先日、とある営業パーソンからこのような質問をいただきました。
ヒアリングの予算を伺う時、遠慮をしてしまいざっくりとした金額しか聞き出せません。何かコツはありますか?
そこで今回は、ヒアリングで上手く予算を聞き出すコツについて解説していきます。是非お付き合いください!
営業ヒアリングで予算を聞き出すコツ①ヒアリングで予算を聞けない理由
ヒアリングの際に、上手く予算を聞き出せないというのは、多くの営業が抱えている悩みです。
- 予算(製品・サービスを購入するお金があるか)
- 決裁権(承認できる決定権を持つ人に提案しているか)
- ニーズ(必要性があるか、解決できる課題を抱えているか)
- 導入時期(いつ導入するか)
このBANT情報はヒアリングのセオリーであるとよく言われています。実際にBANTを活用することによって、その提案を受け入れてもらうためにどんなハードルがあるか、どんなアクションをすれば提案が通るのか判断をすることができるからです。
その中でも予算は、最初に聞くべき重要なものとされています。それは相手の予算規模によって、その後の質問内容が変わるからです。100万円の予算の場合と、1000万円の場合では聞く質問も提案する内容にも大きく変化が生まれます。
そのため、「このお客様は結局いくら予算を持っているの?」と上司から詰められた経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。多くの上司がきつく言うだけあって、予算を聞き出すことは営業において受注に向けたヒアリングとしての必須ポイントだと言えます。
ただ、多くの営業は予算をしっかりと聞くことが出来ていません。それはなぜでしょうか。
その理由は、「ストレートに聞こうとしている」からです。
やってはいけないNGな聞き方
ちなみに今回予算はおいくらですか?
この言葉を個人に対して話すものに言い換えると、この質問と同じような意味になります。
ちなみに今貯金はおいくらですか?
この質問をされたらどう感じるでしょうか。「は?何突然」と思う方もいるはずです。警戒してしまうのは当然のことですよね。
ストレートにこのような質問をしたところで、お客様は一歩そこから引いたリアクションをしてしまうでしょう。また「その商品導入するにはそもそもいくらかかるの」という反応をしてしまう可能性が高く、予算を教えてはくれません。
そうなるとこっちもその後のヒアリングの方向性が定まらず、結果としてスムーズに話が進まなくなってしまいます。
細かい予算のヒアリングは関係性が構築できてから初めてできるものです。この前提を忘れないようにしましょう。
BANT情報はヒアリングの王道です。しかし、ストレートに予算を聞いたところで、相手は答えてくれません。そうなるとヒアリングの方向性も定まらなくなってしまいます。
▼ヒアリングについてはこちらでも解説しています。
営業ヒアリングで予算を聞き出すコツ②解決策
そこで、予算の確認を簡単に行う解決策があります。それは、
「前提として、基準を相手に与える」
ということです。
心理学用語でアンカリングと呼ばれるものがあります。
アンカリングとは
アンカリングは、基準を示す(アンカーをおろす)ことによって、そこから相手の予算がその基準より上なのか下なのかという予算幅を掴むことが出来るというテクニックです。これは様々な場で広く活用されています。例えば広告。「通常価格より50%OFF」などの表示を見たことがあると思います。通常価格(アンカー)と、セールになった後の価格を比べると、「セールになっているし」とお得に感じるのではないでしょうか。
これは営業にも活用できます。ヒアリングのときに使えるテクニックをご紹介しましょう。
具体的には、このような聞き方が出来ます。
今回マーケティングの課題を解決したいと伺ったのですが、例えば他社様の取り組みでいくと、月額50万円くらいからスタートして、課題を解決して売り上げを伸ばしていくような形とお話いただくのですが、御社もご予算的には同じような規模で考えてよろしいでしょうか?
そこまでは予算かけられないね
それなら大体30万円くらいですかね
そのくらいだね
このような形で聞くことにより、上記のような会話の流れに誘導することができ、予算を聞き出すことが可能になります。
ピンポイントに予算を聞く必要はない
ここで重要なのは、必ずしもピンポイントに33万円という額まで聞き出す必要はないということです。30万円前後という幅が見えているのであれば、そこから松・竹・梅とプランを複数だし、お客様に選んでもらうという受注に向けた流れを充分に構築可能です。
また、もし予算はこのくらいだと明言されていたとしても、お客様が本当に必要だと感じたり、この商品は実際に周辺の課題を解決出来るものだと感じるようになれば、予算が当初の額より増える可能性も多分に存在します。
ここで意識いただきたいのが、お客様が述べた予算=最終的な金額ではないということです。
もし、年末・年度末のタイミングであり、決まった額の予算を消化したいという思いがお客様にあるのならば、金額を明確に設定している場合もあるでしょう。一方で、課題を解決したいと思っているならば、予算幅がそのタイミングで存在していた場合でも、こちらの提案の優先度をお客様が高め、他で使おうと思っていた金額をこちら側に割いてくれるというケースもあります。そのため、予算に関してはピンポイントで金額を聞き出すというよりも、幅を聞くことが出来れば大丈夫であるという認識を持つことが重要になります。
▼ヒアリング全体のコツについてはこちらで解説しています。
今すぐできる顧客に選ばれるヒアリングのコツ4選
営業ヒアリングで予算を聞き出すコツ③まとめ
今回の内容を1枚の画像にまとめるとこのようになります。
錨をおろす、つまり他社の事例など基準になるものを相手に最初に示すこと、また、今相手はその問題・課題についてどの程度予算を投下しているのかという点を確認することが予算を聞き出すコツです。
あくまで、ピンポイントではなく会話の中で大体の落としどころを確認していくようにしましょう。決してストレートに聞き出そうとするのではなく、「これぐらいですかね?」という意識でヒアリングをしていただきたいと思います。
いきなりストレートに聞くと相手は「えっ」と一歩引いてしまう反応を見せます。お金に関する部分というのは人が自然と敏感になってしまう部分になるため、聞き方には注意する必要がある点、意識いただきたいポイントです。ただ、それは裏を返せば聞き方の工夫さえしてしまえばすぐに解決出来るものだと言えます。
是非質問の仕方、工夫してみてください!応援しています!
▼動画でも解説しています。他の営業に役立つ情報を数多く発信していますので、是非見てくださいね!
(5) 【できる営業はやっている】予算の幅を明確にする方法 – YouTube
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