コミュニケーションというのは相手との関係性が重要です。
関係性というのは時間をかけてじっくりと構築していくものだ思っていませんか?
じつは、初対面からすぐに相手に好印象を与え、魔法のように「はい(YES)」と言わせてしまう悪魔のテクニックがあります。
その名は「YESセット」です。
やり方はとってもシンプル。
相手が「はい(YES)」と言ってしまう質問を連続で投げかけるだけ。
そんなうまい話がるわけない?
いやいや知ってるけどそんなにうまくいったことないよ?
この一見簡単な「YESセット」を使いこなすにはほんの少しだけコツがあるんです。
そのコツや、なぜYESセットがこれほど強力なのかをわかりやすく解説していきます!
一緒にこのテクニックを仕組みから使い方までしっかりと身につけて今すぐに実践してみませんか?
目次
YESセットとはなにか
効果を最大限に上げるためには、その仕組を知っておくことが大切です。
もちろん、『YESを重ねるだけでなんかいい感じになる』でも全然OKなのですが、仕組みを知っておくことで色々な場面の対応も可能になります。
例えば「NO」と言われたときです。
YESセットは当然YESが連続で取れないと成立しません。
YES,YES,YSE・・・つまり、ポジティブを重ねて相手の心理状態をポジティブにしていくことが大事なのですが、NOと言われてしまうとせっかく積み上げてきたポジティブエネルギーがマイナスになってしまうのです。
NOを乗り越える方法は後ほど説明します。
まずは、YESセットの仕組みを詳しく見ていきましょう。
YESセットの仕組み
YESセットは心理学を利用した会話コントロールの技法の1つです。
YESセットとは、人々が「はい/YES」と答えやすい質問やコメントを一続きに使うことを指します。
YESをセットしていくのです。
イメージしやすいように会話例を見てみましょう。
- いらっしゃいませ。ご予約の〇〇さまですね。 →「はい」
- お待ちしておりました。どうぞお入りください。→「はい」
- こちらのソファでお待ち下さい。→「はい」
- お待ちの間にこちらのアンケートにお答えいただけますか?→「はい」
よくある光景ですね。
このとき、最初の3つがYESセット、4つ目が、相手から勝ち取ったYESになります。
実は、これがYESセットの型であり、テクニックのすべてです。
YESセットは、相手が自然と「はい」を連発する状態を作ることで、ポジティブな気持ちや考え方を引き出すことを目指しています。これにより、相手は自分でも気づかないうちに「はい」と答える習慣ができてしまうのです。
YESセットで無意識に働きかける
YESセットの効果は、人間の心理学に根ざしています。私たちの脳はパターンを愛し、これが一度形成されると、そのパターンに従うことを好む傾向があります。YESセットは、まさにそのパターン形成を利用します。
「はい」と答える質問を連続して投げかけることで、「はい」と答えること自体が自然な反応となります。
この結果、顧客は否定的な反応を示すのではなく、ポジティブな方向へと向かうパターンを形成します。
また、人は自分が「はい」と答えたことに対して、無意識のうちに、一貫性を保とうとしてしまうのです。
これは一貫性の原則とも呼ばれる心理学の法則です。
つまり、人々は自分たちが一度「はい」と言ったことに対しては、その後も同じように反応しようとしてしまうのです。
さらに「はい」という言葉自体が、私たちに肯定的な感情を引き出す力があります。
これは、言葉が私たちの感情や行動に影響を与えるという言語の力の一部です。
このように、YESセットは無意識を利用した非常に効果的な営業のテクニックなのです。
YESセットを効果的に使う
この強力なツールであるYESセット、どうやって使えばいいのでしょうか?
まずは具体例を見ていただくのが一番でしょう。
会話例を見見ると、心理状態がどう変わるのかが理解できると思います。
例1:ある自動車営業とお客様の会話(失敗例)
いらっしゃいませ
今日はどのようなお車を見にいらっしゃったのですか?
(え?いきなり?自由に見させてほしいなぁ)
ご家族様ですね
ええ、まぁ…(でかい車、勧めてきそうだなぁ…)
まずはあちらでお飲み物でもいかがですか?
いえ、いいです、見に来ただけなので。(ぜったいゴリ押しされる…)
この例はYESセットが失敗した例です。
あなたも想像してみてください。
今日絶対この車を買うぞ!と決めてきたお客様でもない限り、いきなりどのような車を見に来たの?と言われては抵抗感をもってしまうことがわかると思います。
それ以外にも、いらっしゃいませの次にいきなり「車」の単語を聞くと『この営業ガツガツしてるなぁ』という印象を持たれてしまっても不思議ではありません。
こういう小さな違和感というのは後々響いてくるものです。
では次の会話を見てください。
例2:ある自動車営業とお客様の会話(成功例)
いらっしゃいませ
・・・
お暑い中、足をお運びいただきありがとうございます
・・・
ご家族連れ様で…
あ、はい。(見たらわかるでしょ・・・)
お嬢様とご子息様。可愛いですねぇ。
ええw(丸見えのお世辞だが、悪い気はしない)
あちらで冷たいお飲み物でもお飲みになりませんか?(とテーブルに案内する)
あ、ありがとうございます。(わーいジュースー/子供の声)
お子様連れである場合、YESセットが使いやすいということもありますが、ひとことも「車」を使わずに、まずテーブルに座ってもらう、というハードルを軽々と超えていることに気がつくと思います。
この例のようにシンプルな質問が積み重なることで、相手の心理的な状態は変わります。それにより、「はい」と言うことに慣れ、肯定的な気分になります。そして、営業マンが商品の提案を始めたとき、その顧客はすでに「はい」のパターンを作り出しているため、提案に対しても「はい」と答えやすくなるのです。
え?質問ってそんな当たり前のセリフでいいの?と思ったと思います。
それでいいのです。
YESを取るための質問(コメント)というのはシンプルであればあるほどいいのです。
大事なのは自然な会話で軽いYESを連続でとることです。
連続でYESを取った後に提案を入れることで相手の「はい」を引き出すことが目的なのです。
YESセットが、営業において非常に重要な役割を果たすということがわかっていただけたかと思います。
顧客との関係構築、信頼感の確立、そして最終的な販売に向けて有利な状況を作り出すための鍵となるのです。
YESセットの仕組みと効果を理解したところで、実際にどう使っていくのかを具体的に見ていきましょう!
YESセットで第一印象を作る
初めての接触が人々の印象を大いに左右するということはよく知られています。
第一印象は強力であり、それが後の関係や交渉の進行に大きな影響を及ぼします。
そこでYESセットが役立つのです。
ここで詳しい方なら「ハロー効果」を思い出したかもしれません。
ハロー効果とは、『ある対象を評価する時に、それが持つ顕著な特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる(認知バイアス)現象』のこと。
この意味を知らなかったとしても、『第一印象がすべてを左右する』ということは体験としてご存じの方も多いと思います。
営業において、第一印象である”見た目”に気を使うのは大前提です。
そのうえで、プラスアルファで好印象をもってもらうための極意がYESセットなのです。
初めましてから雑談へ
YESセットを初めての接触時に使用することで、相手の関心を引き、ポジティブな雰囲気を作り出すことができます。
具体例とともに解説していきます。
ミーティングがある日のこと考えてみましょう。あなたならどんな会話を想像しますか?
リアルにおいて、いきなり会議が始まることはありませんよね。
会場に到着し、会議室に入り、自分の席に座る。
誰にも会わずに無言のままで着席し、会議が始まるなんてことはまずないでしょう。
会議なので最低でも一人くらいは相手がいるはずです。
そして、人間が相手であるなら、会議の前の雑談の時間がいちばん大切であるのはおわかりでしょう。
「おはようございます」
「今日はよろしくお願いします」
初対面であれば無難な話題から入りたいものです。
この時「今日は梅雨明け一番のいい天気になりましたね」などと天気の話題から入る人も多いと思います。
もちろんYESを取りやすい話題ではあるのですが、その後の会話が続きにくいのがこの天気の話題の弱点であったりします。
どうしても話題がないときには仕方ありませんが初手が天気の話題というのはインパクトも残せませんしおすすめしません。
人が目の前にいるのであれば、その人こそが「情報の塊」です。
なんでもいいので目についたことを口にすることもアリです。
とはいえ、YESを連続でとっていくためには軽い話題でしかも関連性のある話題のほうがいいのです。
よくあるシチュエーションで見ていきましょう。
今日はよろしくお願いします。えーっと、お名前は…
◯山です
あ、◯山さまですね…私、□谷です…
名刺交換
(名刺に△△(モットーなど)があるのを見つけて)
△△…ですか?
ああそれは~
「…」と示したとところは「ため」の部分です。
会話がテンポよく弾みだすまででは、上手にこの「ため」を使うのがコツです。
相手に「YES」と心のなかで返事してもらう時間を必ず作りましょう。
この会話のどこにYESがあるのか解説していきましょう。
「今日はよろしくお願いします。えーっと、お名前は…」
「◯山です」
「あ、◯山さまですね… ←YESポイント (自分の名前なので心のなかでYES)
私、□谷です…」 ←YESポイント (ああ、そうなんですね、というYES)
(名刺交換)
名刺に△△(モットーなど)があるのを見つけて
「△△… ←YESポイント (書いてあることを認識するYES)※タメが大事!『そうそう、それ』を引き出せれば大正解。
ですか?」 ←答えてほしい質問(3つのYESを得ているで、回答しやすい状態になっている)
「ああ△△ですか。それは~」
こんな短い会話でもいい印象をもってもらうことができるのがYESセットの良いところです。
なぜかと言うと、上の会話で相手方には1つもNOの気持ちが浮上していないからです。
YESセットは心理学を使ったテクニックです。
すなわちこれは人間の無意識にアプローチしているにほかならないのです。
YESを重ねることで、無意識下に『この人はYESの感情だけを与えてくれる、自分にとって気持ちの良い人だ』と書き込むことができるのです。
信頼関係を築くYESセットの効果
顧客との信頼関係を築くことは、長期的なビジネスリレーションシップの鍵となります。YESセットはこの過程を助け、信頼を構築し、より深いレベルの顧客エンゲージメントを引き出す手段となります。
ここで大切なのは、初対面でもそうでなくても、第一声では「事実」と「見えるもの」だけに言及することです。
「今日は足をお運びいただきありがとうございます」←お礼に対してNOと感じる人はあまりいない
「□□社の〇〇様ですね!」←事実の確認は間違いなくYESが取れる
「傘をお持ちですね?」←実際に傘を手にしていたら、傘を持っていること”だけ”を聞くのがポイント
「エレベーターで向かいます」「段差にお気をつけください」「こちらにどうぞ」「お荷物はこちらに…」←ご案内の言葉もYESとなりうる
こういう小さなYESの積み重ねをYESセットというのです。
ここでハロー効果が作用します。顧客が初めての接触で肯定的な印象を持つと、その印象が他のすべての評価や判断に影響を及ぼす傾向があります。
初めての接触で肯定的な印象を作り出すことで、その後の交渉や関係に良い影響を与え、より良い結果を生み出すことができるのです。
YESセットを上手に使えば、顧客との初めての接触を通じて、自分たちのサービスや商品が顧客の要求にどのように応えるのかをアピールする機会を作り出すこともできます。これにより、顧客に早い段階で製品やサービスに対して肯定的な印象を持ってもらいやすくなるのです。
そのためにはちいさなYESを積み重ね、徐々に相手との距離を縮めていくことがとても大切なのです。
実践!YESセットテクニック
YESセットを使うとき、最大限に効果を発揮するためのルールがあります。
- 必ずYESが取れる言葉だけを発する
- 3つ連続でYESを取る
- 3つYESを取ったら、問いかけをしてYESを獲る
このYESセットを何セットか回していくと、最終的に成約のYESを取ることができるのです。
最初は小さく回して、ゴールに向かっていくのがコツです。
NOを取ってしまったときのリカバリー
どんな会話の達人でも、100%「YES」が取れる会話ばかりできるわけではありません。
相手は人ですから「刺さらない会話」があって当然です。
YESセットを使っている最中に「NO」を取ってしまった場合、基本的にはYES①から改めて積み上げればOKです。
しかし、NOという気持ちを持たれてしまったというのはマイナスですので、できればそのマイナスはなかったことにしたいですよね。
会話の上手な人というのはこの「NO」を取ってしまった場合のリカバリーが上手です。
例えばどのようなリカバリー方法があるのか見てみましょう。
「…というわけでこちらを見ていただきたいのですが」
「うーん……」(NO)
「あ、プランまだ早かったですかね?」
「はは……」(YES)
「私ばかり話してしまいすみません」
「いえ」(YES)
「これはちょっと横においておきますね」
「はい」(YES)
「では、〇〇さんのお話お聞きしてもいいですか?」
「ええ、では……」【YES】
これを見て、あ、いつもやってるな、と思ったあなたはYESセットの達人ですね!
そうなのです、意外と皆さん自然とリカバリーされているのです。
コツは、「NO」の気配を感じ取ったらできるだけ早く「YES」に変換する、です。
刺さらなかったな、と感じた瞬間に、「違ってましたね、すみません」と謝ってしまうのです。
そうすると『違っていた』というYESを取ることができます。
YESセットはどんなことでもとにかく相手が「YES」と感じてもらえれば成功です。
YESセットの極意はNOを取らないではなく、相手のNOすらもYESの材料にしてしまうことにあるのです。
反対意見を乗り越える YESセットの戦略
営業を行う際には、顧客からの反対意見や異議に遭遇することも少なくありません。このような状況においても、YESセットは有効な戦略となります。
どういうことかと言うと、YESセットを使って、反対意見や異議を肯定的な方向に導くことができます。
NOからのリカバリーと同じように考えてもらえばよいのですが、営業の場合はより言葉に気を使う必要があります。
例えば、顧客が「製品の価格が高い」と感じる場合、その懸念に対する肯定的な回答を用意することが有効です。
「おっしゃるとおりです。(YES)確かに、高いですよね。(YES)当初の投資は大きくなってしまいますものね。(YES)しかし、この製品は長期的に見るとコストを節約するのに役立ちます。その点は理解していただけますよね?【YES】」
「この製品は耐久性があります(YES)ということは長く使えるんです(YES)結果的にはコストを下げることができます。(YES)それは良い点ですよね?【YES】」
「そうなると、この製品は業務効率を大幅に向上させることができるんです(YES)人件費の節約にも繋がります。(YES)それは魅力的ですよね?【YES】」
この例は少し強引ですが、話の流れで上手に反対意見をYESと変えていくことはそこまで難しくありません。
このように、YESセットを用いて反対意見や異議を乗り越えることで、顧客との信頼関係を維持しつつ、顧客が製品やサービスに対して再度肯定的な感情を抱く機会を提供することが可能です。
相手に「はい」と言わせやすい状況を作り出していくことができるのがYESセットの真髄なのです。
売り込みを成功させるYESセットのテクニック
製品やサービスの売り込みは、営業の中核的な部分です。ここでもYESセットは大きな役割を果たします。YESセットを用いることで、顧客が製品やサービスを必要とし、それが自分たちの問題を解決する手段であると認識するように導くことができます。
具体的には、製品やサービスの特性や利点を強調する一連の質問を用意します。「当社のエコフレンドリーな製品は環境負荷を軽減します。それはあなたの企業が目指す方向ですよね?」、「この製品は省エネ設計なので、電気代を節約することができます。コスト削減は重要な目標ですよね?」、「私たちの製品は持続可能な素材で作られています。それはあなたが支持する価値観ですよね?」これらの質問は、顧客が製品に対して肯定的な反応を示す可能性を高めます。
また、YESセットを用いて、製品が顧客の問題を解決する方法を強調することで、売り込みを成功させる可能性を高めることができます。製品が顧客の利益を向上させる具体的な方法を説明し、その都度顧客に同意を求めることで、彼らが製品の価値を認識し、購入に繋がる可能性が高まります。
YESセットに必要な事前準備
YESセットはただただ、YESを取っていけばいいというものではありません。
もちろん好印象をもってもらうだけならそれでもいいのですが、営業で利用したいなら必ずゴールがあるはずです。
ゴールに辿り着くための質問
YESセットで成功を引き寄せるには、この質問をしっかりと考えておく必要があります。
あなたが普段使っている質問を書き出してみてください。
そして、どのような場面で使っているのか、その質問の前にどんなYESをセットできそうか考えてみてください。
最初の車のディーラーの例なら、お店に入ってきたお客さんをテーブルに座らせることが1つ目のゴールだとしましょう。何を利用してYESを重ねれば「テーブルに座りませんか?」という提案までもっていけるか。
名刺交換であれば、名刺一枚で相手のバックグラウンドをどのくらい話してもらうかも1つのゴールとなります。
初回面談なら次の約束、商談なら稟議に上げてもらう、など、小さなゴールを積み重ねていくのにYESセットはとても使えるテクニックなのです。
YESセットの力と活用方法
ここまでYESセットが営業活動において果たす重要な役割とその活用方法について詳しく見てきました。
YESセットは、顧客との初期の接触から信頼関係の構築、製品の売り込み、反対意見の克服に至るまで、営業過程のあらゆる段階で有効に利用することができます。
最初の接触では、YESセットを使って良好な第一印象を作り、顧客とのポジティブな関係を構築します。
信頼関係の構築では、YESセットを使って顧客のニーズに対応する製品の価値を示し、顧客の信頼を獲得します。
売り込み段階では、YESセットを使って製品が顧客の問題を解決する手段であることを強調し、製品の価値を認識させます。
そして、反対意見や異議が出た際にも、YESセットを活用してこれらを乗り越え、肯定的な結果に導くことが可能です。
YESセットは営業の鍵となるテクニックであり、その適切な活用によって営業の成果を大きく向上させることが可能です。
顧客との関係構築から製品の売り込み、反対意見の克服まで、あらゆる営業のシーンでYESセットを活用し、より効果的な営業を行うための一つの道具として、是非とも利用してみてください。
他にも営業で使える心理テクニックがいっぱい!
営業で活用すべき心理学58選。売り込み以上に活用すべき心理学の使い方
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この記事の監修者
株式会社営業ハック
代表取締役
笹田 裕嗣
営業代行事業を始め、「売れる営業組織」へと変革するためのあらゆる支援を行っています。
弊社独自のセールスメソッドを用いて、停滞する営業組織の改革から新規営業組織の立ち上げまでトータルでサポートいたします。今までご支援させていただいた企業数は100社を超え、主に中小・零細企業のあらゆる業種で成果を出し続けています。