営業に疲れた
と思っているこの記事を読んでいただいたあなたへ。その気持ち、みんな抱えている悩みです。
営業って自分でコントロールできることが少ない仕事ですよね。営業は人を動かす仕事で、誰かに声をかける、会話をする、そして契約や約束をいただく仕事です。アポイントでも契約でもなんでも最後決めていただくのは相手です。
心理学者のアルフレッド・アドラーは「人の悩みの9割は人間関係である」と断言しました。わざわざ人間関係を増やしたり、深めたりしに行く営業職が疲れるのは当たり前と言っても過言ではないのかもしれません。
そんな「営業の疲れた気持ち」と今日は向き合っていきたいと思います。
目次
営業で疲れることは異常なことなのか?
上司から「もっとやる気を出せ」「気合いが足りない」と言われたことがある方は多いんじゃないですかね?私みたいに30半ば近く・以上の方だと、まだまだゴリゴリ営業全盛期なので、経験がある人も多いかと。体育会系の営業について以前アンケートを取らせていただいたのですが、体育会系の会社で働いた20人にきいた現実とリアルな実情を見るとわかりますがだいぶえげつない感じです笑
こんな会社は減ってきたというか、NGに制度・社会の風土的にもなってきましたが、とはいえ「営業で疲れた」という方はいます。
日本労働調査組合が行った営業職の勤務意識に関するアンケートでも営業職のデメリットの1つが「疲れる」で28%の方が答えていました。
さらに株式会社RevCommが先日行った社会人2年目以上の営業職302名を対象に、新卒営業時代の「壁」調査では80%以上の人が「やりたくない/休みたくない」と感じたことがありました。
営業に疲れた理由とは?
さらに営業支援会社・営業代行会社、営業のプロであるセレブリックスの皆さんも疲れた時はありました。セレブリック社内で行われた調査結果(営業を辛いと感じる瞬間についてのアンケート)を見てみると、その理由はこちらでした。
営業支援会社で営業をやることを前提で入ってきている意識高い系の人たちだからとお思いかもしれませんが、やっぱり誰だって成果が出ないと営業に限らず辛くなるのは必然かなと思います。また上司も「やる気がないから怒っている」というよりも「結果が出ていないから怒っている」というケースがほとんどです。やる気はないけど結果はめちゃくちゃ出している人に上司は大体怒りません(本当に部下のことを思っている上司は、結果が出ていたとしてもモチベーションややる気が低かったり、やるべきことをちゃんとやっていなかったら、その子の未来を思って指導してくれていると思いますが)。
ダイエーの創業者、中内さんの言葉にこんな言葉があります。
売上はすべてを癒す
これ、なかなかのインパクトのある言葉ですよね。私もベンチャーを経営していて、スタートアップを3年で潰した経験もしていて、この言葉の意味と想いはよくわかります。けど営業にこれを追い求めすぎると、絶対に成り立たなくなります。要は
売れれば何をしても良い
的なスタンスやマネジメントって長続きしないからです。
ちゃんと疲れたについて考えてみましょう。
疲労には3種類ある
世田谷区の保健センターの記事で、疲労には肉体的疲労、精神的疲労、神経的疲労の3種類があると書かれていました。
肉体的疲労は、運動や動きの多さ、もしくは同じ姿勢を維持したことにより生まれた体の疲れ
精神的疲労は、人間関係や悩み事などのストレスを原因とする心の疲れ
神経的疲労は、デスクワークなどで視神経や脳が緊張した状態が続くことによって起こる頭の疲れ
です。
営業は精神的疲労が強いイメージが強いですが、肉体的疲労や神経的疲労もあると思います。
肉体的疲労:移動時間の多さやデスクワークや会議の連続による体の疲れ
精神的疲労:目標やノルマに対するプレッシャーや上司やお客様との人間関係からくるストレスによる心の疲れ
神経的疲労:溜まった書類や契約手続きを進めるためにパソコンや書類をずっと見るなどしてくる頭の疲れ
実際、営業が営業らしく商談やお客様対応をしている時間は約3分の1という結果をSenses.Labで図にまとめてくれていました。
営業が疲れるのは事務作業や内勤作業も多いな要因としてあることがわかります。一方で精神的な疲労として「目標達成のプレッシャー」や「苦手なお客様との商談」「成果が出ていない時の謝罪対応」「上司との人間関係」も事実あります。
私が営業をやっていて疲れた果てたこと
ランキングにすると、こんな感じですね。
- 18ヶ月未入金企業対応
- 30人イベントにまさかの3人参加事件
- 派遣スタッフの突然のバックレ事件
第3位:派遣スタッフの突然のバックレ事件
当時、まだ社会人1年目の時です。まだ若かりし頃の笹田くんは「大人は約束を守る生き物」と信じて疑わなかった頃です。
この頃は派遣営業をやっていました。スタッフさんを企業にご紹介し、双方合意をいただけたら就業いただくという仕事です。10月頃だったと思います。まだまだ暖かったですが、その日だけやけに冷え込んでいたんですが、8時半に東陽町駅で初出勤のスタッフさんと待ち合わせ。入社してからそれまでに20人以上ご紹介・入社のお手伝いをさせていただいて、一度もそんなことはなかったんですが起きてしまったんです。
当時いた会社で使われていた言葉
ノーショー
英語に直すと「No show」です。現れなかったんですよね。その後音信不通になってしまい、心配した私はそのスタッフさんのご実家に電話をかけて、初出勤日から2日後の深夜11時、蒲田駅から帰る途中になった携帯に出ると
「なんで実家に電話したんですか?」
え、誰と思いながら、「もしかしたら◯◯さんですか?」と聞き、返事が来る前に「やっとご連絡ついてよかったですー!」とこちらは歓喜していたら、「ふざけないでください」と激昂。実家のご両親からめちゃくちゃ怒られたみたいです。
第2位:30人イベントにまさかの3人参加事件
人生で部活以外で初めて土下座をした日です。というよりも大人になってから人生唯一の土下座です。
社会人4年目、新卒マッチング営業のイベントの企画から営業まで全てをやっていた時期です。事業責任者・事業部長として学生インターン50名のチームを見ながら、サービスづくりを社内ベンチャーの新規事業として立ち上げて実施していました。
今だから話せますが、当日申し込みが30名のうち10名、いつもの参加率だと50%程度なので5名になってしまうので、学生インターンをイベントに強制参加。なんとか体裁をと思ったらなんと当日の参加率0%という悪夢。学生インターンの子たちを強制参加させたバチが当たったような悲惨な結果に、イベント終わり後担当の方は速攻で退席、イベントルームの出口から会場出口まで言い訳と平謝り、聞く耳を持っていただけずイベント会場の出口で土下座。
その後返金対応という形でそのイベントは終了いたしました。改めて誰も得をしない時間を作ってしまったのが当時の私でした。
けど、ここでさらに胃がキリキリしたのが、返金対応を親会社の上司が許してくれなかったこと。半年間、毎月赤字が続いており、その月の至上命題が「とにかく売上を作れ」だったんですよね。やっとの思いで立てた売上がここでなくなり、上司からも「返金だけはするな」と言われたのですが、もう限界でした。
その他:上司同行
1位に行く前に番外編なのですが、私同行が大っっっっっ嫌いだったんです。けどこんなツイートをするぐらい、今では勿体無いことをしたなと思っています。
新人営業の方へ。今しか「上司同行を闇雲に依頼できる」タイミングはありません。私は過信していて、同行依頼をせずに、4月の初受注から最初はうまくいったのですが、営業の幅が広がらず、半年で壁にぶつかりました。今だからこそ、上司の生の営業が見れるチャンスです。この機会を使い切りましょう。
— 笹田裕嗣 | 営業ハック (@sasada_36) May 8, 2022
当時の私は自惚れていて、学生時代に営業を経験していて、かつやる気のないおっさんたちよりも自分の方ができると思っていたので、上司がいない方が売れると思い込んでいたんですよね。ただ、経験に勝る技はなく、もっとお願いしておくべきだったなと思います。
第1位:18ヶ月未入金企業対応
これは独立してからです。
一部上場企業とのお取引だったのですが、見込み客開拓のご支援ということで「個人営業の仕組みづくり」をお手伝いしていました。半年の契約で
1ヶ月目:営業フローの企画立案
2ヶ月目:テストマーケティング
3ヶ月目:検証・本格運用フローの構築
4ヶ月目〜:実運用
というスケジュールでスタートし、テストマーケティングも成功し、集客コストを当時の先方の3万円から私が実施したら5,000円を切る結果になり、「これでいける!」と思った矢先。先方から1ヶ月目の入金がなかったんです(当日の私は月末締めの翌月末払い)。ここが地獄の始まりでした。
「ちょっと社内の体制変更があって、お支払いちょっと待ってくださいね」
という連絡もあり、上場企業だし大丈夫だろうと思って、そのままこちらの持ち出しでテストマーケティングを進めていたんです。そして、テストマーケ成功の報告と合わせて支払い時期の確認をしたところ
「予想以上の成果で実は今グループ会社にも展開をしているからもう少し待って」
とのご連絡で、「これはでかい取引になるぞ」と未払い案件継続中にも関わらず、私は喜んでいました。
そして、メールの返信が今までは翌日までに来ていたものが3日遅れになり、それがやがて1週間、2週間とどんどん遅くなっていきます。そして嫌気がさし、本社に電話するとなんと
◯◯は先週退職しましたが
もうこんな顔ですよ。
!(◎_◎;)
当時気にも止めてなかったんですが、なぜかずっとその方とのやり取りYahooメールだったんですよね。会社宛のアドレスに送っても必ずYahooメールで返ってくる。
そしていやいやいやふざけるな、ということで、本社に電話をしたら「◯◯が個人でやっていたことで、私どもも管理をしていないことなので」と言われ一蹴。しかもこういう時に限って、契約書の締結完了していないんですよね。もう自分を恨みました。
そこから「ふざけるな」ということで本社の当時の○◯さんの上司と打ち合わせを5回、役員との打ち合わせ2回実施し、最初のお支払い期日から1年半後入金されました。不毛な「お金を払ってください」というだけの商談はもう二度とやりたくないです。
慢性的に疲れているのはなぜか?
人って本当に疲れ果てるとお酒も飲めなくなるみたいで、こういった事件が起きて、本気で疲れると泥のように眠るようです。
ただ営業っていつも疲れている、気が晴れることが少ないという人がいます。会社に行くのも辛い、出社することすら嫌、という人が多いのも事実です。私も社会人3年目の時、まさにこの状態でした。当時の私は
- 山手線を5周する(結局、直行直帰ということにして逃げ帰る)
- 家の前の坂道が降りれなくなって、家の近所を3周する(結局、直行直帰ということにして逃げ帰る)
- ファミリーマートのイートインスペースで5時間内職(個人でやっていたブログ書き)を始める
- Facebookで毎日写真をアップして、友達1000人と繋がる
- ファミチキと煮卵おにぎりを一気に5個食べる
こう考えると、私の暗黒期はファミリーマートが救ってくれたのかもしれません。
ありがとう、ファミリーマート。ありがとう、ファミチキ。復活を待ってます、まるごと半熟煮玉子。
最近近所がセブンイレブンだから、セブンばかり行ってごめんさない
ただこうやって現実逃避をしても、結局逃げて避けているだけで問題はいつまでも残り、現実が寝て起きたら変わっていることってないんですよね。毎日が事件が起きないこと、上司から怒られないこと、お客様からクレームが来ないことを願いながら営業をする日々の繰り返しは、慢性的に疲れされるんですよね。
結局、私がこの慢性的な疲れが取れるようになったのは「問題の根本原因を解消できた時」だけです。具体的には
- 解消:問題は解決していないけど、その問題から離れた
具体的方法)会社を退職した - 解決:問題が解決し、その問題がなくなった
具体的方法)入金やご納得いただけて問題が解決した
結局仕事のトラブルから逃げてもその関係が続く限り、逃げても隠れても心の片隅に引っ掛かりが残って、休日中も気が晴れない状態って続いてしまうのと、結局プライベートで周りに迷惑をかけるので本当にオススメできません。社会人3年目、4年目の頃の私のFacebookなんて、もうみられたもんじゃないですし、何語っちゃってんのですし、本当に人生迷子だったんだなと強く思います。
ただやるならしっかりとやり切らないとダメです。
逃げるならちゃんと逃げましょう。ちゃんと離れましょう。中途半端に逃げちゃダメで、逃げ切ってください。
立ち向かうのであればちゃんと立ち向かって解決しましょう。
幸せに営業をするために必要なこと
改めてこんなアホな記事に付き合っていただいてありがとうございました。
ただ改めて幸せに営業するために大切なことって
感謝されること
これに尽きるなと思います。
営業ハックのビジョンは「営業の悩みを0にする」ですが、改めてこのために必要なことって「世の中のありがとうの数を増やすこと」なのかもと思っています。「ありがとう」と言われる仕事を、「ありがとう」をもっと伝えたい相手との仕事を増やしていくべく、精進したいと思います。
▼営業の実体験を集めてみました。ぜひこちらも見てみてください!
この記事の監修者
株式会社営業ハック
代表取締役
笹田 裕嗣
営業代行事業を始め、「売れる営業組織」へと変革するためのあらゆる支援を行っています。
弊社独自のセールスメソッドを用いて、停滞する営業組織の改革から新規営業組織の立ち上げまでトータルでサポートいたします。今までご支援させていただいた企業数は100社を超え、主に中小・零細企業のあらゆる業種で成果を出し続けています。