営業ハック代表の笹田です。
ここ最近のビジネスのキーワード、再現性について今日は話したいと思います。
再現性が高いとは何か?
再現性が高いということは
「時間軸」と「人軸」の2つの意味合いがあります。
時間軸は「未来の自分が同じ成果を出せる状態を作る」という視点、人軸は「他の人でも同じ成果を出せる状態を作る」という視点です。
再現性が高いと同じ成果を安定的に出せるので、組織としても重要かつ大事な目線です。
ただ再現性がない行動=悪なのかでいくと、決してそうではないと考えています。というよりも組織の規模感やレベルによって変わります。
社員数も多く、誰かが暴走することで、統制が取れなくなったり、バランスが取れなくなったりする場合、当然ながらNGです。
例えばベルトコンベアの作業とかで考えると、全体の流れや前後の工程があるので、個人が自分のやりやすい方法で取り組むと、個人単位の効率は上がっても、全体では効率が落ちるみたいなイメージです。つまり、部分最適の集合が全体最適にならないという話です。
しかし、部分最適=個人レベルの最適化、言い換えれば属人的なアプローチは悪なのか?という話も整理しておきましょう。
属人化とは何か?
属人化の定義についてもおさらいしておきましょう。
属人化=ある業務における情報・ノウハウが作業担当者しか把握できていない状態
簡単に言えば、「その仕事はその人しかできない」ということです。それはその仕事がそもそもできるかどうかだけではなく、「同じ仕事を、同じように。品質や時間・工数に差がでないようにすることが出来ていない」ということも含まれます。
よくあるトラブルの典型例としては、
- 担当者が退職してしまい、十分な引き継ぎが出来ずに仕事が回らなくなってしまった
- 担当者が不在で対応方法が分からない
- 同じ部署であっても人が変わると品質に差が生じ、納品物が安定しない
こういったものがあげられるでしょう。
ちなみに、属人化の対義語は「標準化」。マニュアル化とも言いかえられるかもしれません。「誰もが同じ品質で業務を行うことができる」状態を指します。一般的にはこの属人化状態はあまり歓迎されていません。実際に上述のようなトラブルにも繋がりますし、その他にもいくつかのデメリットが存在します。
- 業務を効率よく行い続けることができない
- 業務がそもそも停滞する可能性が高くなる
- 納品物の品質が不安定に
- その仕事を「できる」人に仕事が集まりすぎ、長時間労働を引き起こす
- 適正な評価を行うことが難しくなる
「ブラックボックス化」することにより、人数が多くなればなるほど連携が取りにくくなってしまうことが企業が抱える問題点としてよくある話です。
属人化は悪なのか?
結論から言えば、「属人化=必ず悪ではない」と私は敢えて言い切りたいのですが、これはお伝えした通り組織の状況によります。
属人化とは繰り返しですが、「特定の人しかできない状態」を指します。
ただ属人化のメリットも整理しておきましょう。
- 専門性が高まり、新しいノウハウやナレッジが生まれる
- 特別感が生まれ、顧客・相手の満足度が上がる
- その人の強みや個性が発揮される
- 社員のやりがいにつながる
この辺りがメリットです。最も詳しい人だからこそ生まれるノウハウや、更に効率よく業務を遂行するためにできることを発見することもあるはず。また、接客やコミュニケーション業(営業も含まれます)であれば、「流れ作業ではなく1人に担当してほしい」というお客様の声も多いでしょう。また適材適所な人材の配置ができていれば、その人ならではの個性や強みが発揮され、結果として生産性が高まるということもあります。
標準化・平準化とはマニュアル化。マニュアル化するということは言い換えれば個性の排除。何でもかんでも標準化すればいい、というわけではないのです。
誰でもできるようにするというのは、30点の人でも60点を安定して出せるようにすることです。一方で120点を出せる可能性がある人も60点にさせるという側面があります。
効率化の勘違い
効率化は工数・時間等のリソースをかけず、成果を出すというのが正しい姿勢です。
効率化=業務の進捗効率向上
こう定義できるでしょう。今まで1つの作業に1時間かかっていたのが、30分でできるようになる。1時間その仕事をすれば倍の量行うことができる。シンプルに言えばこういった話です。どの企業においても、この効率化という視点の話はよく出ているはず。効率化がうまく行けば、生産性が高まり、ひいては利益につながるため重要な観点だと言えます。
それにも関わらず、マネジャーは「成果を出す」という視点を忘れて、工数・時間を掛けない仕組みばかりを考えてしまうケースが多々あります。よくあるのが「これは無駄な作業だからやらなくてもいいや」とどんどんやることを減らして行った結果、必要な作業すらも削りすぎてしまった、という話。
時間も工数も掛からなくなり、同時に成果も出なくなった、という状態です。これでは本末転倒です。効率化はリソース活用の最大化として捉えるべきです。先程の「無駄なことをやらない」事自体は悪いことではないのですが、本当に必要かどうか見極めることは必須でしょう。そして本来行うべきことは「何をやることが必要なのか」という視点で考えるべきだと私は思います。
この視点で考えた時に、属人化=悪と決めつけるよりも大切なことは、基準と余白のバランスが大切ということです。
標準化と属人化のバランス
じゃあ、結局「属人化」をどう捉えていくのかですが、営業ハックでは属人化大歓迎でやっていきたいと思います。これはベースとして、成果から離れる行動やむやみに時間を浪費するメンバーが今社内にいないという信頼の元で成り立つ話です。属人化すべきところと、標準化すべきところを分けて考える視点を持っておくということです。
例えば営業ハックは営業代行事業を展開していますが、そのうちのテレアポにおいては、基本的なルールだけ設定して、細かい部分は積極的に属人的にチャレンジすることを推奨しています。
案件ごとや共通のルールとしては、
- ヒアリングしてほしいポイント
- 1時間あたりの架電数の目安(12コール/時)
- ありがとう3回+日程提示3回
などの基準を設定しています。この基準の上に立った属人化であればどんどんチャレンジしてみてほしい。そう考えています。
なぜなら、基本的には私が作ったスクリプトでアプローチをしてもらっていますが、それは“私が“成功したやり方(もちろんコンサルや代行等での経験則からという視点と再現性が高いやり方をベースに考えていますが)であって、個々人の成功したやり方にはなっていないからです。
これは当然ながら、やってみないとわからないという話です。
私はアポ率5%だったけど、他の人がやってみたら1%だったということは当然ながら起こります。
しかし、この逆も当然ながら起こり得るということです。なので、属人化=個人的なチャレンジや試行錯誤はどんどんお願いしたいと思っています。
その上で重要なことは、属人化した動きをいかにブラックボックス化させないということです。チャレンジ自体は属人的に。その動きは幅広く皆に共有できる状態を。これが1つの「属人化・標準化」のバランスの取り方ではないでしょうか。
以上、個人のチャレンジを組織のノウハウや経験に変えることが大切という話でした。
▼生産性の高め方についてはこちらで解説しています!
この記事の監修者
株式会社営業ハック
代表取締役
笹田 裕嗣
営業代行事業を始め、「売れる営業組織」へと変革するためのあらゆる支援を行っています。
弊社独自のセールスメソッドを用いて、停滞する営業組織の改革から新規営業組織の立ち上げまでトータルでサポートいたします。今までご支援させていただいた企業数は100社を超え、主に中小・零細企業のあらゆる業種で成果を出し続けています。