商談をしていて、このような経験はないでしょうか。
「何かご質問ありますか?」
「特別ないです」
「何か気になる点ありますか?」
「今のところ今いただいた説明で大丈夫です」
「……わかりました、ではまた改めて連絡させていただきます」
このような流れを経験している方は滅茶苦茶多いです。上手くプレゼンができたときほど、意外とお客様から質問を貰えないケースにあたるものです。このジレンマを今回解消していきたいと思います。
目次
「質問が出ない」なぜ相手の反応が薄くなってしまうのか?
そもそも質問はどういった背景で生まれるのか、整理してみましょう。
- 疑問を持った
- 不安を感じた
- その他何か解決したいものがある
つまり、お客様と営業それぞれの考えの間にギャップができたことにより、なぜそれが生じたのかを確認したいがために質問は行われます。疑問に感じることがあって初めて質問のベースが作られます。疑問を解消するためのコミュニケーションが質問です。
しかし、興味がない人は疑問が生まれません。興味があって初めて疑問が生まれるからです。
- ①興味
- ②疑問
- ③質問
このことを念頭に置く必要があります。
「質問が出ない」相手の反応が薄い理由①興味を持っていない
このことを考えたときに、「自分の説明に興味を持ってもらえていない」ということがポイントとして挙げられます。
なぜ興味を持ってもらえていないのでしょうか。理由は単純です。
お客様の聞きたいことを話していないからです。
言い換えれば、営業が自分の話したいことだけを話してしまっているからである、ということになります。
歴史に興味がない人に歴史の話を熱弁したところで、「へぇ、そうなんですね」以上のリアクションは期待できません。つまり、その話から未来のことにどうつなげていくのかという発想がなければ、会話は広がっていかないということです。
伝えた情報をもとに、今後お客様がどう活用できるのか、今までと何が違うのかという比較ができなければ、質問や疑問は生まれません。
相手に興味を持ってもらうために:相手の関心事を特定していく質問をする
反応が薄いお客様の頭の中には、自分には想像がつかない何かがある。そう思って商談に臨むことは重要です。こちらが説明をする前に、「いま、何がお客様の関心事なのか」を聞くことで、相手が興味のある話をできるようになります。
商談に臨む前に「今日の場で伝えること」を懸命に考え、開始とともに熱弁を振るう営業は多くいますが、相手の反応が薄い際にもその行動を突き通してしまうと、相手の心はさらに離れて行ってしまう可能性があります。
説明やプレゼンのトークスキルを磨くより、「相手の関心事に対してこちらが話すことをいかにマッチさせるか」に注力することで、お客様の反応を引き出すことができるのです。
また、自分が話していることがお客様の関心事に添えているか、こちらの説明がズレていないか定期的に確かめることが重要になります。そのためにできることが、質問です。
しかし、ただ質問をしただけでは、「とりあえず今のところは大丈夫です」と言った返答が返ってくる可能性があります。大丈夫とお客様が言っているからいいじゃないか。そう思うかもしれません。ただ、ここで注意していただきたいのは、「大丈夫です」この返答には、すっきり納得しているわけではなく、単にその場で答えを思いつかなかっただけという意味が含まれている場合があるということです。
そこで、この返答を引き出さないようにするテクニックがあります。それは、
- 選択肢を提示する
- 具体的な観点をセットにして提示する
この2つです。これらのことを意識することで、相手は質問に答えやすくなります。
例えば、「導入を前向きに検討したいか、気になることがあってもう少し立ち止まって考えたいか、どちらに近いですか?」などと、いくつか選択肢を設けて聞けば、相手はどれかを選べばよいので、答えやすくなります。
また、「他のお客様からは、導入にあたり現場の巻き込み方についてご質問をよくいただきますが、御社としてはどんなことが気になりますか?」のように、他社の例を付け加えるなどすることで、相手は具体的なイメージがしやすくなり、質問に答えやすくなります。
こういった、相手の関心事を特定し、相手の反応を引き出す質問をしていくことで、自然と会話ができ、商談の温度感をあげることにつながっていきます。
▼興味を持ってもらえる話し方についてはこちらでも解説しています。
今すぐ営業トーク改善!興味と好意を持ってもらえる話し方
「質問が出ない」相手の反応が薄い理由②完璧な説明をしすぎている
もう1つ質問がでないケースとして、完璧に説明しすぎていることが挙げられます。完璧な説明をしすぎると、2つの面で弊害が発生してしまいます。
1つ目は、心理的安全性の欠如です。
あまりに完璧すぎると、お客様は営業に質問がしづらくなります。
「バカって思われたらどうしよう」
といった不安が生じるのです。
2つ目は、相手に考えさせる余白がなくなるということです。全てを網羅して説明しているがため、相手にとっては受け止めるだけになります。完璧な説明をしすぎてしまうと、相手に考えさせるきっかけを作っていないことになるのです。プレゼンは決して一方的に話す場所というよりも、コミュニケーションをとる場所です。
最後に聞くのではなく、途中で聞くことで、相手の話す余白を作ることが重要になります。
一方的に話すことにつながり、相手が考えるきっかけを失ってしまいかねません。プレゼンはあくまでコミュニケーションをとる場であることを念頭に置く必要があります。
「質問が出ない」③まとめ:お客様に質問をしてもらうために
質問が出ない理由を1枚の画像にまとめるとこのようになります。
相手が興味を持っていることを話せているか、完璧な質問をしすぎていないかということを意識することが重要です。
「プレゼン力を磨きたい」
このような際に多くのビジネスパーソンは話す練習をします。原稿を読む力、話し方はもちろん改善され、一定の効果はでます。しかし、会話ができていないことが続くと、相手との関係が前進しない状況に陥ってしまうことがあります。
営業におけるゴールとはなんでしょうか。それは、
「この人にお金を預けたい、それで問題を解決してもらいたい」
と、信頼してもらうことです。
信じてもらうために必要なのは、一方的な言葉の上手さではありません。会話のキャッチボールをいかに成立させるかということです。特に、相手の興味があることをベースにした会話が求められます。決して、商品のことをディスカッションしにいくわけではないことを念頭に置く必要があります。
相手が興味をもっていることを会話しにいくという意識が持てるかどうかで、相手が質問してくれるかどうかが変わってきます。
今後の営業戦略の参考にしていただければ幸いです。
▼テレアポの突破方についてはこちらでも解説しています。ご参考ください。
相手といい関係を築きたい!営業で相手に好かれる7つの質問の仕方
▼YouTubeでも発信しています。
他にも有益な情報発信を続けておりますので、見てくださいね。
(14) 何か質問ありますか?「特にないです」その理由は・・・ – YouTube
この記事の監修者
株式会社営業ハック
代表取締役
笹田 裕嗣
営業代行事業を始め、「売れる営業組織」へと変革するためのあらゆる支援を行っています。
弊社独自のセールスメソッドを用いて、停滞する営業組織の改革から新規営業組織の立ち上げまでトータルでサポートいたします。今までご支援させていただいた企業数は100社を超え、主に中小・零細企業のあらゆる業種で成果を出し続けています。