営業をしていて、決裁者に話をあげてもらうことは、何よりも大切なことです。どんなに良い提案でも、決断を下す人にアプローチができなければ前に進みません。訴求の仕方が上手くないと、仮に目の前の担当者が商談に前向きであったとしても、決裁者からの理解を得られないのではと躊躇してしまい、結果として失注になってしまうというケースも想定されます。
どれだけ目の前の担当者が決裁者である担当者の上司に話しやすい環境を作るのか。これが営業が受注を取るうえで重要な動きと言えるでしょう。
その環境を作るうえで大きな役割を果たすのが、「上申資料」、つまり上司に伝えてもらう際の営業資料です。
この資料の良し悪し=訴求の仕方の良し悪しと言っても過言ではありません。
▼上申してもらうためのアプローチ自体についてはこちらをご参照ください。
決裁権がない人へのアプローチ方法
そこで、今回は決裁権のある上司に話してもらうための営業資料の作り方・ポイントについて解説していきます。
営業における上申資料の訴求の仕方①なぜ営業資料が上申において重要なのか?
この理由は単純明快なものになります。
担当者が話しやすい環境を作るためです。上申の最も大きな壁は、ちゃんと上に話してもらうことと言えるからです。なお、「ちゃんと」という言葉の意味には2つの側面があります。
- 話す機会を「ちゃんと」作ってもらう
→上司に伝えます、と担当者は言っていても話していないことがあります。 - こちらが意図した内容を「ちゃんと」伝えてもらう
→打ち合わせでどんなに丁寧に話をしても、全く同じように伝えてはもらえないものです。
この壁を乗り越えないと、受注には絶対に繋がりません。この2つを乗り越える有効な手段の1つが営業資料なのです。具体的に何を伝えるべきかを整理しておきましょう。
営業における上申資料の訴求の仕方②上司に伝えてもらう営業資料の具体的項目
営業資料で伝えなければいけないポイントは、この6つです。
- 価値
- 機能
- 納品物
- 流れ
- 実績
- 価格
上申をしてもらうためには、この6つがちゃんと記載されているか、伝わる内容になっているかを、しっかりと確認してください。営業ツールを作るとき、自分が伝えたいことばかりを考えていると、ビジョンやミッション、創業の想い、景況感などといったことにばかりに文字数・ページ数が増えていく人がいます。
もちろん、これらを書いてはいけないと言うわけではありません。しかし、決裁者が決断をする時に優先順位が高いかと言うと低い情報です。
決裁者からすれば、
- 自分の課題や困りごとを解決してくれるのか
- 自分たちがお願いできる範囲なのか(予算や納期など)
が一番知りたいことです。
自分の言いたいことがお客様の聞きたいことになっていなければ意味がないのです。そして、お客様が知りたいことは、あなたの商材を使う否か判断できる材料です。
この情報ががなければ、窓口になってくれている担当者の方も上申しづらくなってしまいます。そこで、最初に挙げた6つのポイントが重要なのです。
上申資料の具体的項目①価値
価値とはベネフィットです。あなたの提案から何が得られるのか、このことを伝えましょう。「何ができるか」ではなく、「何が得られるか」が重要です。詳しくは後述しますが、「価格」と混同してはいけません。
上申資料の具体的項目②機能
機能とは「何ができるか」ですが、この考え方で機能を書き出しても、相手には伝わりません。大事なことは、「価値訴求ができる根拠」となっていることです。
上申資料の具体的項目③納品物
上申するにあたって、最後どのような結果や形を納品するか、この点もしっかりと明記しておくことが重要です。結局何をやってくれるの?という言葉は上司から担当者によく使われるセリフです。この点を払拭するために、この納品物をまとめておくことが大切なのです。
上申資料の具体的項目④流れ
納品をするにあたって、どんな作業が必要なのか、何をしなければいけないのか、ここがわからなければ依頼をかけられません。
上申資料の具体的項目⑤実績
営業で最も効果的な情報はお客様の声です。実績やお客様の声は、自分が言っているだけでなく、第三者の声のため、信頼を得やすいのです。実績で示せるものがあれば、是非明記しましょう。
上申資料の具体的項目⑥価格
ここは誤魔化さず、しっかりと伝えましょう。もし営業資料内で記載しない場合でも、見積書などを提出し、しっかりと金額のエビデンスを残しましょう。
営業における上申資料の訴求の仕方③特に重要な価値と価格の違い
6つの項目を上述しましたが、その中でも特に重要であり、意識が必要なポイントは、
- ①価値
- ⑥価格
この2つを混同しないことです。辞書でそれぞれの意味を調べると、
価値=値打ち
価格=値段
と言い換えられています。つまり、価格は絶対的な金額、価値はその人が決める度合いと言えるでしょう。価格に対して、役に立つと感じるかどうかが価値になります。営業においては、”役に立つ”と感じてもらえるかどうか、がまずは重要なポイントです。
価値と価格の違い①価格で決めるお客様はいない
安さが買い物の最終決定、つまりお財布を開くか否かを決める理由になる人はいます。しかし、これは、大前提として、買おうと思っているものに、価値を考えているからです。要らないもの、不要なものは、どんなに安くても要らないはずです。
買い物のきっかけは「安い」からではなく、「欲しい」から始まるということが人の性質として存在します。その上で、「安い」から購入を決めるのです。順番を間違えて伝えては売れません。生活雑貨や食料はもう買うことが決まっているので、値引きから伝えても売れますが、それと同じようにやっても売れないのは、まだ「買うことを決めていない」からです。
あくまで価格は背中を押すための情報であるに過ぎないことを念頭におきましょう。価格と価値を混同してしまうと、例えばこのようなケースが生じます。
どうしようかな……
どうされましたか?
何かいいものがないか探しているんです
今ならこちら2割引きなのでお得ですよ!
そうなんだ(別にこれは欲しくないな。てか、そもそもこれは何に使うんだろう)
最初からお客様が欲しいものであれば、それで売れますが、価値ではなく価格から訴求してしまうと、商材のことを分かってしまう前に、お客様が離れてしまう可能性があります。
価値と価格の違い②営業で伝えるべき価値とは?
価値=ベネフィット=「役に立つものかどうか」です。
このポイントは、お客様自身がそう感じてくれているかどうか、ここが何よりも重要です。他の人がどう思っているかどうかは関係ありません。お客様自身が自分の身の回り、仕事などで有益なものだと思えているかが大切なのです。
そのため、営業で一番に伝えるべきは、「あなたにとっての価値を訴求すること」です。言い換えれば、自社の商材・サービスを使うことで、どんな良い変化が起こるかを伝えてあげることが大事だと言えます。
- どんな変化が起こるのかを伝える
- その変化が目の前のお客様にとってどれだけ有益なものかを伝える
- 実際に有益に感じてもらえるかどうかを確認する
- 有益さを感じていない場合は、しっかりとフォローする
とにかく有益な変化であることを徹底して伝えることが重要なのです。
価値=ベネフィットと上述しました。そしてベネフィット=利益です。この商品を使うことによって、お客様にどんな利益が生ずるのかを伝えていくという点、ぜひ意識いただきたいと思います。
▼ベネフィットを効果的に伝える営業トークについてはこちらで解説しています。是非ご参照ください。
営業トークをより効果的にするベネフィットトークと5つのコツ
営業における上申資料の訴求の仕方④営業資料では伝える順番を間違えない
営業資料に伝えたい内容をまとめても、台無しにしてしまう事件が起きます。
それは、伝える順番を間違えてしまうことです。どんなに良いことが変えてあっても、話の聞き手の気持ちを考えずに言いたいことだけ言ってもダメなのです。話す順番は、「興味を持ってもらう」→「信用してもらう」→「やりたいと思ってもらう」この順番です。
つまり、興味を持つ前からクロージングをしても意味がないのです。相手の気持ちをしっかりと推移させられる営業資料を心がけ、しっかりと上申してもらいましょう!
▼クロージングを行う際のポイントについてはこちらの動画で解説しています。この他にも営業に役立つ情報を発信していますので、是非ご覧下さい!
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