たぶん、日本の社会人を経験した人なら一度は言われたことがあるんじゃないでしょうか?
結論から話して
私1人だったら恥ずかしいなと思って、Twitterで聞かせてもらいました。結果はこちらです。
上司や先輩から「結論から話して」と言われたことってありますか?
— 笹田裕嗣 | 営業ハック (@sasada_36) July 3, 2022
仲間がいて良かったです。
私は社会人になる前に、大学生の頃からインターンシップ等を含めて営業を経験しています。20歳の頃から営業の仕事をしているのですが、インターン始めたての頃は「笹田くん、結論から話すと良いよ」、テレアポバイトをクビになった会社(クビになる直前)では「だから結論から話してって」と怒鳴られ、1番長く続けさせてもらったテレマーケティングのインターン先では「ささ、また結論が迷子になってるよ」と諭されました。
そして、社会人になって1年目になる直前。入社式1週間前から山梨の山奥での新入社員研修。軍隊のような研修で、そこでも言われるのは「結論から話す」ことの大切さ。そして、報告・連絡・相談練習で「結論から話せ」という指示・指導。
現場に配属されてからも「で、結論は?」と聞かれました。最近言われなくなったなと思うと、ふとした時に「笹田くん、結論教えて」と言われ、異動になり理系ゴリゴリの先輩のチームになると、「結論だけ、端的に」を連呼され、さらに結論から話すことになりました。
それは転職先でも続き、「結論は?」と新人に指導している上司を何度もみました。
こうやって「結論から話す」「結論から話せ」という会話が、ビジネスの現場では日々繰り返され、多くの社会人が結論から話すことを身につけていくのかと思います。そんな「結論から話す」について、より最短・最速でできる方法とそもそもできない理由を考えていきたいと思います。
目次
そもそも日本人は結論から話すことに慣れていない
日本の学校教育では「結論から話す」話し方で、会話や情報を得ることは少ないです。
多くは「起承転結」での物語が多いです。「起」で話が始まり、「承」で受けて、「転」で転回し、「結」で結論を述べるという4部構成。「結論から話せ」と社会に出たら言われるのに、文章構成では「結」が1番最後。さらに「結」の前に「転」で話をひっくり返してますからね。
また日本語の作りの影響もあります。
I have a pen.
という英語を言葉の順番で訳していくと
私は 持っている ペンを
です。
日本語に直すと
私は ペンを 持っている
となります。日本語は結論の述語が最後に出てくる構成になっているのです。
- 今日は調子が悪いので、テレアポはしたくありません
- 今日は調子が悪いので、テレアポはしませんでした
- 今日は調子が悪いので、テレアポをしましたが途中でストップしました
- 今日は調子が悪いので、テレアポはやめてリサーチに時間を割きました
普通に話すと「で、何が言いたいの?」となるのは必然な文章構成です。
結論から話せない人の特徴8選
結論から話す機会が少ない日本人が、社会人になって求められる「結論から話せ」トーク。
実は社会人になる前に「就職活動」でも求められます。志望動機や自己PRは
私は〜〜です(と考えています)。理由は3つあります。1つ目は〜〜
的な話し方が就活トークのテンプレートとして、書籍やネットに書かれているからです。
こういった就活や就職で求められる結論からトークができない人の特徴はこちらです。
- 考えながら話している
- 言い訳をしようとしている
- 話を盛りがち
- 全部話そうとする
- 話しながら話したいことが増える
- そもそも結論から話したことがない
- そもそも結論がない
- そもそも結論から話す気がない
結論から話せない人の特徴①考えながら話している
これはよくあるパターンです。
自分の中で結論や着地を探しながら会話をしている状態です。もちろん、会話・コミュニケーションを取れば、その時々で状況が変化することは事実ですし、そういった相手の反応や回答に合わせて回答や言葉が変わることも必然です。というよりも、コミュニケーションを成立させるにあたって、気持ちよく会話をするにあたって大切です。
一方でビジネスにおけるコミュニケーションはある程度会話の方向性やゴールは決まっていることが多いはずです。逆算思考が大切と言われるのも、ゴールが明確だからです。そもそもビジネス、特に営業は「利益を出す」「顧客の課題を解決する」を両立させることがミッションなので、ゴールは最初から決まっているといっても過言ではありません。
その手段を何にするかという議論はありますが、そもそもその前提を見失った会話をしていれば、会話・やりとりが散らかるだけなのは当然です。
結論から話せない人の特徴②言い訳をしようとしている
またさらに考えながらの会話の中で問題なのが言い訳です。
言い訳とは基本的に自分を守るためのコミュニケーションで、ビジネスの成功を目的とした会話ではありません。そのため、言い訳を考えている、頭の中にある人の会話は結論が出てきづらくなります。
結論から話せない人の特徴③話を盛りがち
さらに、自己保身が言い訳なら、自己顕示は盛って話すトークです。自分をよく魅せることが目的になっているため、アピールチャンスを見つけたら、すぐに話が脱線したり、追加されたりしてしまいます。
結論から話せない人の特徴④全部話そうとする
目的を見失っていなくても結論が見えない人がいます。その特徴の1つが、自分の思っていることを全て話してしまう人です。情報量が多くなり過ぎれば、理解力が求められます。だからこそ、1分で言いたいことを伝える話し方4つのコツでも書かせてもらいましたが、伝えるべきメッセージを絞り込む意識は不可欠です。
結論から話せない人の特徴⑤自分が気持ちよく話すことが目的になっている
相手の反応が良かったり、会話が盛り上がったりすることに喜びを感じてしまう人、いわゆる話好きの人に多い傾向です。相手に伝わること、理解してもらうこと、納得してもらうことがゴールにならず、自己満足的な会話になれば、話は長くなり、どんどん伝わらない会話が出来上がります。
営業、商談における主役は営業ではありません。お客様です。この前提と忘れたら、営業は終わりです。
結論から話せない人の特徴⑥そもそも結論から話したことがない
「結論から話す」というのは、野球を例で考えればバッティングフォームのようなものです。
話し方の基本フォームが身についているかどうか、という目線で見たときに、こういった話し方の練習や習慣がなければ、結論から話すことは難しいのです。
日常から「結論から申し上げます」みたいな話はしないですからね。おかあさんに「結論から申し上げると、私は晩ごはんに唐揚げを希望します」みたいな話し方をしたら怒られますよね。
結論から話せない人の特徴⑦そもそも結論から話す気がない
また結論から話せるけど、そういったモードで話していない人もいます。
非日常会話、極端に言えば英語で話そうとすれば話し方は変わりますが、日本語のままだと話すモードを切り替えるのは難しいということもあります。だからこそ、意識が必要になります。
結論から話せない人の特徴⑧そもそも結論がない
一方でとりあえず話をしてしまうという人がいるのも事実です。
結論が見つかっていない、もしくは結論がない会話をしてしまえば、当然ながら結論から話すことは当然できません。
結論から話せない場面
普段は結論から話せる人でも話せなくなってしまうことがあります。基本的には結論を探りながら話している時ですが、具体的には下記のような場面ではよく起こっています。
- 自分に都合が悪い時
- 回答を急かされる時
- まだ回答が整理されていない時
結論から話せない場面①自分に都合が悪い時
結論から話すためには自分の頭が整理されていて、伝えたいことが明確になときです。
しかし、自分にとってネガティブな状況や言い訳をしなければいけないとき、人は目線が合わず、会話も澱み、語尾が弱くなります。話し方にも弱さが見え、どんどん何をいっているかがわからなくなります。
結論から話せない場面②回答を急かされる時
また相手から「今すぐ答えて」というように回答を急かされると、当然ながら相手も状況を整理できていないため、結論が話せず、ダラダラ話してしまったり、黙ってしまったりという状況になります。
結論から話せない場面③まだ回答が整理されていない時
急かされているときと同じくですが、回答や伝えることがまだ自分でもまとまっていないときに話をしなければいけない時があると、やっぱり失敗します。準備不足は自分の疲弊感も大きいですが、相手にとっても同じくです。
結論から話せる・話せないは習慣と環境
いろいろな会社で営業研修をさせていただくと顕著にわかりますが、結論から話せるか否かは年齢や役職に相関はありません。
年齢や役職が上の方でも結論から話せない、話さない人もいます。むしろ、若手よりも結論から話せない人は多いです。ましてや話し方や提案方法について、指導やダメ出しをされることもどんどん減ります。社長になんかなってしまったら、誰も話し方で指導してくれる人は社内にいません。
「社長、その話し方わかりづらいです」
「社長、結論から話してもらえますか」
なんて、当然社員からは言いづらいですからね。
しかし、裏を返せば、これまではそういった会話・話し方で良かった環境に身を置いていたということです。お伝えした通り、学校教育では結論から話す話し方の練習は少なく、私も結論ファーストの話し方を意識したのは学校ではなく、会社でした。
また社会に出ても、結論から話すことを求められないケースもあります。あくまで私がみてきた傾向ですが、役所の方々やシステム会社の保守・サポートをされている方々は、結論からよりも背景や事情を丁寧にお話される傾向が強いです。一方で、コンサルティング会社や外資系の会社は「とにかく結論」という雰囲気です。
癖は環境によって身に付きます。どんな会社か、さらには誰が上司につくかで、話し方も変わってきます。
結論から話しても伝わらないことがある
「それ何の話?」と言われたら、まさに結論ファースト過ぎた弊害です。
結論から話せば常に正解という捉え方は危険です。そもそも結論から話す目的は円滑なコミュニケーションの実現です。結論から話すことが目的化されては本末転倒。
弊社のご提案は新規開拓システム◯◯の導入です。金額は□□万円です。以上です。
これは結論から述べていますが、何の面白みもなく、意図も目的もなく、いきなりこの話だけぶん投げられても、相手は困るだけです。
結論から話すと嫌われることがある
結論を求められていない会話があるということです。
例えば井戸端会議。幼稚園のお迎えでママさんがお話をしているところをよく見るのですが
「あついねー!」
「弟君、大きくなったね」
「◯◯ちゃんはプール好き?」
みたいな会話ややり取りに対して、「結論からお伝えすると、うちの息子はプールが大好きです。理由は3点。1つ目は最近が暑くなってきている。2つ目は習い事をやっている。3つ目は最近潜るのにハマっている。この3点から息子はプールが好きと考えています」みたいなこと言われたら、もう二度と雑談を話しかけることはないでしょう笑
結論から話すためにやるべき8つのこと
結論から話すためには「準備」と「練習」が必要です。そのために必要な要素はこちらです。
- 何を伝えたいかを明確にする
- 自分の結論を明確にする
- 相手の理解力や前提を整理する
- 結論を補足する理由や事例情報を洗い出す
- 相手に伝わる情報に絞り込む
- 相手に伝わる言葉に変換する
- PREP法等の話の型に落とし込む
- 結論から話す意識を忘れない
正しい「結論から話す」とは?
自分の結論ではなく、相手が求めている問いや知りたいことへの回答を最初に話す
これが正解です。やりがちな失敗は、自分の主張や言いたいことを前面で押し出して話すことです。また聞き手の聞く準備ができていることも前提となります。
相手が「気になる」「早く教えて」という気持ちができていないにも関わらず
御社の課題は〜〜です!
と言われても、「あっ、そうなんですね」という感じで終わります。最悪の場合、「なんでいきなりお前にそんなこと言われなきゃいけないんだ」と思われます。結論から話したのにと思うかもですが、この会話が成立するのは「相手がオチが気になる」という状況ができてからなのです。だから、ドラマやお笑いは「で、どうなるの?」を作り出すために「起承転」があるのです。
「結論から話す」の正しい捉え方は「私には前置きが長すぎる」という相手の感覚を、的確に捉え、伝わることと相手にストレスを感じさせないバランスを取ることが大切ということです。
私が営業やコミュニケーション研修で使う図はこちらです。
PPAPで認識合わせ、PREPで主張を述べる
コミュニケーション、会話は相手がいて成立します。そのことを忘れずに、相手と会話を楽しんでいきましょう。
この記事の監修者
株式会社営業ハック
代表取締役
笹田 裕嗣
営業代行事業を始め、「売れる営業組織」へと変革するためのあらゆる支援を行っています。
弊社独自のセールスメソッドを用いて、停滞する営業組織の改革から新規営業組織の立ち上げまでトータルでサポートいたします。今までご支援させていただいた企業数は100社を超え、主に中小・零細企業のあらゆる業種で成果を出し続けています。