
現代は組織としての営業力、事業力が問われる時代です。
営業の分業化を取り入れる会社も増えたり、セールスイネーブルメントなど組織営業力向上を進める会社も増えてきています。しかし、こういった組織の根本を支えるのは人材であり、組織として経験・蓄積したものは当然ながら個人に紐づいていきます。
「属人化の排除」「再現性」はここ最近のビジネスキーワードですが、組織として営業力を上げていくためにも個人のスキルや経験を蓄積していくことは当然ながら大切です。また最近ではSaaS経験者が別のSaaS会社に転職すると言うケースも多く、ナレッジや情報の流出リスクもあり、離職防止における競争力の維持の側面もあります。
オンボーディングって昔はなかったの?
結論はなくはないです。
と言うのも、オンボーディングという言葉をよく耳にするようになったのはここ数年です。
しかし、昔から新入社員研修は多くの会社が行っており、営業においてみれば営業同行やロープレ、また営業大会をやっている会社もあり、様々な側面で人材育成・社員育成の取り組みは行われていたからです。つまり、昔から密度の濃淡はあれど、どこの会社も何かはやっているし、どこの会社も早く即戦力になってほしいとは思っていたはずです。
にも関わらず、最近わざわざ英語にしてオンボーディングというのはなぜなのか。私なりの仮説はこれです。
オンボーディングという理由①ブランディング
まず「社員教育をやっています」というよりも「うちはオンボーディングに力を入れてます」と言われた方が率直にカッコ良いですよね。
また求職者の方々も、この会社はオンボーディングに力を入れているのであればきっと良い会社だと思いやすいです。
オンボーディングという理由②社員意識の向上
続いて、オンボーディングは「即戦力化+定着率向上」が狙いです。
これは入社前のコミュニケーションや入社後1ヶ月〜数ヶ月の研修だけで実現できるものではありません。また人事だけが主導して実現できるものではなく、現場と連携を図りながら取り組まなければいけない問題です。新卒においてはこういった前提が暗黙の了解の中であったと思います。入社したての学生はまだ社会のことがわからない、見えない、知らないから0から教えてあげなければいけないという気持ちが持ちやすいからです。
しかし、オンボーディングにおける新入社員は新卒だけでなく、中途採用者も対象に含まれます。つまり、組織として新入社員を受け入れる意識がより一層求められているということです。
オンボーディングという理由③雇用前提の変更
今まではある意味、流動性の低さがここまで考える必要がなかったとも言えます。社員は入ったら基本的には長期で働く(最長、終身雇用される=する前提だった)ことがベースにあったため、ここまで慌てなくてもよかったと言えます。
しかし、2019年5月日本自動車工業会の会長会見でトヨタ自動車の豊田章男社長はこのように述べて、大きくメディアを賑わせ、SNSも大いに盛り上がったセリフがあります。
雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた
社員を守ることが前提だった会社の働き方・雇用が大きく変わる一石だったと思います。一方で、早期の戦力化は会社・組織としても支援・実現させなければ、働く側からすればメリットがないということにつながります。実際、国内のオンボーディング事例を探してみると、多くはベンチャーやスタートアップのような「終身雇用」を謳っていない会社・前提となっていない会社が多いからです。
しかし、個人の寿命よりも会社の平均寿命のほうが圧倒的に短い時代を考えれば、こう言った取り組みや考え方は当たり前と言えるのかもしれません。
オンボーディングという理由④働き方前提の変更
新型コロナウイルスの影響で働き方はどう変わったのか。
大きな変化の1つはリモートワークです。今までのように隣で働く環境ではなくなったことも、オンボーディングの重要性が高まった要因の1つです。受け入れや定着・即戦力化は、これまでは表現は悪いですが、「当たりの上司に当たれば実現できた」というのは正直あると思います。私も転職経験があるのでわかりますが、上司と相性が良くかつ優秀だったら、どんどん社内の人に自分を紹介してくれたり、引き合わせてくれたりします。一方でハズレ上司だと、業務連絡・相談程度になってしまい、結果的に辞めたくなるというのはよくある話です。
転職サイト比較Plusが行った上司ガチャに関するアンケート調査では、上司ガチャに失敗した経験があると6割が答えています。
この問題をさらに加速させる可能性があるのがリモートワークです。結局働き方が見えない状況では、上司も支援・サポートの仕方を知らず、結果として放置されるというケースが非常に大きいからです。
改めてオンボーディングって何?
今までは終身雇用の話もさせてもらいましたが、「入社したら辞めない」という前提が良く悪くもお互いにあったと感じています。しかし、今は違います。隣の芝生はネットいつでも見れる状態で、転職活動もSNSでできてしまう時代です。入社した当日から辞めることを考えている人がいるこのご時世で「入社したら辞めない」という前提で、社員教育を考えること自体がリスクです。
さらに言えば、マーケットの変化も早く、スピードもどんどん加速しているので、のんびり育てる時間もないということです。じっくり育てたスキルが、発揮してほしい時期には時代遅れのスキルになりかねないリスクがあるからです。
では改めてオンボーディングという名の社員教育は何をすべきなのか。
環境適応力を上げる
私はこのように定義をしています。今までは入社したらすぐには辞めないし、ゆっくり慣れてくれれば良いと割り切れていた部分が、慣れない=自分には合わないと決断速度が早まっているのが昨今です。乱暴な言い方ですが、弊社も転職支援をしていく中で組織に馴染むための努力ができている人は正直少ない印象があります。特に若手層はこの傾向が強いです。一方で、これは人材だけに問題があるのではなく、組織側も馴染む支援をしていないケースも非常に多いです。
つまり、お互い様なんです。
この問題を解決するための意識としてオンボーディングという捉え方は非常に価値があると私は考えています。
環境適応力ってどうすれば上がるのか?
ではオンボーディングの必要性・有用性についてご理解いただいた上で、じゃあどうすれば環境適応力が上がるのかを整理していきたいと思います。
ステップ①環境を知る
そもそも環境とは何かからですが、マッキンゼーの7Sモデルは会社という環境をわかりやすく分類してくれています。
まず適応する前提として、入社する人材がこの自社という環境を正しく理解するための取り組みが不可欠です。実際にリクルートの中途⼊社後活躍調査第2弾では下記のような結果を発表しています。
パフォーマンス発揮者の8割弱は、⼊社前に⼈事とコミュニケーションを図っている。パフォーマンス不⼗分者は、半数弱しか⼈事とのコミュニケーションを実施していないことが判明した。
図ではこのようにまとめてくれています。
またこの調査の中では人事と中途入社者がどんなコミュニケーションを図ったかの記載もあります。
- ⼈事は、その企業で働く社員の話も聞きたいか確認してくれた
- ⼈事は、⼊社を検討する上で⼗分な情報を得たか確認してくれた
- ⼈事は、⼊社後に想定される疑問や不安を解消する情報を、隠すことなく開⽰してくれた
- ⼈事は、その企業やその企業で働くことについて、良いことも悪いことも開⽰してくれた
- ⼈事は、⾃分の転職⽬的について聞いてくれた
- ⼈事は、⾃分が⼊社後どういうキャリアを歩むことになるのかを説明してくれた
- ⼈事は、⼊社後の⾃分に対する期待を説明してくれた
入社前に自分の話を聞いてくれて、働くイメージをしっかりと持たせることができるコミュニケーションがあった=自分がどう言った環境に飛び込むかをイメージできたという状態が大切ということです。
ステップ②環境適応に必要な能力・スキルの提供
同じくリクルートの調査ですが、中途入社後活躍調査第1弾では受け入れ施策の効果が発表されています。
ここで個人的に注目したのが「導入研修」が離職意向度の低減に貢献しているというポイントです。働く上で転職するとまだ会社や組織のルール、働き方、基準がわかりません。このモヤモヤした不安を解消してあげることが重要ということです。
会社・組織が回っているということは、名文化されたルールだけでなく暗黙の了解なるものも少なからず存在します。そして、こういった働いている人にとっての当たり前をまだ知らない新入社員は「何をしたら良いか」の前に「何をしたらいけないのか」という不安があります。この不安を早期に解消してあげる支援が大切ということです。
ステップ③目標・計画の明確化
先ほど「何をしたらいけないのか」を明確にすることが大事とお伝えしました。一方で、働く上で時間が経てば経つほど不安になるのは「自分は本当にこれをやっていて良いのか」という不安です。
そこでやるべきことは「いつまでに」「どんな成果」を期待しているのか、目標と計画を明確にしてあげることです。自分の活動は正解なのか、正しいのか、自分で判断できるようにしてあげることが大切です。意識してほしいことは「期間」とその期間内における「成功の定義」を示してあげることです。
ステップ④アクションの明確化
もう一つ意識しておかなければいけないことは「目標だけ伝えて終わりにしない」ということです。
これから頑張ります!
期待してるよ!まず今月の目標はアポイント30件だ!
わかりました!どうやって進めていけば良いでしょうか?
それは自分で考えてくれたまえ
えっっ???
えっっ???
こうならないように気をつけてください。もちろん本人の自主性や経験を活かしたい、発揮してほしいという気持ちはわかります。しかし、今の会社(転職先)での仕事は初チャレンジであり、元々社内で結果が出ていた方法や取り組んでいたことがあるはずです。その状況をしっかりと伝えてあげてください。
とりあえず好きにやって
ほど、無責任な指示はありません。やることややり方が明確になっていないのであれば、一緒にまずは1ヶ月何をしていくかを一緒に決めることが大切です。
私がコンサルティングで支援させていただく時は「共通言語」と「習慣」がキーワードです。
ステップ⑤定期コミュニケーション
目標や計画、アクションが決まったら、あとやるべきことは定期的に振り返りを行っていくことです。また状況に合わせて、他のメンバーとのコミュニケーション機会を作っていくことが大切です。
ただ大事なことはコミュニケーションの目的をしっかりと持つことです。
よくこ営業のご相談を受けるときに上司の方は部下に何をしていますか?とお聞きするとこんな回答が来ます。
毎週、1on1でMTGをやっています!
定例で進捗共有しているので大丈夫です!
毎日「困っていることある?」って聞いています!
と私はやってますアピールをいただくことがあります。しかし、現場はそれで自分の困っていることや課題を解決できているのかどうか、ということです。
定例で話す機会を設けることが目的になってしまっているケースが非常に多く、会話をしている・やりとりをしているから大丈夫となってしまっているケースが多々あるということです。
社内におけるコミュニケーションの目的を整理すると以下です。
- 報告・連絡:情報の共有・伝達及び把握
- 相談:問題・課題の解決
- 決断:議題における意思決定
- 教育:知識・スキルの伝達
- 交流:人間関係構築
1on1や会議がそもそもどの目的のために行われていて、その達成に貢献したコミュニケーションになっているか、という点は常に意識しなければなりません。また、メンバー・部下にもニーズがあります。「困っていることを助けてほしい」「アイデアのヒントが欲しい」など、メンバーのニーズに上司が答えていなければ、それは上司といえども時間搾取で不満につながるので要注意です。
オンボーディング成功のために必要なこと
不安と疑問を放置しない
と言えます。
不安と疑問を先回りして解決してあげる取り組みがあれば、現場は安心して自分のやるべきことに集中できるはずです。そして、そのために必要なことは「目的目標の設定・共有」「計画の立案と管理」「関係構築」「不必要情報の排除」の4つが重要と考えています。
目的や目標が見えないがために自分の今の取り組みが正しいのか否か不安や疑問が生まれる
計画がないから、もしくは進捗をちゃんと管理していないから今のままで良いのか不安と疑問が生まれる
関係構築ができていないから質問も相談もできずに不安と疑問が生まれる
不必要な情報が溢れているから不安と疑問が生まれる
ということです。迷いは人の行動と決断を鈍らせます。不必要にメンバー、新入社員を「迷わせない」、この気持ちと心配りがオンボーディングの本質だと私は考えています。
オンボーディングについて動画でも解説しました!
https://youtu.be/BV7cdphB7l8
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成長することもできるのです。
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