テレアポには、効果的な言葉とNGな言葉が存在します。
言わずもがな、テレアポは電話でアポイントを依頼するアプローチです。突然の電話のため、担当者や決裁者と毎回話せるとは限りません。むしろ、話せないことの方が多いと思います。そんな中担当者にやっとつながると、つい話したくなってしまう気持ちは分かるのですが、頑張って説明をしようとしたり、長く話しすぎることはアポイントを自ら遠ざけていると言わざるを得ません。
今回のテーマは「シンプル・簡単」です。実はテレアポにおいてはシンプルな方が相手の反応が好意的なものになります。この点を踏まえて、どんな言葉を使うとアポイントをいただきやすいのかまとめていくので、お付き合い下さると嬉しいです!
目次
テレアポをお客様が嫌がる理由
テレアポをしていて、相手が何かと理由をつけて断ろうとする。こんな状況に当たった方は多いと思います。
テレアポで相手がアポイントに積極的にならない理由は実は2つしかありません。
- メリットを信じてもらえていない
- 面倒くさい
このどちらかです。
「御社にはこんなメリットがあるので、是非私と会ってください」などと熱心に話したとしても、自分の言葉を受け取ってもらえていない可能性は多分にあります。「あぁ……もう営業の対応なんて面倒くさいな」なんて全く話を聞いてもらえていないこともあるかもしれません。この状態では会ってくれないのは必然でしょう。また、「話聞く限りその商品は確かにあったら便利だ。でも導入するの面倒くさいな……」なんてパターンもあります。
基本的に人の考え方はコストパフォーマンスに基づいています。どんなにメリットがある事柄だったとしても、手間や労力をそれ以上に感じてしまうなら、人は行動しないのです。面倒くさいという気持ちは人の行動を鈍らせてしまいます。
相手からアポイントをもらうには、この2つの気持ちを乗り越えていく必要があると言えるでしょう。
テレアポで話してはいけない言葉
上記の2つのネガティブな気持ちを乗り越えていくために、使うべきではない言葉が3つあります。順に見ていきましょう。
テレアポNG言葉①商品の丁寧な説明
丁寧ってなんだか良さそうに聞こえる言葉ですよね。ただ、丁寧に説明して「この人真摯に対応してくれているんだな」と相手に感じてもらえるのは、既に相手との信頼関係が出来ている場合だけです。相手が自分の話に興味があるという前提があって初めて丁寧さは効果を発揮します。
丁寧な説明をしようとすると、自然と情報量は多くなるものです。また、相手は自分のことを「知らない人」と認識しています。そんな状況でいくら丁寧な説明をしたところで、「面倒くさい」「絶対嘘だ」こういったネガティブな感情しか相手は抱きません。
つまり、説明をしようとすればするほど、アポイントからは遠ざかってしまうと言えるでしょう。
丁寧な説明が機能するときは、相手が自分に興味を抱いていることが明確な時です。説明はNGだと先ほど述べましたが、テレアポでも、丁寧に説明するべき場面はあります。それは、
「相手から質問をいただいたとき」
です。なぜなら、相手が自分の取り組みに興味を持っていることの証明だからです。興味があるので質問してくれているとも言えます。質問をもらった時は、丁寧にしっかりとその質問に対して答えるようにしましょう。
テレアポNG言葉②会社の詳しい情報
会社の詳しい情報を話すのも望ましくありません。
勘違いしてはいけないのが、自己紹介は必要だということです。自分が何者であるのかを伝えなければ、相手に自分が怪しいものではないということは信じてもらえないでしょう。ただ、沢山の情報を話したことと信頼してもらえることは別の話です。情報量と信頼関係は比例しません。
繰り返しになりますが、相手が興味を持っていない状態であるなら、長い説明は相手にとって苦痛でしかありません。「余計な時間をとられてしまった」なんてネガティブな感情が芽生えることもあるでしょう。
学校の授業を思い出してみてください。得意な教科、苦手な教科が皆さんそれぞれあったと思います。得意な教科だったり、好きな先生の授業は自然と集中して聞いていたのではないでしょうか。一方で嫌いな教科はどうしても眠たくなってしまったり、時間が経つのが遅く感じていた人は多いと思います。
テレアポにおける会社の説明も同じです。突然知らない会社の情報を詳しく話したところで、相手は集中力を持ってその話を聞いていないという点を忘れないようにしましょう。
テレアポNG言葉③商品や会社の自慢・アピール
- 業界No.1
- 顧客満足度No.1
こういった言葉は、テレビのCMや実際の商談であれば効果的です。ただ、テレアポでこういった言葉を使ったところで「売り込みだな」としか相手は思わないでしょう。
営業の雰囲気を無くすことに躍起になる必要はありません。営業であること自体は堂々としていて良いのですが、わざわざ相手が警戒する言葉を使う必要もないということが重要なポイントになります。
営業であることを過度に感じさせるような文言はテレアポの段階では避けるべきです。アピールが機能するのは、最後に背中を押すタイミングになります。それ以外では逆に警戒心を高めてしまう点を忘れないようにしましょう。初対面の、いきなり自慢話をしてくる人と仲良くなりたいと思う人はいませんよね。ドラえもんで、スネ夫が自慢話をしているのにのび太が辟易しているのと同様です。アピールはテレアポでは行わないようにしましょう。
テレアポで伝えるべき言葉
ここまで、テレアポで話すべきではないNG言葉を見てきました。では、テレアポでは何を伝えるべきなのでしょうか。実は、3つしかありません。
- 会ってくださいという依頼
- 会うべき理由
- 感謝の言葉
質問をいただいた際には勿論答えますが、それ以外の情報はこの3つで大丈夫です。そして、この依頼と感謝を繰り返し伝えるようにしましょう。3回伝えて初めてその思いは伝わります。
テレアポで伝えるべき言葉①会ってくださいという依頼
テレアポはアポイントをいただくために行っているものです。会ってくださいという依頼をしっかり行いましょう。
ここで注意が必要なポイントがあります。
会社や商品ではなく、今テレアポをしている私に会ってほしいということを伝えるようにすることが重要です。営業の分業化が進んでいる会社であれば、テレアポをする人と商談をする人は違う人かもしれません。それでも、「私があなたに興味を持っていて、是非会いたい」という思いを伝えるようにしましょう。
会社として電話を架けているというスタンスであれば、「この人仕方なく言われてやってるんだな」という思いを相手は感じてしまいます。他人に言われてしぶしぶ話している人ともっと仲良くなりたいと思う人はいないでしょう。
「私」この言葉を主語にすることが重要です。売れない営業程、「この商品を買ってください」と主語が別のものになってしまっている傾向があります。「最終的に決断するのはお客様なので、あまり強引に売りたくない」こう考える人も多いです。正しいし、それ自体は優しいがゆえに生まれるものだと思います。ただ、残念ながら、熱意がなければ相手の心は動きません。「私があなたの役に立ちたい」という思いを伝えなければならないのです。
私自身、以前に人材紹介の営業をやっていたことがあります。当時の私はテレアポで、「宜しければどうですか」なんて言葉をよく使っていました。ほとんど断られました。なぜなら、「宜しければ」という言葉を使うタイミングではなかったからです。買っても買わなくてもどっちでもいいよというスタンスなら、そもそもテレアポなんてする必要はありません。相手からしても、「こんな商品あるんですが、買っても買わなくても大丈夫ですよ」と言われて買う人はほとんどいないでしょう。例えば人材等、流動性が激しい商材なら「たまたま昨日人が辞めちゃって」なんてこともたまにあるかもしれません。ただ、コピー機や社用車等、買い替えの頻度が少ない、流動性が高くないものに関してはこの言葉は禁句です。
しっかり「会ってください」という言葉を伝えることによって、相手の気持ちに訴えかけることが出来るようになります。依頼をするということは、意思表示をしているということです。意思表示されなければ、相手も返答することは出来ません。「あなたのこと好きじゃないかもしれないけれど、付き合ってみませんか」と告白されたとしても、受ける人は少ないでしょう。(余程意中の人なら別ですが)意思をしっかり相手に示すことが必要です。
テレアポで伝えるべき言葉②会うべき理由
依頼することと合わせて、なぜ会う必要があるのか、なぜ今電話をしているのかという理由を伝えることが重要です。個別に相手のことをリサーチしてから電話を架けた方がアポイント率は上昇します。ただ、1社ずつ細かに調べることが厳しい商材もあります。また、個人向けの営業であれば相手のことを調べることは出来ないでしょう。
そういった場合には、ある程度のカテゴリの中で連絡をしている理由を持つことが効果的です。地域や年代、家族構成等、「このジャンルの人に電話を架けているのはなぜか」ということを明確にしておくことが重要だと言えます。
このことは心理学で「カチッサー効果」と呼ばれています。人はどんなものであったとしても、理由付けされると承諾しやすくなるという性質です。実際の実験では、理由付けされた依頼はそうでない依頼の1.5倍承諾率が高いという結果が出ています。更にこの性質の興味深いところは、「理由が正しいかどうかは関係ない」という点です。
この実験は、コピー機の順番待ちの列に割り込むというものでした。以下のように3つのパターンに分けて依頼をします。
- 「すみません、コピーを取らせて下さい」
- 「すみません、急いでいるのでコピーを取らせて下さい」
- 「すみません、コピーを取りたいのでコピーを取らせて下さい」
3つ目の理由はこじつけです。全員コピーを取りたいから列に並んでいるのだから、理由になっていないですよね。ただ、この3つそれぞれでの承諾率はこのような差が出たそうです。
「急いでいるのでコピーを取らせて下さい」=「コピーを取りたいのでコピーを取らせて下さい」>「コピーを取らせて下さい」
理由はこじつけであろうが、正当なものであろうが承諾率は大きく変わりませんでした。つまり、どんなものであっても理由付けをすることで相手に受け入れてもらいやすくなるということです。このことを考えると、依頼をしている以上しっかり理由を伝えることの重要性が理解できます。
ただ、雑な理由でもなんでもいいというわけではありません。お客様が「何その理由」と感じてしまうなら今後の関係性に悪影響を及ぼします。相手が「なるほど」と納得できる理由を個人、もしくはジャンルごとに作っておくようにしましょう。
ただ、これは、この商品を要る可能性のある人に電話している前提のもとに成り立っている点も押さえておくべきです。どんなに熱意をもって理由を伝えたとしても、相手が100%要らないことが分かっているなら売れません。YouTubeの営業動画なんかで「石ころでも売れます」なんて言葉を見たことがありますが、正直それは無理だと私は思っています。要らない人はどんな工夫をしても要らないのです。洗濯機を買ったばかりの人に洗濯機を勧めたところで売れませんよね。まず第一段階として、商品を求めている可能性のある人に電話をかけるようにしましょう。
テレアポで言うべき言葉③感謝を伝える
「ありがとうございます」
この言葉は非常に重要です。
テレアポや飛び込み営業の研修などでは、「切り返しトーク」について言われることがあるかと思います。この言葉を言われたらこう言い返すのが重要、なんて言われることも多いでしょう。
ただ、1つ注意が必要な点があります。
「言い合いに勝ったからといってアポイントはもらえない」
ということです。初対面で言い合いになった人と仲良くしようと思う人はいないのです。例え論理的に相手を論破したとしても、残念ながら、相手からすると「嫌なやつ」という印象しか残りません。そうなると、会いたくない気持ちが増大してしまい、アポイントから受注につなげることは難しくなります。
本来ここで伝えるべき言葉は、切り返しではなく感謝の言葉です。
- 突然の電話なのに対応してくれたこと
- 自分の言葉にリアクションしてくれたこと
まずこのことに関して感謝を伝えましょう。こういった、感謝の言葉を伝えることで次の会話へと繋げていくことが出来ます。「予算がないから」というお断りをもらったなら、例えば以下のように会話を展開することが可能です。
「ご状況教えていただきありがとうございます。今回は突然のお電話でしたので、弊社がどんな手伝いを出来るのか、また御社にどうなっていただきたいのか、絶対に後悔はさせませんので一度私のお話聞いていただけませんでしょうか。是非よろしくお願いいたします。ちなみに来週の月曜日か火曜日の午後1時から30分お時間いただくこと可能ですか」
切り返すのではなく、感謝を示す。
このことを念頭に置きましょう。
テレアポで伝えるべき言葉まとめ
今回の重要な点をまとめると以下のようになります。
感謝と依頼は繰り返し伝えることが重要です。理想は3回伝えましょう。繰り返し伝えることで、よりその思いを的確に相手に理解してもらうことが可能になります。3回伝えるためには、余計な情報を話している余裕はありません。話せば話すほど本来伝えるべき言葉が薄れていってしまいます。早い段階で感謝と依頼をし、電話をかけている目的を明確にすることが必要なのです。
「相手の気持ちやニーズが分かってから依頼をしよう」
気持ちは分かります。商談ならその考え方でOKです。ただ新規のテレアポに関しては、最初に依頼をしなければ相手はそこまでの話を余計な情報だと感じてしまいます。
依頼と感謝。この点を意識することで、テレアポの成果は変わっていきます。今後の参考になれば幸いです。応援しています!
▼テレアポの突破方についてはこちらでも解説しています。ご参考ください。
【アポイント率UP!】テレアポスキルを高めるコツ7選
▼テレアポについてはこちらでも解説しています!
テレアポトークで失敗する5つのパターン
▼動画でも解説しています。他にも役立つ情報を発信していますので、是非見てくださいね!
【アポ率UP】アポが欲しい人は必ず言うべきテレアポトーク
この記事の監修者
株式会社営業ハック
代表取締役
笹田 裕嗣
営業代行事業を始め、「売れる営業組織」へと変革するためのあらゆる支援を行っています。
弊社独自のセールスメソッドを用いて、停滞する営業組織の改革から新規営業組織の立ち上げまでトータルでサポートいたします。今までご支援させていただいた企業数は100社を超え、主に中小・零細企業のあらゆる業種で成果を出し続けています。