日々、営業活動をしていると
「今日の自分の動きでこれ良いんだっけ?」
「この提案、本当にこのお客様に合ってる?」
「毎日頑張っているつもりだけど、成果に繋がっているのかな?」
と不安になることってありませんか?私が社会人1年目の時は、入社半年までは正直こんな悩みありませんでした。もらったリストにひたすらアポを取って、とにかく訪問しまくっていたら、毎日があっという間に過ぎて、しかも上司からも評価をしてもらえて、第2Q(第2四半期)では営業成績で社内トップ10に入れたからです。
しかし、徐々に成績の伸びが鈍化していき、「あれ、このままじゃヤバくない」と思ったことを思い出します。そこで、当時の私に向けて、営業が絶対に意識しておくべきことをまとめたので、今日は解説していきます。先日ツイートさせてもらったこの内容ですが、1つずつ見ていきましょう!
営業が意識すべきこと
・お客様が使う言葉を使う
・入金いただけて初めて成果
・話し上手よりも聞き上手
・体調管理が最重要
・レスの早さが信頼獲得の第一歩
・ヒアリング≠質問。仮説構築スキルを磨け
・人は感情で動く
・売り込まない≠美徳
・新規は嫌われたら終わり
・商品を売る前に恩を売れ— 笹田裕嗣@営業の知恵袋 (@sasada_36) August 10, 2021
目次
営業が意識すべきこと①相手が使っている言葉を使う
営業をする時、常に意識していることは「相手が使っている言葉を使う」です。聞き慣れない言葉は記憶に残らず、難し過ぎる専門用語は相手にストレスを与え、社内用語を相手に使えば相手の話すモチベーションを奪います。営業の主役は常に自分ではなく、目の前の相手。相手が輝ける商談を目指しましょう
— 笹田裕嗣@営業の知恵袋 (@sasada_36) August 9, 2021
これは絶対に意識して欲しいことなのですが(結局全部意識して欲しいのですが笑)、自分が気分良く話すことを目的にしたプレゼンにならないよう、是非気をつけてください。私がそうだったのですが、IT業界にいるとアルファベット3文字用語(例:LTV、CTR、CVR 等)が当たり前になったり、カタカナ英語(例:アナリティクス、コンバージョン 等)が当たり前になります。
しかし、提案をしている目の前の中小企業の社長が使っている言葉は「売上」「問い合わせ」「資料請求」「反響」です。
- LTV → 売上
- CTR → サイトのクリック
- CVR →資料請求
- アナリティクス → Webの分析
です。カタカナもアルファベットも使いません。前にとある社長との打ち合わせのノートが商談中に見えた時は「うえぶ(Web)」って書いてありました。冗談抜きに生きている業界が違えば、使う言葉が違います。マーケティングやWeb会社はマーケティングの世界に住んでいると思いますが、目の前の社長はマーケの世界ではなく、自分の業種の世界に生きています。
日本に住んでいるのに、英語で話しかけられたら「日本語で話してくれよ」と思いますよね。タウシロ語(ペルーの言葉らしいです。話者が少ない世界の5つの言語の1つです笑)で話しかけられた日には会話不能です。こうならないように気をつけましょう。
営業が意識すべきこと②入金いただけて初めて成果
営業、特に新規開拓をしていると、「営業の仕事=アポ取り」「営業の仕事=契約書回収」になってしまいがちです。私も契約書を回収できたら、毎週20件のアポノルマが取れたら安心していました。しかし、経営者になってから改めて感じることはお金が大事ということです。
汚い話を思う人もいるかもしれません。しかし、会社を経営しているとよくわかります。会社はお金を回すことでビジネスを回し、利益を生み出しています。
お金の入口はこの辺りですね。
- 売上
- 借り入れ
- 融資
- 投資
- 助成金・補助金
この入ってきたお金を使って、人件費や広告費、新規事業の立ち上げ資金などとして使い、さらに大きなお金に変えることが会社経営です。使ったお金よりも売上として入ってきたお金が大きければ利益になります。
営業活動は会社経営活動の一環です。利益を生み出すことに貢献しなければ、営業の存在意義はありません。契約書回収もアポ獲得も、まだお金には繋がっていないということを忘れないでくださいね。
営業が意識すべきこと③話し上手よりも聞き上手
無敗営業の著者の高橋さんが以前Twitterでもこのような調査結果を発表されていました(画像引用:Twitter)。
どんなに話がうまくても、情報が溢れかえっている現代では、話のうまさだけで人を動かすことは難しくなっています。どんなに良いプレゼンであったとしても「一度社内で検討します」となってしまうことがほとんどです。ましてや昔の営業のように、その場で契約書を取り出し印鑑を押させるようというゴリゴリプッシュ型営業も難しい時代です。
だからこそ現代の営業において大事なことは相手との関係構築スキルで、「この人(営業)の話なら大丈夫」「この人から買いたい」という気持ちを作ることが大事なのです。
▼令和の営業についてはここでも詳しく書きました。
令和の営業を考える。セールスのニューモデル
営業が意識すべきこと④体調管理が最重要
営業必須スキルは体調管理。営業を求められている時は、声をかけられた時。チャンスを逃さないためには「穴を開けない」意識が大切。昔、「昨日お問い合わせいただいた件で連絡しました」とお休み翌日に連絡をしたら、「昨日いなかったから他社にお願いしちゃった」と言われた私の教訓です
— 笹田裕嗣@営業の知恵袋 (@sasada_36) August 11, 2021
このツイートが全てです。
営業に求められていることは、求められている時にそこにいるということです。
この目線で考えるとスケジュール管理能力も大事。いつも忙しくて、アポがいつも数週間後となる人は、チャンスを自ら手放してしまっている可能性があります。
営業が意識すべきこと⑤レスの早さが信頼獲得の第一歩
お客様と信頼関係を築きたい
営業をしていたら誰もが思うことだと思います。ただ営業は友達作りよりも簡単です。理由は目的が明確だからです。営業に求められていることは「課題解決」か「目標達成」です。共通の目標や解決したい課題が明確になれば、後は数ある選択肢の中から自分がベストだと思ってもらえれば関係がスタートできます。
一方で関係構築ができない営業は、そもそものスタートラインに立てていないことがほとんどです。簡単に言えば、「この営業の話を聞きたい」という気持ちを作れていないのです。というよりも、相手の関わりたい気持ちを営業が自ら奪ってしまっているケースがほとんどです。
関係構築を自ら放棄する営業の特徴
・遅刻する
・嘘をつくごまかす・隠す・嘘をつく
・話が長い
・反応がない
・返事・対応が遅い
・本音が見えない営業と顧客の関係は目標達成か課題解決です。それができそうな人であれば付き合うチャンスがあるのに、自ら話しかけたくない人になっていませんか?
— 笹田裕嗣@営業の知恵袋 (@sasada_36) August 11, 2021
こんな営業を自分がしてしまっていないか、是非チェックしてください。その上で「この人と付き合いたい」と思ってもらうコツは当たり前の基準を上げることです。
営業の質を2倍にも3倍にも変えるラポールの重要性と4ステップ
営業が意識すべきこと⑥ヒアリング≠質問。仮説構築スキルを磨け
2012年、今から9年前に行われた「営業に聞いた営業に必要なスキル」の問い。リクナビNEXTが発表した結果(結果・画像引用:リクナビNEXT 営業職1500人に聞いた「16分野別」絶対不可欠スキル)はこのようになっていました。
私のフォロワーさん達にTwitterでも聞いてみました。
今から約9年前に行われた営業職1500人に聞いた、営業に必要なスキル。どれが1番回答が多かったと思いますか?
— 笹田裕嗣@営業の知恵袋 (@sasada_36) August 10, 2021
課題発見やヒアリングが大事なことは今も昔も変わりません。しかし、これだけ情報が溢れ、情報へのアクセスが簡単になった現代に必要なものは、課題発見のヒントやヒアリングのヒントを見つける力です。「どう調べたら良いかわからない」「どう検索したら良いかわからない」問題を探す、一緒に見つける意識が大切です。
だからこそ、営業がやるべきこと、必須のスキルは事前準備だと私は考えています。この記事でも書きましたが、営業は相手の時間を奪う・もらう行為です。相手の貴重な時間を有意義なものにするために、事前準備=仮説構築をしっかりとして商談に臨みましょう。
https://hiroshi-sasada.com/blog/ready/
営業が意識すべきこと⑦人は感情で動く
私が営業で意識していることは「人は感情で動く生き物」であるということ。正しさよりも面白さ、正しさよりも怖い・面倒臭いが勝つ。ロジックは後付け。必要さを訴えるよりも、いかに「必要そう」と思ってもらえるかが、営業のスタートライン。やってみたいを作れる営業が今も昔も売れる営業である。
— 笹田裕嗣@営業の知恵袋 (@sasada_36) August 10, 2021
正論を振りかざして相手を動かしたいと思っている人は、営業は向いていません。人は正しいから動くわけではないということを絶対に忘れてはいけない生き物です。
これは心理学では「心理的リアクタンス」と言われており、人は強制されるとやる気がなくなります。これは天邪鬼なわけではなく、防衛本能なんです。相手に自ら選んだという”感覚・実感”を提供することを意識するのが大事です。
▼その他の営業で使える心理学理論はこちら
営業で活用すべき心理学58選。売り込み以上に活用すべき心理学の使い方
営業が意識すべきこと⑧売り込まない≠美徳じゃない
最近はSNSや広告でも「売り込まない」ということが良いものとされ過ぎていると感じています。気持ちはわかります。営業として何かを相手に売るときに、「買ってください」「お願いします」と頭を下げることがストレスになったり、相手に最後強く依頼するということはそれだけの責任が生まれます。私も昔
「笹田くんが絶対に大丈夫って言ったから契約したのに」
と怒られたことがあり、それ以来一時期売り込む=強いクロージングができなくなった時期がありました。
ただ営業が意識すべきことは、相手にポジティブな変化を提供することです。成果を変えるためには何かしらの行動を変えてもらわなければなりません。だからこそ、最後に背中を押してあげる営業はやっぱり重要だと感じています。
最近は「売り込まない」ことが美徳にされすぎている。顧客の立場になった時、本当に必要なものだけど一歩踏み出せない時は背中を押して欲しいと感じている人もいる。売り込まないから良いのではなく、相手に不必要なものを押し付けるから顧客が疲弊する。ここを勘違いすると、結局売れないんですよね。
— 笹田裕嗣@営業の知恵袋 (@sasada_36) May 21, 2021
また営業が商品や提案内容に自信がないと、「ご検討ください」と逃げるトークになりがちです。私は営業時に「ご検討ください」は言わないようにしています。理由はこちらです。
売れない営業ほど、最後の最後に「ご検討ください」と意思決定を相手に丸投げする。この言葉の返答の9割は「検討させていただきます」であって、「是非お願いします」ではない。営業がこの人に使って欲しいと確信したのであれば、「ぜひ使ってください」を言い切るべき。売り込まないは美徳じゃない。
— 笹田裕嗣@営業の知恵袋 (@sasada_36) August 10, 2021
本気で検討してくれている相手は検討=具体的な行動に繋げてくれます。
- 上司と相談をする
- 社内メンバーと相談をする
- 他社の提案や相見積りを受ける
- 既存のサービスと比較してみる
など、検討という言葉自体は具体性がありません。本気で検討してもらいたいのであれば必ずネクストアクションを決めましょう。
決してこういうヒアリングトークをしちゃダメですよ。
「お困りごとはありますか?」「お役に立てることはありますか?」「御社の課題は何ですか?」に対して、お客様が思っていることは「知らん」。わかっていたらすぐに相談をしています。そもそも相談をして良い相手なのか、何を相談できる相手なのかを相手はわかっていません。この前提は忘れちゃダメ
— 笹田裕嗣@営業の知恵袋 (@sasada_36) August 12, 2021
営業が意識すべきこと⑨新規は嫌われたら終わり
なぜ断られたら終わりなのか、考えたことってありますか?
答えは単純で、お客様は断る権利を持っているからです。面倒な営業、困る営業、イラっとする営業と、契約も始まっていない、支払いもしていない相手に対して、わざわざ話す理由を相手は持っていないんです。もちろん営業する側の立場が強く、超有名企業だったり、他では絶対に持っていない圧倒的に差別化されている商品を持っていれば別です。
しかし、大抵の商品・プロダクトが、他で代用できてしまうのが現代です。ちょっと頑張れば、全部Googleで完結できてしまうような世の中です。そんなご時世で、わざわざ嫌いな人と話してくれる顧客はいません。
ただ、嫌われることを過度に恐れて、何も言えない営業ではこれはこれで意味がありません。
相手にとって会う意味=会う価値のある営業になれているか、つまり相手にとって必要な提案を必要なタイミングで伝えられている営業になれているか、常に意識する必要があります。
営業が意識すべきこと⑩商品を売る前に恩を売れ
ついに最後です。最後はこちら。
営業で成功したいなら、商品を売る前に恩を売る。「恩を売る」というと、打算的でやらしいと思う人もいるかもしれません。ただ営業はそもそも戦略的に、相手の期待と欲求を作り出し、その期待と欲求に応える仕事です。相手からお金(売上)をもらいたいのであれば、まずは自分から何かを提供しましょう
— 笹田裕嗣@営業の知恵袋 (@sasada_36) August 13, 2021
ベンチャーやスタートアップは「ギバーになれ」とか「ギブの精神」的な表現をしますが、言っていることは同じです。相手に与える意識が巡り巡って自分に返ってくるということを忘れないでください。
営業が意識すべきこと⑪1回の商談で決まらない
もう一つ、この記事を書いていて思い出したことがあるので書きます。
それは1件の受注は1回の商談、1回のコミュニケーションでは決まらないということです。ごく稀に、飛び込み→即決受注という奇跡が起こります。しかし、これは奇跡なので、この奇跡を追い求めることはリスクが高過ぎます。そもそも知らない人が突然入ってきて、その人から「じゃあお金払うわ」ってなりますか?ほぼありません。(全くないわけじゃないから追いかけちゃう気持ちもわかりますが。。。)
ただ営業は継続したコミュニケーションの積み重ねで信頼とチャンスを掴めるということを忘れないでください。
【まとめ】営業が意識すべきこと
営業が意識すべきことを11個、ご紹介しました。
是非今の自分はできているか、できていないところがあればどうすればできるようになるか、整理してみてください。
営業は疎まれている仕事です。電話をして「営業です」と言っただけで、ガチャギリされたり、怒られたりすることがある仕事です。しかし、正しい向き合い方をすれば、喜んでくれる人がたくさんいる仕事でもあります。是非、お客様から求められる、必要とされる営業になるきっかけにこの記事を使ってください。
▼YouTubeでも発信しています。
他にも有益な情報発信を続けておりますので、見てくださいね。
(23) 営業の意識開拓「TOP3」新規開拓で売れるようには #shorts – YouTube
この記事の監修者
株式会社営業ハック
代表取締役
笹田 裕嗣
営業代行事業を始め、「売れる営業組織」へと変革するためのあらゆる支援を行っています。
弊社独自のセールスメソッドを用いて、停滞する営業組織の改革から新規営業組織の立ち上げまでトータルでサポートいたします。今までご支援させていただいた企業数は100社を超え、主に中小・零細企業のあらゆる業種で成果を出し続けています。