「営業の会話の流れがわからない」
「どうやって話したら、お客様と仲良くなれるかわからない」
「もっと魅力的な商談をしたい」
これらは、多くの営業が抱えている悩みの1つです。
私も10年以上営業をやってきて数多くのお客様に会い、数えきれないほど商談を重ねてきました。様々なケースがありました。ただ、お客様や商談相手の数だけ営業のやり方・会話は違います。しかし、押さえるべきポイントをしっかり把握しておかないと、商談はうまくいきません。そこで、今回は、訪問した際の商談の流れ、話を聞いてもらうために意識するポイントについてまとめました。
この記事を読んで
- 魅力的な商談をするためのコツ
- そもそも商談前に意識すべきポイント
- スムーズに商談を進める会話の流れ
を理解し、今日から実践してみてください!
目次
今回の営業相談はこちら
今回は2人の営業パーソンのご相談をいただきました。
①営業をしています。会社より提案資料等は頂いたのですが、アポイントが取れ実際に行く際には、どのような流れで話をしたら良いか分からず、話す手順などアドバイスがあれば教えて頂きたいです。
②現在副業として格安simの販売をしています。これまで販売の経験はありません。現在は訪問販売を行っています。正直なところ、なかなか話を聞いてもらえません。周囲の人には「お客様をグリップすることが大切」「ラポール形成」「アイスブレイクが出来てないと話を聞いてもらえない」と言われました。そこで、どのような事をするとラポール形成ができるのか、コツはあるのか、実際の流れなど伺えたらと思います。
では早速お答えしていきます!
商談がうまくいかない2つのカベ
商談で話し方やコミュニケーションの取り方で悩むポイントは2つあります。
- そもそも話を聞いてもらえない(聞く気がない人のカベ)
- 話は伝えたが、伝わっていない(話は聞くが、理解する気がない人のカベ)
この2つの壁を突破するコツをお伝えします。
相手の理解と興味を作るコツは出会い方の把握にあり
商談やコミュニケーションを考える時に、まず出会い方から考えるというのが大切なポイントです。
例をあげましょう。
学校で毎日顔を合わせていれば、「おはよう!」と言えば普通に会話が成立します。わざわざアイスブレイクは必要ないですよね?
理由は、日常生活でラポールの構築や関係性の構築はすでにできているからです。
コミュニケーションの取り方は、以下の様に出会うタイミングや出会い方によって大きく変わってきます。
- 「初めましてこんにちは。営業です!」というスタートの会話なのか?(今回のご相談のように訪問営業、飛び込み営業)
- アポイントを取ってからの会話なのか?
- そのアポイントは頑張ってテレアポをしたものなのか?
- 相手からの問い合わせがあり、それに対し営業が連絡を入れて取れたアポイントなのか?
関係構築をしたい、話をキチンと聞いてもらえる関係を作りたいと思った時に、「雑談や面白い話をすれば仲良くなれるのでは?」と安易にアイスブレイクにもっていってしまう営業は結構多くいます。しかし、一番大切なのはアイスブレイクではありません。
一番大切なのは、まず「その人とどう出会ったか?」と関係性のスタートを考え、そこからどうやり取りをしていくのかを設計していくことなのです。
お客様から問い合わせがあった場合
一番やりやすいのは、お相手から問い合わせをもらい、その内容に対してコミュニケーションをとり始めるケースです。
具体例はこのような感じです。
「先日はお問い合わせいただき、ありがとうございました。お時間を頂き非常に感謝しています。今日は有意義な話が出来ればと思いますのでよろしくお願いします」
この場合、関係は一旦構築できています。つまり、「相手が話を聞きたいと言ったから、私がわざわざ来ました」このような場合は、雑談は必要ありません。
新規の飛び込み営業の場合
まったくの新規の飛び込み営業の場合、まっさらというより、むしろマイナスからのスタートになります。
このマイナスを埋めるために、営業は「雑談」へと話が行きがちなのですが、誰も新規の飛び込み営業から「今日はなにか面白い話がきけるぞ」と期待はしていません。
これは意外にやっていない営業が多いのですが、営業が最初にやらなくてはならない事は、キチンとプレゼンをするです。「私はいい人です」「あなたとって有益な人です」というプレゼンを是非やって下さい。
短時間で興味喚起を行う商談のコツ
短時間で相手の興味を作るためには、当然ですが短い言葉・メッセージで相手を引き込む必要があります。そのために話す内容のポイントをお伝えします。
ショートプレゼンのレパートリーを増やす
最初にキチンと話を聞いてもらいたいなら、ショートプレゼンのレパートリーを増やしていくことが、とても大切です。
- 「この人からいい話を聞けそうだな」
- 「この人は有益な話を持っていそうだな」
- 「専門知識がありそうだな」
これらの期待をいだかせたら勝ちです。その期待作りをショートプレゼンでします。
この場合、長いプレゼンであったり、長々と話してはダメです。そもそも話を聞く気がない人に長話をしても、先ほどの学校の例でいけば、校長先生の話を興味がなくて聞いているような状態です。「眠いな。お腹すいたな。」そんな頭の中になってしまいますので、そもそも思考が相手の話に向かなくなってしまいます。
いかに短く端的な言葉で伝えるか。いかに少ない単語で興味をもってもらうか。そういう目線で言葉を選んでください。これがまず話を聞いてもらうためのスタートラインです。話を聞いてもらえるようになってから初めて雑談が成立します。そこから信頼関係の構築、ラポールの構築です。
ショートプレゼンでは自分を売り込む
ここでまた大切なのがショートプレゼンでは、商品やサービス、会社の提案ではなく自分を売り込むということです。
理由は「商品の話を聞いてください」ですと、「商品はいらないので大丈夫です」となってしまいます。そこを「私の話を聞いて下さい」ですと、相手はむげに扱えません。目の前に人に対して、否定をするようなコミュニケーションは取りづらいものです。その前提で考えると、そもそも話を聞く気がない相手の場合、「私の話を聞いて下さい」という形でコミュニケーションを取るというのが、営業がます最初にやるべきことです。
スムーズに商談を進める会話の流れ
一方で、話は聞いてくれるが、理解してくれる気がないお客様もいますよね。これは相手の理解力や態度の問題ではなく、会話や提案の構成や順番に問題があるケースがほとんどです。伝わらなかったり、理解しれくれない相手に対しては、ここにもポイントが2つあります。相手が話をちゃんと聞く気がない。という事と、伝え方が下手という事です。ここで話す順番が活きます。話す順番は、次の通りです。
スムーズな商談の流れ
- ショートプレゼン(自分を売る):興味喚起
- ヒアリング:コミュニケーション&ラポール構築
- プレゼン:ベネフィット訴求&商品・メリット提案
- クロージング:契約締結orアポイント獲得
ショートプレゼン
まずショートプレゼンで期待を作りましょう。
ヒアリング
この期待を作った後に、今度は相手に対してヒヤリングをします。ただし、残念なヒヤリングは「詰問」となり、延々とヒヤリングが進んで行ってしまいます。残念な営業は、「いろんな話をきけてよかった!」「色々話が聞けたから関係構築ができたはずと」と満足してしまいます。相手からすると「無駄に話をさせられた」「全然話終わらないし」となり、その後、連絡が取れなくなることはよくあるパターンです。
ヒアリングは、初期段階のタイミングでは「営業は7:3くらいでお客様に沢山話してもらおう」と言われますが、私の経験では、初期段階では、「6:4、もしくは5:5くらいで営業が多く話したほうが良い」です。そして営業の提供した情報に対してのリアクションから更に情報を取っていくイメージです。
「私はお店の周りのこの辺を担当せて頂いていて、こういう風に感じています。いかがですか?」
このように自分の仮説を投げかけながら、相手に〇か×の判断をもらいます。その〇か×の判断のリアクションに対してまたヒヤリングを重ねます。こちらから言葉を投げかけて行かないと、相手は反応してくれません。これがすごく大切なポイントなので意識して頂きたいと思います。
ショートプレゼンをする。期待を作る。そして、ヒアリングとプレゼン。それを踏まえた上で、その場で売るのであれば、「冒頭でお伝えさせて頂いた私たちの取り組みは、こういう価値貢献が出来ます」「こういう事がお役に立てるポイントです」と再度提案をする。相手の反応を見て、「それ面白そうですね」と前のめりになったら価格の提案をしたり、実際の使い方の相談をしてみたりという形になっていきます。
繰り返しになりますが、ステップを踏んで、最初のショートプレゼンでお客様に興味を持ってもらう(興味喚起)。
話が出来そうだと思ったらヒアリング。
ヒアリングをもとにしながらコミュニケーション。問いかけてフィードバックをもらう。これを繰り返しながら、関係を構築をします。相手からすると聞かれた気はしないのに、こちらとしては沢山情報が聞けたという状態が理想です。
プレゼン
プレゼンで伝えるべきポイントは、まず相手のベネフィットです。これは相手にとってどんな価値があるか、どんな変化があるか、具体的に相手が想像できるぐらい鮮明に伝えてあげることが大切です。プレゼンについてはこちらの記事で詳しくまとめてあるので参考にしてください!
https://hiroshi-sasada.com/blog/presentation/
クロージング
そして最後はクロージングです。クロージングは相手の背中を押すことです。ただ再度意識して欲しいことはこの商談のゴールが何かということです。受注獲得・アポ獲得なのかで、アプローチは変わります。クロージングについてはこちらの記事を是非参考にしてください。
https://hiroshi-sasada.com/blog/sales-closing/
スムーズな商談を作り出すポイントまとめ
商談は、全く同じ商談というのが発生しません。相手が今自分に何を期待しているのか、そもそも興味を持ってもらえているのか、という点に常にアンテナを張りめぐらせておくことが大切です。
営業をやっているビジネスパーソンは、みんな20年以上は生きていると思います。これまで生きてきた中で色々な人を見てきていますよね。その経験をもっと生かしてください!
相手に興味を持ち、ちゃんと見てあげることによって「今日は反応が悪い」「この人はこのポイントだけ急に興味を持った」などわかると思います。継続的にあっている人であれば「今日は体調が悪い」「今日は機嫌がよさそう」ということも気づけるはずです。営業は1回で終わることはありません。受注をいただければ、これから深く長いお付き合いが始まります。だからこそ、相手への興味と観察眼を養ってください。
お客様の反応や状況・態度の変化に気づけない営業は相手を見ていないだけです。
キチンと相手を見て関係を構築し、状況を把握しながら、情報を提供してください。コミュニケーションをとってください。そして、こちらから伝えた言葉や情報に対して、リアクションや相手の反応、返事などのフィードバックを見ます。そこからまた相手に対して自分に出来ることを探す、営業はこの繰り返しです。
一朝一夕にはいきません。ただこれを繰り返し継続できる営業が、最後お客様に選ばれる営業です。精進しましょう。
今回のご相談はこちら
この記事の監修者
株式会社営業ハック
代表取締役
笹田 裕嗣
営業代行事業を始め、「売れる営業組織」へと変革するためのあらゆる支援を行っています。
弊社独自のセールスメソッドを用いて、停滞する営業組織の改革から新規営業組織の立ち上げまでトータルでサポートいたします。今までご支援させていただいた企業数は100社を超え、主に中小・零細企業のあらゆる業種で成果を出し続けています。