今回のテーマは「ゆるい職場」。
最近、若手社員が「ゆるい職場」であることを理由に辞めていく、なんていうことが聞かれるようになりました。
「転職は『不満型』から『不安型』へ変わっている。2010年代以降に進んだ働き方改革で、職場環境の不満は改善した。そのかわり、成長を実感できない環境に不安を感じるようになっている」
引用:会社は好きだけど、このままここにいるとヤバい…居心地のいい「ゆるい職場」からどんどん若者が消える理由
Google検索のサジェストを見てみても、「ゆるい職場 働きたい」 「ゆるい職場 辞めたい」という相反するサジェストが並んでいたりします。
目次
そもそもゆるい職場とは何なのか?
このゆるい職場。これを定義すると、「成長実感が持てない職場」であると言えるでしょう。働き方の環境や、拘束時間、職場の人間関係などには不満はないけれど、自分が成長できず不安である、というものです。逆に言えば、パワハラやモラハラなどといった問題を考慮して、上司が遠慮がちになったからこそ生まれた視点かもしれません。
ただこのゆるさって結構抽象的な言葉ですよね。だからこそゆるい職場で働きたい人もいれば、辞めたい人もいるわけです。このゆるさを職場のどこに持ってくるかによって、印象はガラッと変わると言えるでしょう。
繰り返しですが多くの若手社員が辞める理由で言われるのが「もっと成長できると思っていた」「思っていたより指導をされなかった」というもの。「もっと成長できる会社に行きたい」「このままこの会社にいたら、転職できなくなってしまうのでは」というのはあるあるな話です。
とはいえ厳しくしすぎたらそれはそれで問題になってしまう。ここにジレンマを抱えている管理職の方は多いはずです。
遠慮しすぎな上司は多いです。遠慮と配慮は別物です。
若手や新卒が不満を持つゆるさはどの部分か
若手や新卒が不満を持つゆるさについてもう少し考察していきます。
結論から言ってしまえば、不満を持ってしまうポイントは「成果に対するコミット」に尽きるのではないでしょうか。
成果を出すためにはこれをまずやるべき
上司からこういった指示が降りてきていないから、とも言いかえられます。また「この人だったらこんなもんだろう」「どこまでだったら言って大丈夫かな」と成果ではなく、その人を基準にしようと手探りで指導を行っているからでもあります。
ただ一方で若手や新卒が求めている優しさというのは、成果とは関係ない部分であることが多いです。例えば休日や仕事時間の調整なども含まれるかもしれません。
営業で例えてみましょう。10件受注をとるのが目標だとします。成約率が10%であるなら、100件商談をしなければいけない。アポ率が10%であるなら、1000件テレアポなどのアプローチを行うべき。こういった形でやるべきことが明確になっています。ただいわゆる「ゆるい上司」というのは、
1000件アプローチするのなんて大変だし、とりあえず500件でいいよ
という優しさを見せます。成約率やアポ率が変わらなければ、当然目標は未達で終わります。これが蔓延してしまうと当然ながら組織全体が「そんなもんでいいんだ」となってしまうんですよね。そうなると、「目標のない仕事」になってしまいます。目指すべきところがなくなり、上司が「これで良いよ」というラインでのみ仕事をしてしまうので、モチベーションも上がりませんし、成長の機会も少なくなってしまうのです。
これが続くと、自分の担当上司が全てになってしまうため、外部の視点を持つことができません。転職の際にキーとなる自分の市場価値をあげていく点でも課題が残るでしょう。
どこにゆるさを作るのか?
このしっかりするべきところと、優しく、ゆるくするところのバランスをどうしていったら良いのでしょうか。ゆるさを組織のどの部分に作るのかを考えることがここでは非常に重要になります。
まずおさえておきたいのは、成果や、お客様に対してやるべきところに対してゆるさを作るのはNGです。上述したように目指すべきところがなくなってしまいますし、お客様からの信頼も失うことになりかねません。「この日までにこれを納品して欲しい」という依頼に対して「うちはゆるい組織なんでできるかわかりません」とは言えないですよね。自社の都合とお客様の都合の兼ね合いについては意識しておくことが必要です。
一方で、時間的な調整や、物理的なゆるさを作っていくのは効果的だと言えます。むしろここにゆるさがないと組織は疲弊してしまいます。
番外編:リモートワークは実はゆるさを作るのがきつい働き方
ゆるい組織のイメージと言われると「テレワーク」「リモートワーク」の組織が代表的ではないでしょうか。
少し話が逸れますが、営業ハックはフルリモートワークの組織であり、全社員が全国各地でフルリモートで働いています。このメンバーの中にはリモートワークでしか働けない人も多くいます。介護の事情であったり、子育てをしていたり。だからこそ時間的なゆるさを意識して作ろうとしているのが代表の私が意識して取り組んでいるところでもあります。
ただ最近はリモートワークってゆるくするのが難しい働き方だと実感しています。というのも、日常生活に仕事が入り込むからです。出社形式であれば、支度をして通勤をするという「スイッチを入れる」時間があります。また、働く場所と生活する場が明確に違うのも切り替えがしやすいポイントです。人は目に入ると気にしてしまう生き物なので、例え大したことでなかったとしても生活面の雑務が気になったりするのもリモートワークならではだと思います。
この日常生活に仕事が入り込んでしまう都合上、切り替えの余裕が作れないというのは1つ難しいところですよね。ここに理解がないとリモートワークでゆるく・かつ成長しながら働くのが難しくなるかもしれません。
ゆるさは成果ではなく1人に対する負担度合いで考える
繰り返しですが、成果や結果にゆるさを出してしまうのはNGです。結果にコミットするというところはぶらさずに、個人の負担に焦点を当てていくことができれば良いゆるさを作り出すことができます。1人1人の負担を減らしながら、チームとして結果を出す。目標を達成できるように動いていく。逆に言えばここさえブレなければ、どんなゆるい働き方をしていてもいいと思います。
もし組織内で他に「ここだけは踏み外しちゃいけないよね」というものがあるのであれば、それは事前に明確にしておくようにしましょう。ゆるさを組織に持ち込んだときに起こりがちなのが、「全部がゆるくなってしまう」ということです。
だからこそ、管理職が楽なのはスパルタで管理すること。一律で全部厳しくしてしまったほうが、考える必要がないので楽なわけです。ただそれだと組織が疲弊してしまうのは当然のことですよね。だからこそ働き方改革も含め社会問題になっているわけです。
この厳しさとゆるさのバランスは管理職にとって難しいもの。だからこそ、成果や結果、目標の部分はしっかりする。一方で個人を追求しすぎて負担を追わせず、チームとして働く意識を持つ。また働き方など成果と別部分についてはゆるさを出す。こういったバランスの取り方は1つの答えかもしれません。
私自身会社の代表として、今後もこのテーマは考え続けていきます。1つでも参考になるものがあれば幸いです!
この記事の監修者
株式会社営業ハック
代表取締役
笹田 裕嗣
営業代行事業を始め、「売れる営業組織」へと変革するためのあらゆる支援を行っています。
弊社独自のセールスメソッドを用いて、停滞する営業組織の改革から新規営業組織の立ち上げまでトータルでサポートいたします。今までご支援させていただいた企業数は100社を超え、主に中小・零細企業のあらゆる業種で成果を出し続けています。