部下とのコミュニケーションが今回のテーマです。
昔は「一緒に喫煙所で会話をする」「飲みにケーション」なんてものもありましたし、私も新卒のころに経験があります。ただ現代ではそういった習慣は減ってきており、部下とのコミュニケーションの取り方に変化が起きているのは事実でしょう。
ただ部下が仕事において成果を出すことができていないとき、基本的には上司のマネジメントやコミュニケーションの仕方に問題があると言わざるを得ません。ちなみに以前研修で伺った企業様で、マネージャーの方からこのような声をお聞きしました。
「うちは部下と定期的に1on1ミーティングをやっているから、コミュニケーションとれているし問題ない」
実際、1on1は多くの企業で行われているという調査結果が出ています。それをうちの企業でもやっているから大丈夫というものです。
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「1on1ミーティング導入の実態調査」を実施/株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
残念ながら、これはちょっと危険な考え方です。「定期的に」とはまずそもそもどのくらいの頻度でしょうか。また、1on1をやっている=コミュニケーションばっちりとは限りません。ミーティングをやっているからといって問題が解決するとは限らないのです。ミーティングはあくまで手段でしかありません。ただ、こういったいわゆる手段と目的が入れ替わってしまっている状態のマネージャーの方は一定数存在します。
どのようなコミュニケーションを上司と部下の間で意識していくべきなのか、これからまとめていきます。お付き合いください!
1on1の目的は何か
1on1。実際取り入れている会社は多くありますが、このミーティングの目的は大きく3つです。ポイントは「このミーティングの会話の先に何があるか?」ということになります。
1on1の目的①現状解決:不安解決や課題解消
1つ目の目的は現状の解決です。部下の方たちは熱心に仕事をされていることと思いますが、それぞれ不安だったり課題はかかえているもの。こういった今抱えている不安や悩みを対話を通して解決策を講じたり、解決できるように支援していくためにはこういったコミュニケーションが必須になります。
1on1の目的②将来展望:今後の展望やキャリア相談
仮にその場の問題が解決できたとしても、いずれ同じような悩みや課題が再び出てくるなら部下が将来に希望を持つことは難しくなります。こういった部分で支援が出来るのが上司が持つ「視座の高さ」のはずです。
- これからの組織の展望や未来
- 個人の将来像
- これからのキャリア形成
こういった部分を共有し、すり合わせておくことも必要になります。
1on1の目的③進捗共有:現在の進捗や手応え確認
現在の進捗を確認し、順調かどうか判断すること。順調でないなら、対策や解決方法を一緒に考え、結論を出すことが3つ目の目的です。目指すべきゴールから逆算して考えることが必要になります。
1on1で部下のモチベーションは上がっているか?
先ほどの「1on1やっているから大丈夫」という話に戻ります。こういったことを行うことは重要ですが、本質は「それで部下のモチベーションは上がっているか?」ということです。せっかく対話をするのにモチベーションが上がらない、下がってしまうような1on1なら意味がありません。
「1on1、めんどくさい」
こういった思いが果たして部下に生まれてしまっていないでしょうか。1on1は効果を発揮することがなければ、ただ時間を奪うだけの行為になってしまいます。この点はぜひ意識していただきたいポイントです。
現代の人は時間を奪われることを嫌う
最近では「Z世代」なんて言葉で形容されたりしますが、近年人間は時間意識が非常に高くなってきています。「タイムパフォーマンス」なんていう言葉も出てきました。
例えば、皆さんはYouTubeの動画を見る際、何倍速で見ているでしょうか。実は標準速度で見るという人は年々少なくなっています。倍速で見る人がいれば、「ながら見」をする人も多いはずです。何か作業を同時並行で行いながら動画を見る人も増え、「作業用」なんて概念が出てくるくらいには、すべてをじっくり集中してみている人が多くない現状があるのです。
「コスパ」ならぬ「タイパ」の視点で考えると、多くの人は少ない時間で、多くの成果をあげることを理想としています。裏を返せば、成果をあげたとしても時間がかかっていれば普通としか評価されず、時間をかけたのに成果が出ないのは最悪とされてしまいがちです。
1on1においてもこの傾向は適用されます。つまり、かけた時間以上の成果が得られなければ、せっかく行ったとしても「無駄である」ということになってしまうのです。こうなると目的が手段化してしまい、意味を成しません。
1on1に必要な視点
1on1を15分やった会社があったとしましょう。この15分がどれだけ成果をあげることにつながるでしょうか。営業組織であれば、どれだけ売り上げにつながったかとも言い換えられるでしょう。ぜひ、この視点を持って1on1に取り組んでいただきたいと思っています。
もちろん明確に測りきることは難しいでしょう。それでも、
- メンバーの売り上げUPに貢献できたか
- 1on1の内容が受注につながったか
こういった視点が1on1には必須になります。ただ「上司っぽいことをする」ために部下の時間を奪わないようにしてください。部下の時間を奪うのであれば、それに伴った支援をしていなければなりません。できていないなら、それは役割の機能不全です。
正しい時間の選択
タイムパフォーマンスを最大化していくためには、時間を削減することに注力するよりも、「正しい時間の選択」を意識する必要があります。タイムパフォーマンスの本質は、以下の3つのポイントに絞ることが可能です。
タイムパフォーマンスの本質①選択と集中
時間は限られています。その中でどれに集中して時間を使うのか。15分、30分、1時間。やる内容によっては1日かかるものかもしれません。それらに時間を使った結果、それに見合う、またそれ以上の成果を出すことができるか。また、それは「適切」といえる時間の使い方だったでしょうか。この視点が1つ目のポイントです。
タイムパフォーマンスの本質②パフォーマンスの最大化
選択と集中した結果として、パフォーマンスを最大化することができたかという視点です。やると決めたことを着実に実行すると同時に、成果を最大化させるために具体的にどういった取り組みを行うか。この点が2つ目です。
タイムパフォーマンスの本質③タイムの最小化
コストの最小化と言い換えることもできます。1つの仕事に15分かけていたとしても、早く終わるならその方が良い。5分で終わるならその方が良いはずです。なんならやらなくて済むならその方が良いわけです。成果を出すための活動を、もっと効率よく、時間をかけずにできる方法はないか。この視点も必要になります。
1on1で意識すべきポイント
ここからは部下とのかかわり方で意識すべき部分についてまとめていきます。
1on1のポイント①介在価値の前に介在理由
介在する理由をまず部下にちゃんと伝えられているか、一度振り返ってみていただきたいポイントです。この1on1に価値があるかどうかを決めるのは上司ではなくメンバーや部下です。まず必要なのは目の前の相手に自分が何をすることができるのかを理解することになります。
「何かやってほしいことある?」
こういった姿勢にならないようにしてください。上司面してしまっている可能性が高くなってしまいます。
「今日は○○の理由で1on1の時間をもらっているんだけど、ほかに相談したいことってある?」
こういった形で、まず上司側から理由を提示するようにしましょう。
1on1のポイント②成長支援の前に成功支援
「成長支援のために1on1やってあげている」
これも危険な目線だと言わざるを得ません。組織にとって、メンバーを成長させることは必ずしも目的ではないからです。目標達成・成果達成の結果、「成長していた」が理想形であるといえるでしょう。つまり、「成長させてあげよう」という上から目線よりも、メンバーの目標達成をする支援をしていくことが重要になります。
「こんなスキル身に着けたい、こんなキャリアを歩みたいとかってある?」
よりも、
「このプロジェクトの達成に向けて現在の状況をどう捉えている?」
という聞き方の方が、結果として組織やメンバーの成長にもつながっていきます。
1on1のポイント③心理的安全性を作り出す
部下に圧をかけないようにしてください。相手の安心感を事前に作り出す、「心理的安全性」が部下とのコミュニケーションにおいては非常に重要になります。心理的安全性が確保されていないと、部下は上司との会話に不安を覚え、本音で話してくれなくなるからです。
- 無知だと思われることへの不安
- 無能だと思われることへの不安
- 邪魔をしていると思われることへの不安
- ネガティブだと思われることへの不安
こういった気持ちが部下に生まれてしまっているなら、まず円滑に会話をしていくことは困難でしょう。圧をかけて人を動かそうとするのではなく、お互い本気で話せる環境を作っていく意識を持つことが重要です。
1on1のポイント④コミュニケーションはコストだという意識を持つ
コミュニケーションにはコストがかかります。会話は必ず相手の時間と気持ちを奪う行為だからです。
- 認知コスト=相手の言葉に対し気づくまでにかかる手間
- 取得コスト=相手の言葉を受け取るために必要な気持ちや時間
- 理解コスト=相手の意図を読み解き自分の中に落とし込むのに必要な気持ちや時間
- 対応コスト=相手の言葉にリアクションするのにかかる時間
コミュニケーションコストを分解するとこのような形です。15分の1on1がなければ、商談の議事録をまとめられたかもしれません。テレアポを2件できたかもしれません。この時間を奪ってでも話す価値があるのか。このことを明確にしておくようにしましょう。
よくある人材育成の問題
人材育成について、多くのマネージャーの方から聞く話にこのようなものがあります。
人材育成の問題①能力がないのかやる気がないのか
「やる気がないから成果が出ない」「能力が伴っていないからうまくいかない」こういった相談をよくいただくのですが、そもそも行動が起きるには理由が必要なことを忘れてはいけません。
行動=動く理由×能力×きっかけ
これらがそろって人は動き始めることができます。ちなみにここでいう能力とは自己評価のこと。自分で「これできる」と思えているかという点です。部下の行動を引き出したいならこの3つが必要になる点を念頭に置くべきだといえます。
「いやいや、それぐらい仕事なんだからやれよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。ただ、私はそれを言い出したら正直終わりだと思っています。すべて自分で賄えるなら、そもそも上司は必要ないわけです。部下の行動を引き出すことが上司としての役割であると考えたときに、上記を提供することが必須であるといえます。
部下が動かないのは分からないことが理由
問題を混在させて考えてしまうと、基本的に結論は「部下が悪い」「採用が悪い」で終わってしまいます。これでは問題は解決できません。
上司側の要因を考えると、
- 育たない
- やる気がない
- 勉強しない
- できない
こういった意見が多いです。しかし、部下の方では、
- 育ててない
- やる気がわかない
- 勉強できない
- やっていない
こういった食い違いが生じています。
部下が動かないのは「わからない」が9割を占めるといっても過言ではありません。
- 指示を言語化できていない
- 目標を明確化していない
- 進捗が可視化できていない
- 継続的に関わっていない
このポイントにより部下は不安を覚え、動けなくなります。このことを念頭に置きましょう。
人材育成の問題②主体性がないのか気が利かないのか
こちらも結局のところは「動かない」というところにつながってくる問題です。ここで1つ考えていただきたいのが、「気が利く=気付く」力はどうしたら身につくのかということ。
気付くステップは以下の4つです。
- 目標設定
- 問題発見
- 課題設定
- 解決策設定
目標がないとそもそも気付くことができません。問題は目標と現実との差分から生まれるからです。そして問題があることにより原因=課題が生まれます。課題が特定できて解決策が初めて生まれ、動くことができる。この流れが「気が利く」部分にかかわってきます。
この4つについて、しっかり部下と会話を交わすことができているでしょうか。
- 理想や目標、ビジョンを掲げる(目標設定)
- 現在地の把握、正しい自己理解(問題発見)
- 健全な自己否定、心理的安全性の確保(課題設定)
- 自己肯定感や解決動機の提示(解決策設定)
人に主体的に動いてほしいと思ったとき。こういった内容を1on1で話し合うことにより、部下の行動を引き出すことができるのです。
人材育成の問題③能力がないのか成長意欲がないのか
現代の人々の特徴として、「行動力が低い」ことが傾向として挙げられます。若い世代はよりその傾向が強いといえるでしょう。
- 成果が見えないと動かない「コスパ思考」
- 失敗の可能性が見えると動かない「リスク回避」
- 競争をあおられると動けない「脱競争思考」
こういったものが浸透している以上、行動力の低さを嘆いても仕方がないことです。これを前提としてとらえたとき、決して能力がないことと「能力の発揮のさせ方が悪い」ということを混在させないことが必要になります。
能力がないなら身に着けられる環境を、発揮させられていないなら発揮できる環境づくりを行うことがポイントです。
能力を発揮させるためには
能力を部下に発揮してもらうためには、まず1度能力不足なのか、それとも能力はあるけれどそれを発揮できないでいるのかという点を整理しておく必要があります。
能力発揮に必要な要素については以下の式で表すことが可能です。
保有能力×発揮能力=成果
保有能力とは、本来その人が持つ能力のこと。
- 知識
- 経験
- 技術
- 体力
- 判断力
- 理解力
こういったものがこちらに該当します。一方発揮能力とは、本来その人が持つ能力を発揮させるための能力のことです。
- 規律性
- 協調性
- 責任感
- モチベーション管理
こういったものが該当します。多くの上司は、保有能力を伸ばす支援はしているものの、発揮能力を伸ばす支援は行うことができていません。こういった能力を発揮させるための支援をしていくことが非常に重要になります。
指示を使い分ける
部下に指示する際、指示内容を明確にすることで部下の行動をより適切に引き出すことが可能です。そこでぜひ、4つの支持を使い分けていただきたいと思います。
- 解決指示=問いや課題を明確にし後の対応を任せるもの
- 戦略指示=理想やビジョンを明確にし後の対応を任せるもの
- 改善指示=行動すべき内容を明確にし後の対応を任せるもの
- 作業指示=すべてを明確にし、遂行のみを任せるもの
全てを具体的に指示する作業指示もあれば、部下に思考させる戦略指示や解決指示も存在します。一方で行動内容だけ指示する場合もあるため、相手と場面によって使い分けていくことが必要になるのです。
人材育成の問題④相談がないのか信頼がないのか
繰り返しですが、手段をこなすこと=問題解決ととらえないようにしてください。1on1やっているから、研修に参加させているからというだけで安心してはいけないのです。
相談がない理由。それは言ってしまえば、「信頼がないから」です。まず信頼を獲得するために、部下とのかかわり方を考えていく必要があります。部下とのかかわり方で重要になるのは「観察」です。部下のことをよく見ていなければ、アドバイスすることはおろか相手を気遣った会話を行うこともできません。まずやるべきことは話すことではなく、見ることです。このことを念頭においていただきたいと思います。
視野・視点・視座を使いこなす
視野=見えている範囲
視座=見ている高さ
視点=見ている場所
このことを表します。立場が変われば、それぞれ視野・視座・視点は必ず変わってくるものです。立場が上がって視座が上がれば、視野が広くなるのは当然のこと。部下に同じ視野の広さを求めるのがむしろ難しい話であるということです。
部下が今どこをどの範囲で見ているのか、この点を会話の中で確認していくことが重要になります。
部下との適切なコミュニケーション
ここまで解説した内容をまとめるとこのようになります。
- 動機ときっかけを提供する
- 課題解決思考と考える材料を提供する
- 能力を伸ばす前に能力発揮できる場を提供する
- 信頼するに値する材料を提供する
- スキルや知識は提供前に可視化する
「行動しない」ではなく行動できるように理由と材料を提供し続けること。主体性や課題解決を自力で行えるように、現状把握や問題意識を伝えること。能力があったとしても発揮できる環境がなければ能力発揮はできないことを念頭に置くこと。相談は信頼関係なくしてできないこと。どう成長につながるか可視化すること。これらがポイントです。
今後のマネジメントの参考になれば幸いです!
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