先日、営業4.0実践ゼミでこんな相談をもらいました。
相談をまとめると
- 商談フォローのばらつきがある
- もっとうまくフォローができればと思う時がある。実際、顧客フォローがうまくいかず、失注になったり、案件の予算が小さくなったこともある
- 上司から顧客フォローをちゃんとしろと言われるけど、何をしたらよいかわからない
今回はこの「顧客フォロー」「後追い営業」について考えていきたいと思います。
目次
顧客フォロー・後追い営業を定義できている人が少ない
顧客フォローや後追いが営業において大事と思っている人は多いと思います。
おそらく大半の上司・先輩も「一度会ったお客さんを放置するな」と言っているはずです。
これ自体は間違いではありません。
では、顧客フォロー・後追いでやるべきことは何?と聞かれたら、何と答えるでしょうか?
- お礼のメールを送る
- こまめに状況確認の連絡を入れる
- 初回訪問以降、2回3回と訪問して関係を強化する
もっと単純に言えば、「こまめにメール・電話・訪問する」ぐらいしか言われていないんですよ。
そして、ゴール設定がないまま行うがために、際限なく受注をいただけるまでとにかく連絡を入れまくるという状況が起こってしまう訳です。
雑な顧客フォロー・後追い営業は顧客に嫌われる
自分がお客さんの立場だった時に「ご状況どうですか?」「ご検討いただけましたか?」というメールや電話が毎日のようにきたらどう感じますか?
嫌ですよね。
顧客フォローで背中を押しているはずが、雑なフォローアップでお客様に嫌われているという営業は少なくありません。
お客様に「お願いするときはこちらから連絡します」「検討してこちらからご連絡します」と言われているのは、もうお客様に”しつこい”と思われ始めた証拠です。熱心としつこいは紙一重ですが、大きな差があります。
しつこい→自分が売りたいがために営業してくる
熱心→自分のことを一生懸命考えてくれている
これは営業がどう思っているかは関係なく、お客様がどう感じているかで決まります。
▼後追い営業が嫌われる理由はこちらもどうぞ
後追い営業がうまくいかない5つの理由と成功させる4つのコツ
顧客フォロー・後追い営業は営業が安心するための作業ではない
後追い営業がしつこいと思われてしまっては当然そこからの受注確率は落ちます。
そりゃそうです。お客様から「しつこい営業」とレッテルを貼られたということは、これから取引をするとなったら今見たいにしつこく営業されると思われるか、こういう営業は受注後はフォローしなくなると思われるからです。
顧客フォローで大事なことは「背中を押すこと」です。人が苦手な決断の後押しをしてあげることが営業の役割です。営業をしている私たちが早く結果を聞きたいから、確認したいからという安心するために行なっているものではないということを忘れてはいけません。
この決断の後押しのために営業ができることをここから整理しておきましょう。
顧客フォロー・後追い営業で意識すべき2つの目的
まずそもそも顧客フォロー・後追い営業の目的を押さえておいてください。ポイントは2つです。
- 忘れられないようにする
- 受注に向けたお客様の心理・行動ステップを前に進める
1つずつ見ていきます。
忘れられないようにする
人間は忘れる生き物です。エビングハウスの忘却曲線をご存知ですか?
20分後には42%を忘却し、58%を保持していた。
1時間後には56%を忘却し、44%を保持していた。
1日後には74%を忘却し、26%を保持していた。
1週間後には77%を忘却し、23%を保持していた。
1ヶ月後には79%を忘却し、21%を保持していた。
人は時間が経てば経つほど、どんどん忘れていきます。
そして、当たり前ですが、忘れてしまったことを意思決定することはできません。
忘れられるというのは、後回しにされるということです。後回しは失注を産む要因になりがちです。
後回しにされると、どんどん忘れてしまう
忘れていけばいくほど、その人にとっての重要度が落ちる
重要度が落ちると「今回はまぁいいか」となる
結果、失注になる
という流れになりがちだからです。
お客様にとって、こちらの提案の重要度を維持するためにも、忘れられないようにするフォローは必要不可欠なのです。
受注に向けたお客様の心理・行動ステップを前に進める
顧客フォローがうまくいかない理由の1つとして、相談いただいた営業女子はやるべきことがわからくなる、やることがまちまちという話がありました。これ自体は仕方がないことではあります。
しかし、その時の思いつきやなんとなくで後追いのやり方を決めてしまえば、当然後追い営業・顧客フォローの質は安定化しません。じゃあ何を基準に決めれば良いのか、それはお客様の心理ステップ・行動ステップを前提にフォローを考えていけば良いのです。
受注をいただける時、お客様の行動や心理ステップってどう進みますか?
1パターンではないかもですが、鉄板パターンみたいなものを自分で考えて、そのラインに乗れるように顧客フォローをしていけば良いのです。
例えば受注になるお客様の特徴として
- 商談後の御礼メールに返信をくれる
- 見積もり金額に対して、ポジティブな反応をくれる
- 商談後に必ず質問が出てくる
- 後追いで2回目の訪問が必ず入る
- 後追いの連絡でこの質問に答えてくれる
など、発注をしてくれるお客様にはポジティブなシグナルがあることが多いです。
そのシグナルを見つけることができれば、こちらから意図的にそのシグナルを出してもらえるようなフォローアップをしていけば良いということです。
御礼メールがシグナルなら、御礼メールに返信したくなる、返信しやすい工夫をしたり
見積もりのリアクションがシグナルなら、見積もりに対して値引きしたことがしっかりとわかるようにしたり、価値が伝わりやすいようにフォーマットを変えたり
質問がシグナルなら、「こんな質問をもらうことが多いんですが」と質問例を先に伝えたり
2回目訪問がシグナルなら、次の商談設定に向けてできることを考えたり
こちらからの質問の回答がシグナルなら、質問の回答が出やすいように商談時からコミュニケーションを工夫したり
とできることを考えて、そのためのアクションを顧客フォローで実施することが大事なのです。
要は後追い営業・顧客フォローは、お客様の発注までのステップを次に進めることが大事なので、そのためにできることを整理して、ベストな選択肢を選ぶことが大事なのです。
顧客フォローの具体的ステップ
ここまでお読みいただいて、後追い営業・顧客フォローはとりあえずこれをやっておけばOKというものではないということがご理解いただければ十分です。忘れずに、けど前向きに次のステップに話を進めていくことが大事なんだとわかってもらえれば、十二分です。
では、具体的に何をすべきかがですが、営業ができるコミュニケーションって、「対面」「電話」「メール」「SNS」ぐらいしか、結局ないんです。ただ、これは営業だからというよりも、普段の友達や家族とのコミュニケーションも同じですよね。
営業だからと考えて勝手にハードルを上げがちですけど、営業はコミュニケーションの一種なので、やりとりの方法は結局これぐらいしかないのです。そして、営業が顧客フォローをするにあたっても、「対面」「電話」「メール」「SNS」を使い分けて、使いこなすしかないということです。
では一例として、具体的にどういうステップで進めていくと良いのか、私の事例をお伝えします。
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ポイントとしては、クロージングしてから回答の期限は2週間以内にしておいた方が良いです。お伝えした通り、忘れられてしまえば優先度・重要度が落ちてしまい、受注確率は落ちます。時間が経てば経つほど忘れてしまう可能性は高くなるので、決めるタイミングは長くて2週間、できれば1週間以内にしてもらう方が良いです。
顧客フォローは失注になっても続く
商材にもよりますが、一度失注になったからといって、そこで終わりではありません。
今回のタイミングでは受注にならなかったとしても、将来的に発注がかからないかといえばそうではありません。今回契約をされる商材や会社に問題があった、期待していた成果が出なかったなどの理由でリプレイスすることは、当然あり得ますよね。
そのタイミングを逃さないように、失注=関係断絶にならないようにしてください(こういう営業が圧倒的に多いです)
失注になってしまった際は、今回決めた会社・商材の理由をしっかりと確認することが大事です。理想は決めた会社や商材名までヒアリングすることです。そうすれば次回のタイミングで営業はやりやすくなるわけですからね。
顧客フォローが必要性はマーケティングの理論でも証明されています。
営業はコミュニケーションの一種です。人間関係、コミュニケーションが一朝一夕では行かないように、営業も同じです。たった1回の失注で終わったつもりにならず、その先も見据えて目の前のお客様を大事にしていきましょう。
▼後追い営業についてはこちらでも解説しています!
【後追い営業完全攻略】提案後にすべき後追い営業&顧客フォロー
▼YouTubeでも発信しています。
他にも有益な情報発信を続けておりますので、見てくださいね。
【受注を確実に!】提案後にすべきアポ相手のフォロー – YouTube
この記事の監修者
株式会社営業ハック
代表取締役
笹田 裕嗣
営業代行事業を始め、「売れる営業組織」へと変革するためのあらゆる支援を行っています。
弊社独自のセールスメソッドを用いて、停滞する営業組織の改革から新規営業組織の立ち上げまでトータルでサポートいたします。今までご支援させていただいた企業数は100社を超え、主に中小・零細企業のあらゆる業種で成果を出し続けています。