初回商談。お客様との今後の関係の方向性が決まってしまう重要な局面です。緊張してしまうのも無理はないです。新入社員なら尚更でしょう。
初回商談をする上で、実は最も重要なのは「事前準備」になります。そこで、今回は初回商談への向き合い方・何を準備すべきかをまとめていきます。
- 初回商談が上手く行かない
- 新しく入ったばかりで、何をしたらいいか分からない
こういった方に向けた内容となります。是非最後までお付き合いください!
▼新人営業パーソンの方は是非こちらもご参照ください!
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①初回商談準備で行うべき2つのこと
初回商談に向けて、行うべきことは2つです。まず1つ目は、「リサーチ」。相手がどんな企業なのか。何を課題として持っているのか。担当者は何か情報を発信しているのか。結構これはやっている人も多いかもしれません。
しかしながら、2つ目に関しては殆どやっていない人が多いです。それは、「コミュニケーション」。意外と疎かになりがちかつ、非常に重要なことになります。
例えば、8/1にアポイント承諾をいただき、打ち合わせ日時は8/10だったとしましょう。この9日間に、お客様と連絡をとっている営業は果たしてどのくらいいるでしょうか。私は正直あまり聞いたことがありません。せいぜい前日に「明日の打ち合わせよろしくお願いいたします」という連絡をしている人を見るくらいです。商談前にお客様とコミュニケーションをとっている営業は本当に少ないと言えるでしょう。
アポイントをとったからと言って、その前に連絡を取ってはいけないルールはありません。事前にコミュニケーションをとりながら関係を近づけていく。打ち合わせに向けてヒアリングをする。こうしたことを行っておくと、初回商談は話しやすくなります。商談のときになって初めて「さ、ヒアリングをしようか」「共通の話題でアイスブレイクを」と質問攻めをしてしまうがために、
- 色々やけに聞かれる
- 話が長い
- 興味がない
こんな感情を相手は抱いてしまうのです。そうなってしまうと、2回目のアポイントをいただくことは難しいでしょう。
2回目のアポイントをいただけない理由は、初回商談で相手がネガティブイメージを持ってしまっていることが殆どです。「もう会う必要はない」相手にそう思われてしまうのは、初回商談の進め方もそうですが、その手前のコミュニケーションに問題があることが多くあります。
「初めまして、こんにちは」この状態で良い商談を行うのは誰であっても難しいです。そうならないように、その手前のリサーチ&コミュニケーションを意識していただきたいと思います。
②初回商談で押さえるべき前提
初回商談に向けておさえるべき前提があります。それは、
「営業は自分が発信している情報は全て把握していると相手は考えている」ということです。つまり、「相手が発信している、調べれば誰でも見つけられる情報」は漏らさずにチェックすることが必須だと言えます。
初回商談準備をしない営業は基本的に、相手から全てを教えてもらうスタンスになっています。そのため打ち合わせはまずヒアリングから入ることが多いです。しかし、営業を受ける側の立場になって考えてみると、ここのポイントに差が出ます。お客様は、ヒアリングをされたくて打ち合わせをしているわけではないのです。お客様は、自分の課題や困っていることに対してこの営業が解決策を持っているかどうかを聞きたいのです。それにも関わらず、「従業員って今大体何名ほどいらっしゃいますか」「SNSマーケティングって御社では今行ってますか」などと調べて分かることを聞いてしまうと相手は興味を失います。「Webサイトって力入れてますか?」と聞く人もいますが、自分でHPを見ればどのくらいの頻度で更新されているか分かるはずです。
調べれば分かることをわざわざ聞く。これは大きなマイナスポイントであり、これをしてしまうからお客様は「もう話さなくていいや」となってしまうのです。
相手が発信していない、聞かないと分からないことをヒアリングするのは重要です。ただ、質問の内容によっては「それ見れば分かるのに」となってしまう危険性があります。そうならないように、事前にリサーチしておくことが必要だと言えるでしょう。
リサーチは本来、
- 良い会話
- 良い商談体験
- 良い営業体験
これらをお客様に実感してもらうために必要な段階です。相手にポジティブなイメージを持ってもらうには、まず相手の土俵と同じ場所に立つのがポイントになります。つまり、相手が発信している内容は最低限知った状態で商談に臨めるようにしておくようにしましょう。
嫌われる営業の典型的な特徴。「それネットに載ってるよね?」となることです。この気持ちを持たせてしまったが最後、良い印象を取り返すことは困難になります。増してやこれだけ商品やサービスが増えたご時世、今回の商談以外にも数多くの営業を相手は受けています。すぐに分かる情報をまた聞いた瞬間に、「面倒だし」となってしまい、シャットアウトされてしまう可能性だってあるわけです。
何を理解しておく必要があるのか
とは言っても、事前に何を調べておけばいいかお悩みの方もいらっしゃいます。新人営業パーソンだったりするとその傾向は強いかもしれません。「ここを調べておくべき」というポイントをまとめていきます。
初回商談前に調べること①ビジネスモデル
「この会社は、誰に、どんな価値提供をしてお金をもらっているのか」という点です。ビジネスモデルと言うと複雑に聞こえるかもしれませんが、「誰に、どうやってお金をもらっているのか」とシンプルに捉えることが出来ます。
ビジネスは誰かからお金をもらうことで成り立ちます。この基本部分をまずはおさえておきましょう。
そして更に、事業計画・戦略・企業理念については把握しておきましょう。いわゆる初回商談におけるマナーの部分です。
初回商談前に調べること②3C分析
- 市場・顧客(Customer)
- 自社(Company)
- 競合(Competitor)
この3つについて分析する方法を3C分析と言います。この3つを把握しておくと会話をスムーズに展開することが可能です。
▼3C分析のやり方についてはこちらのサイトが参考になります!
3C分析のやり方-マーケティング環境分析
初回商談前に調べること③プラス2C分析
3C分析にプラスして、あと2つ調べておくと理想的です。
- 「商談先企業の」顧客
- 「商談先企業の」競合
こういったことを分析していくことによって、顧客理解が深まっていきます。
分析のお話などをさせていただきましたが、基本的には「この会社は誰に、どうやってお金をもらっているのか」まずはシンプルに、ここを即答できるようにしておくことが必要です。これがスタートラインになります。
初回商談前に調べること④PEST分析
PEST分析という手法があります。これは会社の環境を、
- 政治
- 経済
- 社会
- 技術
これらの4つの観点から分析するフレームワークのことです。ここから会社に影響を与える外部要因を整理し、影響度を評価していくものになります。「日本というマーケットで仕事をしているから皆一緒」という考え方は現代において通用しないと言わざるを得ません。
今目の前が属している社会・世の中・市場がどのようなものなのか、この部分をおさえておくことが重要になります。
初回商談前に調べること⑤組織図
組織図を把握することによって、「今その会社がどの組織に力を入れているのか」を知ることが出来ます。力を入れている組織=力を入れている事業です。例えば、開発部が小さく、営業部が多岐にわたっているのであれば、その会社は営業力で勝負するスタイルであると言えるでしょう。
ここを知っておくことで、相手がどこに興味を持っているのかある程度推測することが可能です。意識していただきたいと思います。
初回商談前に調べること⑥決算月
法人であるなら、基本的には年間でいくらのお金を使えるかが決まっています。年度内で予算計画を立て、自由に使えるお金がそもそも少ないケースもあるわけです。
これを逆手にとって考えると、予算計画を立てるタイミングを知っておけば、いつ営業をかけるのがベストか見極める助けになります。営業において重要なことは、「誰に&いつ営業するのか」ということです。このことはおさえていただきたいポイントです。
③初回商談でやらなくていい準備
不要な準備としておさえていただきたいポイント。
「細かい数字の記憶」です。数字を細かく記憶しておくことで会話が進むことが全くないとは言いません。ただ、「従業員数1181人」これを覚えていたところで特別良いことは正直ないです。増してやこういった数字は、企業の更新タイミングによっては、必ずしもリアルタイムの情報ではない場合があります。
商談は暗記テストではないので、数字を事細かに覚えておくことは不要です。必要なのは、「このくらいの規模感だったら…?」「この業界だったら…?」とある程度の幅の中で仮説を立てておくことになります。まだ対面で話しているわけではないので、いきなりそこまで厳しさを求められることはないです。まずは予測が立てられる幅で把握しておくようにしましょう。
④初回商談の準備で気を付けるべき5つのポイント
初回商談の準備、つまりリサーチとコミュニケーションの中で気を付けるポイントについてまとめていきます。
初回商談の準備ポイント①仮説を立てる
「相手が今求めているものは何だろう?」
この仮説を立てておくようにすることが重要です。「この業種だったら、こんな情報が欲しいんじゃないか」ということを考えておくようにしましょう。業種だけでなく、
- 地域
- タイミング
- 規模感
- 業界
こういった点で考えることも可能です。複合的な視点で、仮説を立てていく必要があります。
仮説を立てるにあたってどんな視点があるのか。8つ存在します。
仮説の視点①ビジョン
ビジョンというのは、「将来的にその会社がどうなりたいのか」という点です。どの企業もHPやSNSなどで必ず発信しているはずだと思います。どんな将来像を描いているのか把握するのが仮説を立てる際のビジョンの要素です。
仮説の視点②ビジネス
ビジネスである以上、相手の企業も利益を追求するというゴールが存在します。利益=売上-コストです。そのため、方針として、「コストをかけてでも売上を伸ばしていきたい」というものなのか、「コストを削減する方向」「同時並行で進めていきたい」等と相手の方針を把握しておくことが重要です。その方針に基づいた提案をするために、この視点は必要なものになります。
仮説の視点③業務遂行上の課題提案
- 効率化
- 時短
- 残業削減
こういった、時間がかかっている部分を減らしていくというのも提案の切り口の1つになります。
仮説の視点④他社との差別化
「他とここが違うから、我々が御社のお手伝いをさせていただくべきです」
こう言える提案準備をしておくことが必要です。自分が勤める会社の「自社の強み」と言われる部分についても把握しておくと良いでしょう。
仮説の視点⑤投資
ビジネスの視点と重なる部分もありますが、こちらは中長期的な目線のお話です。
- 人材育成
- 組織開発
こういった、今すぐに利益には反映されないものの、将来的な利益のためにはやっておかなければならない部分も切り口として有効です。
仮説の視点⑥ステークホルダー
例えば、既存の株主は誰なのか。親会社はどこか。メインのクライアントはどこの企業か。そういった、「関係者がどういった指針を出しているのか」も視点として挙げられます。こういった外部からの指針に影響を受けるのも会社の特徴になります。このステークホルダーの面にも注視しておくことが必要です。
仮説の視点⑦個人ミッションの実現
ここまで、「会社として」の視点をまとめてきましたが、最終的に商談をするのはその会社の中の「個人」です。目の前の担当者がどのような目標を持っているのかということも大事なポイントになります。
仮説の視点⑧コミュニケーション
「分かりやすい情報提供が出来ているか」などといった、コミュニケーションコストの少なさややりとりのスムーズさが、最後のポイントです。
初回商談の準備ポイント②ストーリーの準備
「自分の提案が、なぜあなたに必要なのか」ここを伝えるストーリーを準備しましょう。ただ正論を伝えても相手の感情は動きません。まず目の前の人がポジティブなイメージを持てるように訴えかける意識を持つようにしていきましょう。
初回商談の準備ポイント③博打商談をしない
「一本勝負!」みたいな形で商談をしてしまうと、たいていの場合は上手く行きません。「提案」と「仮説」ここをセットでしっかり準備しておくようにしましょう。最低3パターン準備しておくと、殆どの場合で対処が可能です。経験を積んだ、成果を出せる営業は臨機応変に対応することも出来ますが、新人営業パーソンだったりするとそうもいかないと思います。
そんなときは、「こうなるかもしれない」ということをなるべく予測して、どう対応するか考えておくとスムーズです。
初回商談の準備ポイント④4つの不の解消策
どんなに良い提案であったとしても相手がなかなか動いてくれない可能性もあります。そこを解決するためにこのポイントを準備しておくことが重要です。
- 不信
- 不要
- 不適
- 不急
こういった部分に対して、「今、私はなぜあなたに提案しているのか?」と、対応できる理由を準備しておきましょう。
初回商談の準備ポイント⑤組織図
先程述べた部分と重なりますが、組織図にはもう1つ隠れたポイントがあります。それは、
- 目の前の担当者が困った時、誰に相談するのか
- どんなところに影響が出る可能性が高いのか
ということです。この部分を把握するのに組織図は必要不可欠だと言えます。一般的に、金額が大きくなればなるほど決裁に関わる人は増えていきます。関わる人が増えるということは、合理性だけでは判断されない状態になりがちだということです。会社全体の事情や、政治的部分も働く可能性があるのです。ここを踏まえておくと、会話がスムーズになります。
初回商談で準備しておくべきこと
繰り返しですが、「初回」の商談では事前準備が最重要です。手ぶらで行って、「買ってください」と言ったところで通じません。事前準備は、
- リサーチ
- コミュニケーション
この2つが根本になります。商談をただ行うのではなく、「商談がしやすい状態」を事前に仕込んでおくことで、自信を持って商談に臨むことが出来るようになるのです。
今後の営業の参考になれば幸いです。応援しています!
▼動画でも解説しています。他にも役立つ情報をお届けしているので、是非ご覧ください!
【初回商談を成功させる】商談前に絶対にすべき準備
この記事の監修者
株式会社営業ハック
代表取締役
笹田 裕嗣
営業代行事業を始め、「売れる営業組織」へと変革するためのあらゆる支援を行っています。
弊社独自のセールスメソッドを用いて、停滞する営業組織の改革から新規営業組織の立ち上げまでトータルでサポートいたします。今までご支援させていただいた企業数は100社を超え、主に中小・零細企業のあらゆる業種で成果を出し続けています。