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営業におけるサンプル・デモの使い方のコツ

更新日
2024/10/22
公開日
2024/10/22

営業ハック代表の笹田です。

今回のテーマは「サンプル・デモ」について。

サンプルを持って行って説明したり、デモ機を活用したりする機会がある営業も多いと思います。例えばSaaS系の商材などだと、よりその傾向が強いのではないでしょうか。ちなみに今回このテーマについてお話しようと思った理由は、「牛乳の販売の営業をしています。先輩がサンプルを持って行っていないんですがそれは正しいんでしょうか?」というLINEのご相談がきっかけでした。

そこでサンプル・デモの使い方について今回は解説していきます。最後までお付き合いいただけると嬉しいです!

営業がサンプルやデモを上手く使えない理由

そもそもサンプルが上手く使えない営業が一定数いるのは事実です。その理由ですが、「サンプルやデモを見せながら話すことが目的になってしまっている」ことが挙げられます。

つまり、言葉を選ばなければ「自分の言いたいことだけを話してしまっている」状態です。機能の細かいところまで全部話してくれるのは確かにありがたいものの、お客様が求めていないところまで長々と話してしまうと逆効果になってしまいます。

確かに便利な機能かもしれない。ただ自分がその機能を使うかどうかは分からない。自分が一番やりたいことにその機能は必要ない。こんな風に思われてしまうと、せっかくのデモやサンプルも意味をなさなくなってしまうでしょう。

例え話として私の過去の体験をお話させてください。営業ハックは営業代行の会社で、テレアポ代行も行ったりしています。それに伴いテレアポの架電ツールを導入しようとしたときに、重視していたのは3つのポイントでした。

  • 架電数を上げられるか
  • 管理がしやすくなるか
  • 費用がどのくらいかかるか

当時営業ハックは、社員が携帯で普通に番号を手入力して電話をかけていました。正直毎回手間ですよね。これが例えばパソコンからワンクリックで電話をかけられるとしたら架電効率もあがりますし、架電数が上がって営業ハックとしては一番理想形だったんです。

そこを重視していろんな会社様の提案を聞きました。ただ結構多かったのが「そこ以外の説明ばかり」ということです。セキュリティ面であったり、外部機能、他アプリとの連携などももちろんあれば便利ではあるんですが、意思決定の基準は架電効率だったので、そこの話をされても「聞きたいのはそこじゃないんだけどな・・・」となっていました。結局ご提案頂いた中で、架電効率の部分を一番しっかり丁寧に説明してくれたところを選んだ記憶があります。

これはあくまで例ですが、サンプルやデモはあくまで「相手が聞きたいことを、適切に相手に伝える手段」でしかないということです。この点を忘れて、サンプルやデモを見せながら話すこと自体が目的になってしまっていると、相手の聞きたいこと、興味のあることを放置してしまうことに繋がります。

営業がサンプルやデモを使う2つのメリット

ぜひサンプルやデモを使う場合に意識してほしいことは、相手に何のためにこれを使って見せているのか、という点です。ここをまずおさえておきましょう。

サンプルやデモを使うことのメリットは

  • 安心感を与える(信頼してもらう)
  • 利用イメージの醸成

この2つです。特に無形商材であればこのメリットは大きくなります。コンサルティングなんかも含まれるでしょう。

無形商材の営業はときに難しいと言われます。これは実物がないので、相手がイメージしづらく、「本当に大丈夫なのか」と不安になってしまうことが多いからです。また仮に有形商材であったとしても、この不安感はお客様について回ることが多いです。例えばご相談をいただいたような牛乳の販売だったとき。どんなにおいしい牛乳であることをアピールしたとしても、ネットで悪い口コミがたくさん出ていたら、お客様は本当においしいのか、大丈夫なのかと不安になります。例え口コミが嘘のものであったとしてもです。

こういったものを解決するのがデモやサンプルです。「うちの牛乳はこれです。1本飲んで見れば美味しさが分かります」と自信を持って見せられると、それだけで相手は安心します。これはメラビアンの法則が背景にあります。人は視覚情報で物事を判断する傾向にあるため、目で実物を見るだけでも効果的なのです。

メリット①メラビアンの法則を活用して安心感を与える

この視覚情報を考えると、スーパーやコンビニなんかの陳列も「サンプル」として意識されていることが分かります。

「大安売り!!」と書かれている商品にもかかわらず、ものすごく丁寧に陳列されているのと、「大安売り!!」と書かれてカートの中に雑多に置かれている商品だとどちらのほうが安く見えるでしょうか。ほとんどの人が後者を選ぶと思います。

実際にこの手法を活用しているのはドン・キホーテがいい例でしょう。安さを売りにしている店舗であるため、商品の陳列の仕方もあえて雑多に見せているのです。そういった視覚情報を相手に与えることで、「今安いんだ」「お得なんだ」と感情が動くわけです。

感情をいかにコントロールしていくかという視点で考えると、目から入ってくる情報はすごく重要です。その時にサンプルを使って安心感を与えることが大事なポイントであると言えます。

メリット②利用イメージを醸成させる

こちらのメリットの方が分かりやすいかもしれませんが、もう1個サンプルを見せる、デモを見せる目的としては利用イメージの醸成です。

実物を見ながら、相手が実際にどの場面で、どのようにどうやって使うことができるのか想像させることができるのは大きなメリット。結局言葉だけですべてを想像させるのは難しいものがありますよね。想像力を掻き立てるよう促すという意味でもサンプル・デモは有効です。

安心感とイメージ醸成ができるならサンプル・デモは必須ではない

ここまで述べてきたように、サンプル・デモのメリットは安心感と利用イメージの醸成です。

ただ逆に言えば、安心感と利用イメージをサンプルなしでも与えられるのであればサンプルやデモは決して必須ではないということ。言葉のコミュニケーションで伝わる商材だったり、元々相手との間に信頼関係があったりするとよりこの2点を相手に与えやすくなります。

むしろサンプルやデモを出さないほうがいい場合も。

ご相談内容を例に出すと、牛乳のサンプルを見せたときに、「これってあまり他の牛乳と変わらないねね」「普通って感じだね」と思われてしまうのならむしろ持っていかない方がいいんですよね。これは決してその牛乳が美味しくないということを言いたいわけではありません。ただ牛乳だと、見た目だけでは他と差別化ができません。栄養素なんかも目に見えず、しばらく飲んでじわじわ効いてくる。となるとサンプルを出したからといって魅力がすぐ伝わるわけではないんですよね。味や見た目ですぐわかる良さがあれば効果的ですが、そうでないなら逆効果になってしまいます。

デモも同じです。デモ画面を見せたときに、「なんか複雑そう」とか思われてしまう可能性があるのであれば、わざわざ見せる必要はありません。

勘違いをしてほしくないのは、悪い部分を隠すことではないということ。商談の時間は限られています。法人ではなく個人向けの商材であれば尚更でしょう。その限られた時間の中で、ポジティブな気持ちやイメージを相手に醸成させられないなら、最初から使わないほうが成約率は上がります。その具体的な部分は契約後のフォローやサポートに回していくやり方です。

ただ当然のことですが、見せていない=イメージの醸成が間に合っていない可能性があるということなので、契約後のフォローやサポートを手厚く行うことを忘れてはいけません。

つまり、サンプル・デモが必須かどうかという質問に対しての回答は、「必須ではない」です。あくまで安心感や利用イメージを相手に持ってもらうことが最重要になります。

営業がサンプルやデモを使うとき意識すべきこと

サンプルやデモを使うときに意識すべき点が2つあります。

サンプルやデモの使い方①ポジティブな気持ちを作るように動く

1つ目のポイントは「感情」です。

人の性質として、「まず感情で物事を判断する」というのがあります。

「なんか感じ良さそう(感情)」→「こんなメリットもあるし、こういうときに使える(論理・理由)」

つまりまずは相手にポジティブな気持ちを持ってもらわないといけないんです。興味を持ってもらわないといけないんです。

それはまずサンプルやデモを使う前に、営業側の態度が1つのポイントになります。「この人話しやすいな」「この人優しそうな人だな」などとここで営業にポジティブな印象を持ってもらえないなら、商品にポジティブな印象を持ってもらえるわけがありません。

嫌いな人・興味がない人の話って自然と聞き流しますよね。相手が聞き流してしまっているなら、どんなに頑張ったところで商品の魅力は届かないのです。

そしてその次にサンプルやデモを活用する段階です。ここも相手にポジティブな感情を持ってもらえるように動きましょう。メラビアンの法則を活用すると、感情を形作るのは視覚情報です。なのでデモやサンプルを通して話すときはメリットを羅列するよりも、まず相手が興味を持ってもらえる部分に絞って伝える方が効果的です。相手が求めているところは何か、何を重要視しているのかを事前に確認しておくと良いかもしれません。

サンプルやデモの使い方②一瞬で良さがわかるように

先程も触れましたが、サンプルやデモを見せたときに良さがすぐにわからないなら、逆効果になる可能性があります。「なんか他のと同じだな」「面倒くさそう」こう第一印象で思われる可能性が高いのであれば、変に見せないほうがいいです。

法人営業であればどんなに長くても打ち合わせは1時間ほどだと思います。そのなかで実際にデモやサンプルを見せる時間は20分だとした場合、この20分という限られた時間で「この商品素晴らしいね」と思ってもらうことが難しいのであれば、サンプルやデモを活用する必要はありません。

最後背中を押してあげるときに「サンプルあるので1回試してみてください」というアプローチはもちろんOKです。ただ必ずしもやらなければいけないかというとそこまでではないかな、というのが私の考えです。

というのも、デモはともかくサンプルを渡すときはサンプル分のコストがかかっています。同じコストをかけるのであれば、「契約をいただいた御礼に1つプレゼントしますね!」という風に渡したほうが顧客満足度は高くなる可能性があります。例えば牛乳だったら1本100円、この100円を契約率アップに回すのか。それとも継続的に、長期的に契約してもらい、顧客満足度を高くする方向に持っていくのか。何を目的としてサンプルを使うのか、意識しておくことが重要です。

ただ中途半端に相手にサンプルをとりあえず渡す。こういったことを行っている場合は、それは本当に成約率アップに貢献しているか振り返ってみることをおすすめします。サンプルを渡したときの相手の反応が薄い、好意的でないといった形であれば、サンプルを渡す・デモを見せることは一旦やめたほうがいいです。

営業のサンプルやデモの使い方まとめ

今回のまとめです。

あくまでサンプルを渡す、デモを見せるということはお客さんにとってポジティブな気持ちを生み出すものに貢献していなければいけないということ。

営業にはいろんなコストがかかっています。コストをかけると成約率を上げなければいけません。

自分のやりたいことの確率を上げる貢献ができているのか、この目線を持っていただきながら営業活動を頑張っていただきたいということが今日お伝えしたい内容でした。

今後の営業戦略の参考になれば幸いです。応援しています!

 

この記事の監修者

営業代行事業を始め、「売れる営業組織」へと変革するためのあらゆる支援を行っています。
弊社独自のセールスメソッドを用いて、停滞する営業組織の改革から新規営業組織の立ち上げまでトータルでサポートいたします。今までご支援させていただいた企業数は100社を超え、主に中小・零細企業のあらゆる業種で成果を出し続けています。

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