「提案したお客様から回答をもらう連絡が苦手」
「初回商談をいただいた後、なかなか関係が続かない」
「2回目のアポがなかなかいただけない」
これらの悩みは全て後追い営業の悩みです。営業で成果、成約をいただくために、現代の営業や高額商材の営業では即断即決の難易度が上がりました。お客様自身がネットで情報収集できるこのご時世で、営業の言葉を鵜呑みにせず、自分でも色々と口コミを見たり、調べたりした上で買い物をしている人が増えました。
こういった環境下で営業の気持ちも、「しっかりと提案できたから、あとはお客様次第」という気持ちになるのもよくわかります、しかし、丁寧な追客・後追い営業こそが成約率を決めるといっても過言ではありません。営業が嫌われる理由の多くはしつこい営業にあるとと私は思っています。ただここは避けてはいけない営業の大事なキーアクションです。
そこで今日は後追い営業について解説していきます。
目次
私が後追い営業が嫌いだった理由
後追い営業が嫌いだった当時の私は、後追い営業は結果を迫る、確認する作業でしかありませんでした。
そこから生まれるものは○か☓か、はたまた△かのどれかしかありません。
○(受注) → やったー!!
△(保留) →また連絡を入れなきゃ。そこをなんとか、とお願いしなきゃ
×(失注) →ダメと言われても、そこからなんとかするのが営業だ(と上司に怒られる)
お客様の回答による私の心の中はこんな感じです。
後追いをしなければ、とりあえず”待ち”でいられるので、寝かしておきたい。けど、早く結果をもらわないと他に流れちゃうかもだし、上司にも早く確認しろと怒られる
こんな気持ちで後追いの連絡を電話や訪問でしていたことを思い出します。
コロナでお客様の買い物スタンスが変わった
ONE COMPATHが「Shufoo!(シュフー)」にて行った買い物に関する意識調査では、計画的に購入する割合が約8割増え、今後も継続する人が約7割という結果が出ています。
法人営業と個人の買い物は違いがあるのも事実ですが、法人営業の方が意思決定者・関係者も多いことを考えれば、今まで以上に「計画購買」が増える可能性は当然ながら高まります。見方を変えれば、思いつきや勢いで買い物をすることが減るということです。
この計画購買が増えるということは、今まで以上にお客様自分でしっかりと必要性を吟味して、買う買わないの判断をするということであり、リードタイム(検討期間)が長くなります。さらにVUCAの時代と呼ばれる昨今で、コロナも重なり、先行きの不透明さは今まで以上です。こういった環境下でお金を使うことへの抵抗感・警戒感が高まっています。
母数は少ないですが、INITIALが行ったスタートアップ起業家に緊急アンケート調査でも「リードタイムの長期化」は課題に挙げられており、この課題はスタートアップに限らず起こる問題です。
後追い営業が嫌われる理由
後追い営業とは、お客様に『結論』を出してもらうことです。ただ人間”決断”が苦手なんですよね。
決断とは「決めて断つ」と書きます。営業をいくつか受けていたお客様であれば、1つに決めたら「断る」ことが必要になります。そして、断ったら営業の困った顔や悲しい顔、営業によってはしつこい粘り営業をされることをお客様自身もわかっています。
なので、先延ばしにしておけば、こういった問題が”今”は起こらない訳です。
結局は営業もお客様も、決めること・決めてもらうことによる生まれる面倒臭さを避けたいがために、決断が先延ばしになる訳です。そんな中で、どんなに頑張って後追いで状況を確認をしても、お客様の意識が変わらなければ意味がありません。私は、後追いで状況を確認をして、5回連続で保留中になったことや音信不通になった企業はたくさんいます。
お客様も毎回毎回
「状況どうですか?」
と言われれば、面倒くさいに決まっています。けど、本心ではそろそろ決めなきゃとも思っているはずです。
後追い営業で失敗する理由
後追い営業が失敗する理由は「コミュニケーション不全」か「営業放棄」のどちらかです。細かく見ていきましょう。
後追い営業で失敗する理由①進捗・検討確認のみのコミュニケーション
先ほどお伝えしたように、後追い営業が嫌われるのは進捗確認のみになっているからです。営業がプレッシャーになってしまえば、お客様が営業と連絡を取ること、やりとりすること自体がストレスになり、億劫になり、疎遠になるのは必然です。
こう言った営業を繰り返していれば、相手から「必要あればこちらから連絡させていただきます」と暗に連絡してくるなメッセージを発せられてしまいます。
後追い営業で失敗する理由②急かす
営業をしていれば早く成果を出したい、結果を回収したいという気持ちがあるのはわかります。
しかし、最後お金を支払うのはお客様です。必要のないタイミングでクロージングを迫られたり、急かされたりすれば、相手の心は離れていきます。
また営業は常に商材や契約のことだけを考えているかもしれません。しかし、お客様は他のことも考える中で、その1つに自分の提案があるということを忘れてはいけません。
後追い営業で失敗する理由③質問・疑問・不安の未解消
検討を進めていただく過程で当然相手も不安やリスクを感じることはあるはずです。ネットで調べたり、SNSなどで口コミをチェックしてみたり、当然相手も色々な形で情報収集をするはずです。しかし、全ての回答が乗っているわけでは当然ないため、営業に問い合わせたり、質問したりするはずです。
しかし、そこでの営業の回答が的外れだったり、疑問や不安を解消できるだけの材料・情報が揃っていなければ、決断をしないという選択肢が生まれるということです。
後追い営業で失敗する理由④言質なき見込みなし判断
昔、営業コンサル先でベテラン営業パーソンの方から自信満々に「ここは見込みなしです」の報告を受け、その理由を聞いた時衝撃を受けたことがあります。
回答期日を3日過ぎたので、見込みなしと判断しました。
実際、この会社では相手からちゃんとお断りをもらっていなくても
- 回答期日遅れ
- レス遅延
- メール返信なし
- 電話に出てもらえない
などの理由で、勝手に見込みから外してしまうということが横行していました。失注の原因は8つ!これだけはしてはいけない営業提案を事例を基にまとめてみたでも書きましたが、失注理由をちゃんと回収することは、次の提案・アクションを決めるだけでなく、戦略を考えるにあたっても非常に重要です。
ましてや、ちゃんと後追い営業をやり切れているのかといえば、商談後はコミュニケーションを取っていなかったり、お礼メールすらも送っていなかったりという惨状でした、
「やらない理由」の改修をしっかりすることは非常に重要です。実際、この会社は未受注企業の回答回収を徹底させた結果、売上が2倍になりました。
後追い営業で失敗する理由⑤罪悪感
最後は後追い営業に限らずではありますが、営業の1つの壁。罪悪感問題です。
営業・テレアポの罪悪感をなくす方法という記事を以前書きましたが、この記事でも明確に「罪悪感をなくす方法はない」と書きました。罪悪感は感情なので、その後ろめたい気持ちを払拭する根拠・材料がなければいけないのですが、それは自分で探すしか方法はありません。
しかし、ここでのコミュニケーションを避ければ成果は遠ざかることは間違いありません。
後追い営業を成功させるためにやるべきこと
後追い営業成功のコツは4つあります。
- 決断に必要な材料を提供する
- 意思決定・決断の必要時期を確定させる
- 営業自身のコミュニケーションメリットを提供し続ける
- 別用件で会うべき理由を作っておく
後追い営業成功のコツ①必要材料の提供
まず後追い営業を成功させるために大事な要素として、大前提がここにあります。
鉄則。クロージングがうまくできない営業の多くが、急にクロージングを始めてしまっている。お客様は打ち合わせをしていても「今日決める」という意志を持っていないケースは多い。「今日決めて欲しい」と営業側が思うのであれば、決めるための情報と材料を提示するだけでなく、事前に決断促進が必須。
— 笹田裕嗣 | 営業ハック (@sasada_36) June 25, 2022
決断をしていただきたいと思って営業をしているに関わらず、決断する材料を提供できていないという問題です。ここがまず解消できているかどうか、ということを抑えてください。
後追い営業成功のコツ②意思決定・決断の必要時期を確定
その上で、嫌われずに後追い営業を成功させるためにやるべきことは
決断するスケジュールを決めること
いつまでにまずは回答を出せるか、確認をします。また、回答を出すために、どんな情報を集めるか(例えば他社の提案を受けるなど)、どんなステップで決めようと思っているかを確認します。そして、その決断を出すために営業ができることを確認することが大切です。
また営業側の目線でも、いつまでに答えを出さないと今回のサービスや商品などの提案が使えないか、意味がなくなるか、を伝えることが大切です。
例えば、私が営業をしていた新卒採用のマッチングイベントであれば、5月に訪問をして、来月結果を出します。
と言われたお客様に
「ちなみに、新卒採用はいつまでに終える予定ですか?」
と伺いました。
すると、9月までには終わらせたいとの回答がでてきました。
新卒採用は少なくてもイベント出会ってから1ヶ月は採用に時間がかかります。つまり、8月末までにはイベントに出なければお客様の期待に答えられないのです。なので、このお客様に後追い営業するときは、9月末までに採用を終えるお手伝いをするには8月のイベントに出てください、それ以降は貴社のお力になれないので今回は撤退します。
とお客様に伝えていました。
その結果、成約を無事に7月中にいただけたのです。
これは非常にうまくいったパターンですが商品・サービスの特性、利用目的から考えれば結論を出さなければいけない時期はわかります。是非、ただ「状況どうですか?」と毎回毎回確認作業をするのではなくお客様の背中を押してあげる後追い営業を考えてみてください。
後追い営業成功のコツ③コミュニケーションメリットの提供
後追い営業をしたいのは、お客様ではなく営業です。
相手の本音からすれば、「内容はわかったから、あとは必要なタイミングで連絡や相談するから」です。しかし、人間は忘れる生き物。日々多くの情報に触れ、様々な意思決定を日常からしなければいけない昨今では、今決めなければ、早めに決断しなければ優先順位も落ちがちです。ましてやこの便利な時代、特別なことをしなくてもなんとかなってしまうご時世です。
だからこそ、営業からの「ご健闘状況いかがですか?」のみの連絡は不要なんです。
そこで意識しておきたいことは、商材を売るために付き合うのではなく、営業という役割と人とのお付き合いです。つまり、ビジネス的な貢献を相手に提供していくべきということです。お客様が営業に求めていることは旧来の友人関係ではありません。
自分のやりたいことができるか否か、サポートしてくれるか否か、もっとストレートにいえば役に立つ相手か否かです。お客様の立場からすれば使える人かつ信頼できる人とは付き合いを続けてくれます。だからこそ、日々の貢献活動は必須です。
具体的には下記のような手段があります。
- 労務提供:相手の代わりにリサーチや資料を作るなど
- 好感:一緒にいて気分が良い、楽しい(前提は役に立つがあった上でです)
- 情報提供:相手が求めている情報を届ける
- 提案:相手が気づいていないことや新しい視点・アイデアの提供
媚を売れ、という話ではありません。自分と関わる価値を提供し、「この人は使える」と思ってもらえる根拠を提供することです。自分を売るとは、自分と関わる価値に気づいてもらうことです。
後追い営業成功のコツ④別件コミュニケーション
提案が終わると営業が取れるコミュニケーションが、結局決断・検討状況の確認だけになってしまうのは、商談時の終わり方に問題があります。
2回目のアポがもらえない理由と商談が上手くいかない理由でも書きましたが、提供している情報が結局は商品の話だけだからです。相手が知りたいのは商品情報はもちろんですが、1番欲しているのは解決策です。そういった考えのヒントや参考材料であれば相手は受け取ってくれる確率は高いです。
それを伝える約束をいただくことで、次の2回目、3回目のアポ率は上がります。
後追い営業を成功させるマインド
後追い営業は営業のためのものである
この前提を忘れないでください。後追い、つまり追われる側がいるということですが、人間誰だって追いかけられたらストレスです。そのストレスを感じさせないコミュニケーションを意識して、相手と関わっていきましょう。
▼後追い営業についてはこちらでも解説しています。ご参考ください。
顧客フォローが苦手で失注した経験がある人が陥る後追い営業の罠
▼顧客フォローついてはこちらでもどうぞ!
【後追い営業完全攻略】提案後にすべき後追い営業&顧客フォロー
▼YouTubeでも発信しています。
他にも有益な情報発信を続けておりますので、見てくださいね。 【受注を確実に!】提案後にすべきアポ相手のフォロー – YouTube
この記事の監修者
株式会社営業ハック
代表取締役
笹田 裕嗣
営業代行事業を始め、「売れる営業組織」へと変革するためのあらゆる支援を行っています。
弊社独自のセールスメソッドを用いて、停滞する営業組織の改革から新規営業組織の立ち上げまでトータルでサポートいたします。今までご支援させていただいた企業数は100社を超え、主に中小・零細企業のあらゆる業種で成果を出し続けています。