概要
営業では「話がうまくなければ成果を出せない」と考えてしまいがちですが、実際には話し上手であること以上に、相手の話を聞き、相手が話しやすい状況をつくる力が重要です。
本記事では、「話すことが苦手だけれど営業で成果を出したい」という相談をもとに、営業におけるコミュニケーションの考え方を解説します。
ポイントとなるのは、相手に話を聞いてもらうための「興味」と「好意」、そして相手にしてほしいことをまず自分から行う「返報性」です。
さらに、商談とテレアポではコミュニケーションの順番が異なります。それぞれの場面で何を意識すべきなのか、具体例を交えながら紹介します。
内容
1.営業は「話し上手」より「聞き上手」が強い
「話すのが苦手だから営業に向いていない」と感じる人は少なくありません。
しかし、営業において重要なのは、必ずしも自分が上手に話すことではありません。むしろ、相手の話を聞くことができる営業のほうが成果につながりやすいと言えます。
では、そもそも人はなぜ相手の話を聞くのでしょうか。
その理由として挙げられるのが、「興味」と「好意」です。
興味がある話であれば、誰が話しているかに関係なく、「それは知りたい」「もっと聞きたい」と思ってもらえます。
一方、好意とは、その人自身に対する関係性です。
「この人が言うなら聞いてみよう」と思ってもらえる状態をつくることが、営業において重要になります。
つまり、相手に話を聞いてもらうためには、
- 相手にとって興味のある話をする
- 自分自身に好意を持ってもらう
という2つの方向から考えることができます。
ただし、新規開拓では、最初から相手の興味を正確に把握することは簡単ではありません。だからこそ、日頃の情報収集やコミュニケーションを通して、相手を知ることが重要になります。
2.「返報性」を営業で活用する
営業において、もう一つ意識したいのが「返報性」です。
返報性とは、簡単に言えば、「何かをしてもらったら、自分も何かを返したくなる」という人間心理です。
例えば、自分から「おはようございます」と挨拶すれば、相手も「おはようございます」と返したくなります。
営業でも同じ考え方ができます。
「自分の話を聞いてほしい」と思うのであれば、まず自分が相手の話をしっかり聞く。
「自分のことを理解してほしい」と思うのであれば、まず相手のことを理解する。
「提案を受け入れてほしい」と思うのであれば、まず相手の意見を受け入れる。
このように、自分が相手にしてほしいことを、まず自分から行うことが返報性につながります。
成果を出している営業ほど、最初から「売ること」ばかりを考えているわけではありません。
相手に役立つ情報を提供したり、必要であれば競合他社を紹介したり、まず相手に価値を提供することを大切にしています。
先に相手の役に立つことで、「この人にお願いしたい」という関係性をつくりやすくなるのです。
3.商談では「話しやすい環境」をつくる
「話下手でも営業で成果を出せる」と言える大きな理由の一つが、自分が話すのではなく、相手に話してもらうことができるからです。
そのためには、相手のことを知ることが欠かせません。
商談前には、相手の会社のホームページやSNSなどを確認し、どのような取り組みをしているのかを把握しておきます。
そして商談では、調べた情報をもとに質問します。
例えば、
「ホームページを拝見したのですが、面白い取り組みをされていますよね」
「先日SNSで拝見した投稿が印象的だったのですが、あの内容はどのような背景から生まれたんですか?」
といった問いかけです。
こうした質問であれば、相手も自分が取り組んでいることについて話しやすくなります。
反対に、いきなり、
「将来どんなことをしたいですか?」
「理想の状態を教えてください」
と聞かれても、すぐに答えるのは難しいものです。
だからこそ、まずは相手が現在取り組んでいることや、今知っていること、経験していることから話してもらう。
そこで得た情報をもとに、次の質問や提案につなげていくことが大切です。
商談では「自分が何を話すか」ではなく、**「相手が話しやすい状況をどうつくるか」**を意識することが重要です。
4.テレアポは「ヒアリングしてから提案」ではない
商談とテレアポでは、会話の進め方が大きく異なります。
商談の場合、相手はあらかじめ時間を確保し、「この営業担当の話を聞こう」という状態で参加しています。
一方、テレアポは突然電話がかかってくるため、相手は営業の話を聞く準備ができていません。
そのため、どれだけ丁寧に質問しても、「早く電話を切りたい」と思われてしまえば、なかなか話を聞いてもらえません。
そこでテレアポでは、ある程度決め打ちをして話すことが重要になります。
例えば、
「今、アポイント不足で悩まれている企業が多いので、御社も同じような状況ではないかと思い、お電話しました」
といった形です。
もちろん、決め打ちなので外れることもあります。
「うちはアポイントは十分足りています」
と言われることもあるでしょう。
しかし、そこで終わりではありません。
「そうだったんですね。失礼しました。もし今後アポイントが必要になった際には、ぜひご相談ください」
と相手の状況を受け入れたうえで、
「ちなみに、今現在営業面で課題に感じていることはありますか?」
と一つ質問してみます。
すると、
「実は営業の人手不足で……」
と別の課題が出てくる可能性があります。
その情報をもとに、後日改めてアプローチすることもできます。
つまりテレアポでは、**「ヒアリングしてから提案する」のではなく、「提案して、当たるまで提案する。その中で相手の課題を見つけ、アポイントにつなげていく」**という考え方が重要になります。
商談とテレアポでは、同じ営業活動でも会話の順番が違うのです。
まとめ
話すことが苦手だからといって、営業で成果を出せないわけではありません。
むしろ営業では、話し上手であること以上に、相手に興味を持ち、相手が話しやすい環境をつくることが重要です。
そのために意識したいのが、「興味」「好意」「返報性」です。
特に返報性は、営業活動全体で意識したい考え方です。
- 「相手に話を聞いてほしいなら、まず自分が相手の話を聞く」
- 「相手に理解してほしいなら、まず自分が相手を理解する」
- 「相手に受け入れてほしいなら、まず自分が相手を受け入れる」
このように、相手にしてほしいことを、まず自分から行うことが関係性の構築につながります。
また、商談とテレアポでは、コミュニケーションの順番も異なります。
商談は「ヒアリングしてから提案」、テレアポは「提案して、当たるまで提案する」。
営業の成果を高めるためには、「何を話すか」だけではなく、誰と、どの場面で、どの順番でコミュニケーションを取るのかを考えることが大切です。
話すことへの苦手意識がある人こそ、無理に「話し上手」を目指すのではなく、相手を知り、相手の話を引き出す力を磨くことから始めてみてはいかがでしょうか。
この記事の監修者
株式会社営業ハック
代表取締役
笹田 裕嗣
営業代行事業を始め、「売れる営業組織」へと変革するためのあらゆる支援を行っています。
弊社独自のセールスメソッドを用いて、停滞する営業組織の改革から新規営業組織の立ち上げまでトータルでサポートいたします。今までご支援させていただいた企業数は100社を超え、主に中小・零細企業のあらゆる業種で成果を出し続けています。
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