先日、営業代行のクライアントが展示会に出展したので、その手伝いと情報収拾で東京ビッグサイトに行ってきました。とりあえず、人に酔いました。笑
まずこの展示会に行くまでが大変で、新宿から移動したんですが、途中駅が落雷で電車がストップ。そして電車が動いたと思ってホッとしたら、気づいたら寝落ち。落雷の影響で、進行方向が変更になっていたらしく、気づいた違う方面に。慌てて戻って、予定の時間にギリギリ着。恥ずかしい限りです。
そんな中で展示会に行ってきた学びを整理しておきたいと思います。
目次
展示会に出展する目的は?
展示会には出展者側ではかれこれ5回目の参加となりました。1番最初はDSP広告の営業をやっていたサラリーマン時代。転職したばかりでしたが、そのプロジェクトのサブリーダーとして参加しました。その後は営業代行のクライアントが出展するたびに「手伝って欲しい」ということで参加しています。
展示会に出展する最大の目的は『リスト獲得』です。アプローチ先の確保以外にはやる意味はありません。知名度の向上やブランディングという声をいただくケースもありますが、そういうことであればテレビ広告や電車の中吊り広告のほうが、広告を出した感があるので効果は高いと思います。テレビや電車の中吊り広告は、”広告を出したこと自体”がネタになり、インパクトがあります。しかし、展示会やイベントは参加してもらわなければ、その効果は乏しいので、目的はちゃんと整理しておく必要があります。
展示会の出展はリスト獲得、見込み客獲得が目的です。もっと簡単に言えば、『名刺獲得枚数』が重要指標になります。
▼リード獲得の方法一覧はこちら
【リード獲得とは】17のリード獲得方法と正しいリード獲得方法の選び方
展示会の効果を数字で算出する
展示会の費用対効果を検証するときには、名刺獲得=個人情報の獲得単価で考えてみるとわかりやすいです。
資料請求サイトの1件の資料ダウンロードの相場は1~2万円です。仮に1万円とすれば、1万円払えば、問い合わせしてくれた人の「会社名」「名前」「役職」「住所」「メールアドレス」「電話番号」などがわかります。つまり、名刺に書いてある情報です。資料請求サイトを使っている会社であれば、展示会に出展し、1件の名刺獲得が1万円以下かどうかは指標になるということです。
例えば、展示会の出展料が200万円だった場合、200枚名刺を獲得すれば、1件のリスト獲得が1万円です。こういった考えで展示会の費用対効果を考えると良いでしょう。
ただリスト獲得はできても受注に遠くては意味がありません。同じ1万円でのリスト獲得でも、資料請求サイトは資料請求をしてくれた人の10人に1人が受注になっていたら、受注率10%。展示会は20人に1人だったら、受注率は5%。この場合であれば、資料請求サイトの方が費用対効果は良いということになります。もちろん受注金額や今後のLTVなども考慮しなければいけないので、一概にこれが結論ではないですが、そういった発想で考えておくことは大切です。
展示会出展5つのメリット
イベントテーマに合わせて、相手のニーズがわかる
ニーズの本気度は別として、わざわざ展示会に足を運んでいる相手のため、その展示会テーマには興味・関心があることは間違いありません。今回私が参加した「AI・業務自動化展」であれば、AIに興味がある人が参加しているはずです。ただ気をつけなければいけないのは、最初にお伝えした通り、本気度はまちまちということです。今回私が話をした人たちでも、「今すぐにでも導入を検討している」という人から、「とりあえず情報収集」「AIってなんですか?」という人もいました。
経営者に会えるチャンスが高い
名刺獲得の1つの手段となりうるのが展示会ですが、こういった場には情報を集めるために経営者が参加しているケースも多いです。今回の展示会で私が名刺交換をさせていただいた50人のうち、2割は経営者でした。経営者は当然会社の最高意思決定者です。飛び込みやテレアポではなかなか会えない相手のため、経営者に直接アプローチができる機会は貴重と言えます。
▼決裁者と話せなかった時の対応についてはこちら
決裁権がない人と営業打ち合わせをする時やるべき5つのこと
最初から見込み客とコミュニケーションが取れる
展示会はメールアプローチやWebでのアプローチと違い、ファーストコンタクトが飛び込みと同じく、会話から始められるのは大きなポイントです。また、飛び込みと違い、提案や話をされてに来場者はきているため、飛び込みよりも営業の負担は小さく、かつ話を聞いてくれる確率は高くなります。
デモをその場で見せることができる
今回の展示会でも実際に使用する機械を会場にいれている会社がいました。実際にイメージを持ってもらうためには実物を見せるのが一番早いです。そこで実際のデモ機を会場に持ち込み、見せることは非常に効果的な方法です。
名刺獲得率が高い
上記でも書きましたが、来場者は話を聞きにきているわけですから、どんどん話をかけることを否定しません(もちろんスルーすることはありますが、テレアポや飛び込みと比べて怒られません)。そのため、テレアポ・飛び込みと違い、受付突破も必要なく、直接担当者と話ができます。そして、名刺交換は展示会ではほぼ必須のような状況のため、相手も名刺を渡すことの抵抗感はだいぶ低くなっています。
展示会出展の2つのデメリット・リスク
コストがかかる
展示会の出展料はピンキリですが、当然コストがかかります。商材によってはすぐに受注につながらないケースも多いため、お財布との相談は必須です。
参加するだけでは、売上にはつながらない
出展するだけでは売上が上がる仕組みではないということを忘れてはいけません。その場で即決受注できるような商材やその中で1件でも受注が取れれば元が取れる工学商材であれば話は別ですが、大半が「名刺をもらった」「名前を知ってもらった」「資料を渡せた」という形で、展示会場での会話は終わります。
展示会に出ない方が良い企業
展示会を活用できない企業は、「展示会の前と当日を活用し切れない」もしくは「展示会後のフォローが下手」な企業です。具体的には2つのポイントがあります。
名刺獲得に積極的になれない
繰り返しですが、展示会を成功させたければ名刺獲得に注力すべきです。ここに力をいれられない企業は、展示会に出ない方が良いです。名刺獲得に注力するとは、自分のブースの前に来てくれた人にちゃんと声をかけるとか、運営スタッフは名刺獲得のために色々動くことができない会社は展示会をうまく活用できません。
リードナーチャリングができない
名刺獲得に重きを置いて展示会に出る場合、やらなければいけないことは展示会後の継続的なフォローです。展示会で名刺交換をした後、相手からの連絡を待っている会社も当然うまくいきません。展示会の参加者は1日で何十社と話をしています。
よっぽどインパクトがあった会社でなければ、記憶に残りません。大事なことはそこでインパクトを残すことよりも、ちゃんと思い出してもらえるよう継続的にアプローチをすることが大切です。
展示会後のフォロー電話やメールではしっかりとブースに来てくれたお客様にお礼を伝えること、そして次のアポ取りが大切です。
▼リードナーチャリングについて詳しく知りたい方はこちら
リードナーチャリングを成功させる4つのポイントと具体的6ステップ
展示会を成功させるコツ
展示会を成功させるためには、「名刺獲得」と「リードナーチャリング」が重要です。
では、これを実現するためにやるべきことを整理しておきましょう。
名刺獲得施策
名刺獲得数の目標を設定する
名刺獲得の目標数は必ず設定をしておいてください。私が今回サポートさせてもらった会社は100枚を目標にしていました。
導線を運営者に確認する
展示会で名刺交換ができる数は
名刺交換数=ブース前通過人数×接触率×商談率×名刺交換率
率の改善は営業の工夫ですが、元々の母数がなければ数は増えません。その母数を増やす上で大切なことが、来場者の導線です。今回のサポートした会社のブースは正直なところが導線が最悪でした。隣の通路は常時人が溢れているのに、1本奥に入り込んだだけで、一気に通行量が減りました。
こういったことがないように、運営社に導線の確認はマストで行いましょう。
- どういった導線で人は動くのか
- 人を惹きつけるポイント(イベントや人気ブース)はどこか
この点は先に確認しておくことをお勧めします。
周りのブースが何をやっているかを確認する
今お伝えさせてもらったように、周りのブースが人を集めるポイントになります。アパレルやスーパーなどの小売店では、「マグネットゾーン」と呼びますが、この「マグネットゾーン」が自分のブース近くにあれば、それだけ集客は容易になります。
他社の例ですが、展示会に出展する時、必ず隣のブースは「試食会」をやっているところにするようにしているといっていました。それができない場合は展示会に出ないというほどの徹底ぶりです。これもブースの前を通過させる人数を増やすための施策の1つです。
また他にも、自分の周りのブースが何をやっているかは必ず確認しましょう。
例えば、同ジャンルのブースであれば、他のブースで話を聞いた人が出て来たらすぐに声をかけます。同じことをやっている会社の話を聞いているので、あなたの提供しているサービス分野に興味があるはずです。
展示会は自分たちだけでどうにかしようとせず、周りと声を掛け合いながらやると成功確率は上がります。
展示や看板は目を向けさせる施策にする
一度こちらに目を向けさせれば、声をかけやすい
これは前回展示会に参加をして改めて思ったことですが、展示会に来てくれている人は、声をかけられる前提で足を運んでいるので、目があうとちゃんと話を聞いてくれる確率が高いです(飛び込み営業との大きな違いです)
なので、こちらに目を向けさせる施策は丁寧に行いましょう。看板、アナウンス、チラシなど、目を向けさせることを最優先に考えて動くことが大切です。
名刺交換する理由を作る
「とりあえず名刺交換お願いします」
では相手にとってもメリットが見えないので、交換してくれません。今回展示会を回って、名刺交換をしてもらうやり方としては、下記のようなものがありました。
- お菓子プレゼント
- お酒プレゼント(ハイボールでした)
- デモ画面をメール送付
- 資料をメール送付
- 名刺をとにかく相手の目の前にすぐに出す(交換しないとダメな空気を作る)
理由はどうあれ、名刺をいただけるやり方を考え作っておきましょう。
リードナーチャリング施策
名刺交換をした企業で、御礼やフォローのメールが展示会中に来た会社は1社もありませんでした。展示会の成功には、展示会後のフォローアップが大事です。
名刺交換できたら、その情報をメモしておく
あまり良い方法ではありませんが、会社によっては名刺に展示会中の会話をメモしています。この”メモを残す”というのは非常に大事なアクションです。次で伝えるリストアップ・リスト整理の時に必要な情報になります。
名刺獲得が最重要とは言え、一度話ができてヒアリングもできるチャンスが多い展示会です。そこで得た情報はちゃんとデータに残しましょう。
リストを整理する
次にやるべきはリストの仕分けです。
- 見込み度・緊急度がともに高い顧客
- 見込み度は低いが、緊急度は高い顧客(他社で導入検討が進んでいるなど)
- 見込み度は高いが、緊急度は低い顧客
- 見込み度・緊急度ともに低い顧客
- 競合・ライバル会社(情報収拾での名刺交換)
- その他(新聞記者など)
見込み客に関しては、「重要度」と「緊急度」で仕分けをしましょう。まずアプローチすべきは「緊急度」の高い相手です。「重要度」は二の次でOKです。なぜ緊急度の優先順位が高いかというと、すでに他でやっている、決めようとしているにも関わらず、展示会に来ているということは何かしらの不満や不安があるという証明のため、まだ切り込めるチャンスがあるからです。
▼見込み客の定義について詳しく知りたい方はこちら
【リード獲得とは】17のリード獲得方法と正しいリード獲得方法の選び方
お礼メールを当日送るルールを作る
とにもかくにもこれが大事です。1日何十社と話を聞いている来場者は、どこの誰かなんて一切覚えていません。ただ、今回のようにフォローや御礼をちゃんと伝えられている出展者も少ない(というより1社もいない)ので、ここでしっかりとフォローアップしておくことは非常に重要です。
次のアポ取りを行う
何百、何千人がいる前で、本音で詳しく話をできることは稀です。そこで大切なことは次のアクションとして、個別に商談する機会を作りましょう。
継続的に情報提供を行う
名刺は資産です(名刺管理システム会社の宣伝ではないですが。。笑)
せっかく一度に大量の名刺をいただいたということは、それだけビジネスチャンスが広がったということです。ただ短期的なアプローチではその資産は生かしきれません。継続的なアプローチを心がけてください。
展示会の成功はCACとLTVで判断せよ
展示会の出展目的は最終的に売上にどれだけ直結したかです。
展示会の出展には、出展料だけでなく下記のお金がかかります。
- 人件費(この期間中、参加しているスタッフは営業が全くできません)
- チラシ制作費・印刷代
- ポスター制作費
- 備品レンタル代
- ブース制作費 などなど
1回の参加で、数百万円はかかってしまうのが展示会です。
仮に総コストが100万円かかったとして、100枚の名刺獲得ができたとすれば
100万円÷100枚の名刺=1枚の名刺獲得に1万円
という計算になります。CAC(顧客獲得単価)で見れば、資料請求サイトの相場がこのぐらいなので、実施した意味はあるかもしれません(これは自社のマーケティング施策によって変わって来ます。私の場合、CACは1,000円前後の営業代行案件もあるので、これでは高いです)
しかし、展示会で接点ができたお客様は「リピート率が低い」「受注になかなか繋がらない」ということであれば、LTV(そのお客様が生涯払ってくれるお金)は低くなり、結局展示会のコストが回収できないというケースもあります。
展示会はあくまでマーケティング施策の1つです。参加することを目的にするのではなく、顧客獲得・売上獲得に他の施策として貢献しているかをしっかりと比較して決めていっていただきたいと思います。
▼YouTubeでも発信しています。
他にも有益な情報発信を続けておりますので、見てくださいね。
(5) リードタイムの過ごし方#shorts – YouTube
この記事の監修者
株式会社営業ハック
代表取締役
笹田 裕嗣
営業代行事業を始め、「売れる営業組織」へと変革するためのあらゆる支援を行っています。
弊社独自のセールスメソッドを用いて、停滞する営業組織の改革から新規営業組織の立ち上げまでトータルでサポートいたします。今までご支援させていただいた企業数は100社を超え、主に中小・零細企業のあらゆる業種で成果を出し続けています。