営業をしている人の大半の悩みが新規開拓ではないでしょうか。
実際にマーケティングの法則でも、新規営業は難しいという定義が一般的になっています。
目次
理論的にも難しい新規開拓営業
「1:5の法則」「5:25の法則」
この2つの法則をご存知でしょうか?
1つずつ見ておきましょう。
新規開拓営業に使える法則①1:5の法則
新規顧客に販売するコストは既存顧客に販売するコストの5倍かかるという法則です。
新しい商材を既存客に売る5倍のコストが、新規開拓では掛かるということです。
あなたから何かを買う、買っている人であれば、営業マンのことをすでに信用しているので、営業がしやすいのは感覚的にもわかりますよね。
▼参考記事はこちら!
売上を引き上げる客単価向上策、アップセルの具体的方法と考え方
新規開拓営業に使える法則5:25の法則
顧客離れを5%改善すれば利益が最低でも25%改善されるという法則です。
▼参考記事はこちら!
カスタマーサクセスを分解するとわかる、5つのプロセスごとにやらなければいけないこと
顧客獲得よりも、顧客維持の方が利益率が高いということです。
要するに、新規開拓をするよりも既存のお客様を大事にすることが大事ということを謳っています。
理論的に言ってみましたが、頑張って新規で獲得しても結局すぐにやめられてしまっては意味がない、結局長期的な利益にならないというのは誰もがわかることですよね。
新規開拓営業が難しい4つの理由
なぜ新規開拓営業は既存の営業よりも難しいのか。その理由は4つあります。
新規開拓営業が難しい理由①知らない
まず1つ目は、
- あなたのこと
- あなたが扱っている商材
- あなたが所属している会社
これらを知らないということにあります。知らない人に何かをお願いしようとは思えないですよね。まずはあなたのことをちゃんと知ってもらう必要があります。
新規開拓営業が難しい理由②わからない
次は、知っているけどよくわかっていないというパターンです。
1つ目で、「ちゃんとわかってもらう」とお伝えしましたが、ここでのポイントは、”ちゃんと”です。
人間は偏見を持っています。その偏見に負けてはダメです。
しっかりと正しく知ってもらうことが今後の新規開拓営業において非常に重要なのです。正しくあなたが何者なのか、何ができるのかをちゃんと伝えなければいけません。
新規開拓営業が難しい理由③信じられない
わかってもらえても怪しまれてしまっていては受注に繋がるわけがありません。お客様に信用してもらうために、しっかりと、かつ丁寧な対応をすることが必要です。
▼信じてもらうために出来ることについてはこちらで解説しています。
お客様との関係性を整理すると、営業マンの基本姿勢が見えてくる
ただ、信用してもらうためにまずすべきことは何か。これを考えたときに必要なのは、まずあなた自身が信用しているものであるということです。
つまり、営業マンが自分の会社や商材、ひいては自分自身を信用していなければお客様は信じてくれないのです。
まずは自分にちゃんと自信が持てるように準備を行いましょう。
新規開拓営業が難しい理由④面倒臭い
また新規開拓の壁はもう1つあります。
それは、面倒臭いということです。
新規開拓は営業マンの観点です。お客様からすれば、既存で使っているものからの切り替えになるわけです。
切り替えることは、正直お客様から見ると手間がかかります。
- 上司やメンバーからの理解
- 承認社内申請
- その他その商材に合わせた環境の変化
今使っているものそのままだったら、やらなくてもよいことが発生してしまうのです。
つまり、その面倒臭さ以上のメリット・ベネフィットを提案しなければいけないのです。
▼ベネフィットの提示の仕方についてはこちらで解説しています!
新規開拓営業のアプローチ方法
既存営業の方が効果的とはわかっても、
- そもそも既存顧客を作らなければいけない
- 新規お客様を開拓しなければいけない
このような状況は、誰しも存在します。
特に新人の営業マンなどは、まだ自分でお客様を担当していないので自ら開拓しなければいけないでしょう。
新規開拓営業といっても方法はいくつかあります。
ではここで、新規開拓営業における各方法のメリット・デメリットを整理しておきましょう。
新規開拓のアプローチ方法①飛び込み営業
新規開拓営業の鉄板、飛び込み。
インターネットが普及している現在ですが、BtoC、つまり個人営業などではまだまだこの方法は多く使われています。直接顔を見て話せるので、商材について詳しく伝えられるだけでなく、信用を得やすいと言えます。直接会うため、実物を持っていったり資料を渡したりすることも可能です。
個人営業は、法人と違い相手の連絡先がわからないため、連絡の取りようがありません。そのため、飛び込み営業はまだまだ常套手段なのです。
飛び込み営業のメリットは数を担保できるところにあります。自分が動いた分だけお客様と接点が持てる可能性があるので最初の営業としては効果的です。また顧客接点が持てるのでリサーチなどにも効果があります。
デメリットは、どうしても、営業側都合の営業になってしまうという点が挙げられます。
飛び込み営業されるのが大好きという人に会ったことはありますか?私はありません。そういうことです。
▼飛び込み営業についてはこちらもご参照ください!
飛び込み営業を成功させるための12個のコツと飛び込みがきつい3つの理由
新規開拓のアプローチ方法②テレアポ
続いては、テレアポです。これも新規開拓といえば、という方法ですね。相手の電話番号がわかっていればこのアプローチが多用されます。BtoBの場合、ホームページなどに先方の電話番号が載っているのでテレアポが行われるケースが多いです。
飛び込みよりも効率的に数多くのアプローチができ、かつ、営業マンの架電数分だけアプローチができるのでこれもBtoBの営業ではよく使われます。この手法も直接話せるため、自社商材の魅力を最大限に伝えられることはメリットと言えるでしょう。また商材によっては最初の電話で商品購入や契約につながることもあり、即効性がある点も特徴です。
デメリットは、まず相手の連絡先がわからなければアプローチができないことです。また、飛び込み同様にテレアポをされたいと思っている人はいないでしょう。どうしてもアポイントにつながる率は低くなり、数で稼ぐ手法になります。
新規開拓のアプローチ方法③メール営業
私が多用しているのがメール営業、メールを使ったアプローチです。飛び込みやテレアポは1回につき1人にしかアプローチできません。
しかし、メールは1通の文面を作れば一度に多数の人にアプローチができるという点がメリットです。また、メールの反応を集計すればお客様の反応や興味度も見えてきます。設定した定型文を送るだけなので、時間や人的リソースが不足している企業にはおすすめの方法です。しかし開封率・返信率ともに高くはないので、相手に興味をもってもらえるようタイトルや本文の工夫が必要となります。
デメリットは、直接話をしていないので相手のリアルな反応が見えてこないという点です。また、テレアポ同様リストの取得が必須となります。
新規開拓のアプローチ方法④問い合わせフォームへの問い合わせ
これはBtoB、法人営業に限られてしまいますが、ホームページを持っている相手に対してのアプローチです。
ホームページの多くに問い合わせフォームが付いています。このフォームからアプローチを行うことも可能です。
メールよりも担当者にみてもらいやすい特徴があります。(メールは迷惑メールと混同されがちですが、問い合わせは無下に扱われないため)
しかし、メールと同じようにオンラインでのアプローチですが、メールと違い1回のアプローチで1社にしかアプローチができません。そのため、効率性では落ちます。
▼問合せフォーム営業についてはこちらで詳しく解説しています!
【事例付き】返信率16%、アポ率60%の問い合わせフォームアプローチ成功ノウハウ
新規開拓のアプローチ方法⑤Web施策
- リスティング広告
- Facebook広告
- 資料請求サイトへの出稿
- その他Web広告
Web上での施策は今やごまんとあります。
相手からのリアクションをもらってから(資料請求や問い合わせなど)アプローチを行うため、飛び込みやテレアポのプッシュ型の営業よりも、お客様としっかりとした接点が持ちやすいことが特徴です。
しかし、Web施策には営業人員以外の予算が必要となります。また、Web広告は今や多くの企業が出しているため、最適化ができないと広告予算が垂れ流しになってしまう、というリスクも持っています。うまく使い分けると潜在層・顕在層どちらにもリーチできるため効果的ですが、運用には知識やスキルが必要ですし、競合が多いとなかなか広告が表示されないこともあり、工夫が必要な部類のアプローチ方法です。
新規開拓営業で実務的な4つの苦悩
新規開拓営業の方法を整理してみました。
これだけ方法があるにも関わらず、なぜ新規開拓営業が大変なのかを改めてまとめておきます。
新規開拓営業が大変な理由①リストがない
テレアポやメール営業の部分でも述べましたが、リストがないと営業ができません。新規開拓は、どうしても営業先の確保が最初のステップになります。
このリストアップや営業先の選定にどうしても時間がかかってしまうのです。しかもただリストを作るだけでなく、「質の高いリスト」にする必要があります。「誰に営業するか」という点は、営業において最も重要と言っても過言ではありません。冷蔵庫を買ったばかりの人に冷蔵庫を売り込んでも買ってはもらえませんよね。どこに営業するか、リストは丁寧に選定する必要があるでしょう。
- 情報が新しい
- 自社ターゲットと一致している
- 企業情報が網羅されている
こういったリストになったら、質が高いと言っていいです。担当者の名前はあるけど、5年前の情報だった。人事異動で担当が変わっている可能性も高いですよね。また、先に述べましたが必要ない人に売り込んでも時間が過ぎてしまうだけになります。そして、企業情報や顧客情報は多くあった方がいいです。なぜなら、アプローチ方法が増えるからです。住所と企業名しかないなら、資料を郵送するか飛び込み営業しか出来ません。電話番号・メール・担当者の名前など、知っている情報が多いほど、アプローチには役立ちます。
▼リストの作り方はこちらで解説しています!
悩みの原因は営業リスト。売れる営業先を山のように確保する16の作り方
新規開拓営業が大変な理由②アポイントが取れない
飛び込みやテレアポを受けたことはありますか?いきなり知らない人から連絡がきて、すぐに会いたい。こう思うことは稀でしょう。
あなたも考えてみてください。100回知らない人から電話がかかってきて、会いたいと思いますか?テレアポ率3%とは、その中で3回誰かに会うということです。逆の目線で考えればすごいことです。笑
それだけ新規営業ではアポ取りが難しいのです。
また、「受付担当者が担当者に繋いでくれるか」「担当者の日程都合」等、営業からするとクリアしなければならない壁が複数ある点も難しいと言えます。そもそもアポに対応する相手先も、多忙な業務の合間に対応をしているはずです。彼らは日々忙しい中、あまりよく知らない企業からのアポ打診を簡単には承諾しないでしょう。承諾していただけるか否かは、「自分たちに価値ある製品やサービス、情報を持っていそう」など何かしらのメリットを感じてもらえるかどうかにかかっています。
アポイントが営業フローの中で必須の場合、ここがネックで受注までたどり着けないという営業マンは多いです。
新規開拓営業が大変な理由③ヒアリングができない
新規開拓では、相手のお客様の情報も0の状態からスタートします。これがまた厄介です。相手のことがわからないので適切な提案もできないためです。ヒアリングで得た情報をもとに、その後の提案・提案に対する顧客の反応を受け、クロージング・契約と営業フローは進みます。その最初のタイミングで必要な情報が取得できなければ、その先の流れに影響します。
ヒアリングで十分な情報を得られないということは、繰り返しですが相手を「知らない」と言えるでしょう。相手が欲しがるものが分からなければ、相手が興味を持つ提案も出来ないですよね。刺さる提案ができなければ受注につながらず、営業目標の達成に近づくことは難しくなります。
しかし、初めて会う人、まだ取引もなく信用できるか否かわからない人に対して、自分のことを赤裸々に伝えようと思う人がいないのも事実です。
「相手のことを知りたい」というのは、あくまで営業の都合です。そこにまた、営業とお客様との間に壁があると言えるでしょう。
ヒアリングするためには、そもそも質問に答えてもらえるような信頼関係が必要です。よくBANT情報を聞き出すなんて言いますが、初対面の人に「いくらなら払えますか」なんて予算を聞いたところで、答えてもらえないことの方が多いです。実際に「貯金いくらですか?」なんて知らない人から聞かれたくないですよね。BANT情報を聞き出すためにも、まずは信頼関係が必要です。信頼関係を築くために必要なポイントについては後述します。
▼ヒアリングについてはこちらで解説しています!
ヒアリング力を格段に向上させるたった1つのコツと7つのアクションと4つの質問フレームワーク
新規開拓営業が大変な理由④決裁のフローがわからない
ヒアリングもできて、提案もできたとしましょう。
しかし、それでも受注にならないということは起こります。特に法人営業では。
その理由は、決裁フローをちゃんと把握できていないからです。
一生懸命営業したのに、そもそもその人に決める権利はなかった。そして結局上長に相談したタイミングでNGになっていた……。というのはよくある話です。
▼決裁権がない人と打ち合わせする際、出来ることについてはこちらで解説しています!
どこが原因で新規開拓営業が進まないのか整理する
新規開拓営業では、自分が今どこで止まっているのかしっかりと把握しながら営業を組み立てていかないと、いつまでたってもうまくいきません。
そこで、リスト→アポイント→ヒアリング→クロージングというそれぞれのステップのうち、どこでいつも止まってしまうのかをしっかりと把握することが大切です。
受注が取れない=アポが少ないという発想で営業をしている人・組織は少なくありません。もちろん、アポイントが多いに越したことはありませんが、フローをちゃんと見直さなければ、いつまでたっても頑張りに見合った成果は得られません。
また、その時には必ず数字で管理してください。
▼無理しない数字の達成方法についてはこちら
「頑張ります」をやめて、確実に営業数字・営業目標を達成する方法
数字で改善ポイントをより早く把握し、そこから改善を重ねていけば、必ず成果は出るようになります。
新規開拓営業で行うべき具体的アクション
最後に、新規開拓営業でお客様と接触する時に、実際に私がやっているアクションをご紹介したいと思います。
新規開拓営業に必要なこと①自己紹介を丁寧に行う
まずは自己紹介をします。
会社でも、サービス紹介でもなく、まずは自分が何者なのかをしっかりと伝えましょう。
私の場合は、過去の経歴などを話すことが多いです。
- 「元々新卒で派遣会社でして」
- 「前職ではゴリゴリの営業会社だったんです」
こういった話をすると、相手も「大変な経験をされてますね」なんて言ってくれたりします。そうなると、私への相手の見方が少し変わってくるのです。少なくとも「全く知らない人」ではなくなります。
ここでいきなり商材の売り込みを始めてしまうと、お客様は一気に心の壁を発動させます。要注意です。
新規開拓営業に必要なこと②他己紹介を行う
次に行うべきは、目の前の企業や相手の他己紹介です。
そうはいってもヒアリングもしていないので詳しくはできません。しかし、持っている情報で他己紹介をするのです。
例えば、法人であれば、ホームページやネット、新聞に色々と情報が出ています。
- 「御社って、こんなことされてるんですね」
- 「御社では、今新規事業を取り組まれているのを
新聞で拝見しましたよ」
個人の場合、本人の周りの情報を紹介することも有効です。
- 「素敵なご自宅ですね。庭が素敵です」
- 「駅まで近くていいですね」
こんな感じで、相手のことをさりげなく紹介することで「あなたのことを知っています」ということを伝えるのです。
全く自分のことを知らない人から提案されても、相手の心には刺さりません。そこで、その状況を避けるために自分はあなたのことを「少しですがわかっています」ということを示すのです。
新規開拓営業に必要なこと③小さなYesを積み重ねる
いきなり本質的な質問をしても相手も答えられません。
また営業を受けた相手は、営業に何かを伝えようと思って呼んだわけではありません。むしろ逆で、営業から何かを聞こう、提案を聞こうと思って、アポイントを取っています。
それにも関わらず、いきなり色々と質問されてもうんざりしてしまうのは当たり前です。
そこで、当たり前の質問を少しずつ投げかけながら、相手との距離を近づけていきます。
例えば、
- 「売上あげたいですよね」
- 「経費落とせたら、いいですよね」
というような、当たり前の質問を投げかけていくのです。ほぼ間違いなく、Yesが帰ってくるはずです。
言わなくてもわかる、ではなく、こういったことの確認から話を進めていくことが大切なのです。
新規開拓営業に必要なこと④アドバイスや事例を紹介する
営業=売り込みと思っているとどうしても商材の説明ばかりに一生懸命になりがちです。
しかし、相手からすれば商材はなんでも良いのです。そこから得られる結果が大切です。
そのイメージを嫌味なく感じてもらうためには、相手の状況を元にアドバイスをしたり近い事例を紹介したりすることがオススメです。
こうすることで、あなたの提案から何が得られるか具体的にイメージができるからです。
新規開拓営業に必要なこと⑤質問や提案の許可をもらう
先ほどお伝えした通り、お客様はあなたからの話を聞くためにアポイントの時間を取っています。しかし、いきなり話を始められても売り込まれると思って怯えてしまうものです。
そこで、提案やヒアリング・質問の前に一言伝えましょう。
- 「ちょっと質問させてもらってもいいですか」
- 「弊社の商材について、説明させてもらってもいいですか」
この一言を伝えるだけで、相手の印象はガラッと変わります。また、相手も聞く体勢ができるので是非一言入れてください。
新規開拓営業を成功させるポイント
新規開拓営業=テレアポ、飛び込みではなく、自分が誰に会うのかをしっかりと整理することから始めましょう。
自分がアプローチする人によって、使うべき方法は変わってきます。
また実際に営業を進めていく中で、どこで営業が止まってしまっているのかここもしっかりと把握しましょう。
新規開拓営業は、どうしても気合いと根性論でとにかく量をこなせとなりがちです。しかし、しっかりと検証してやるべきことをやればより効率的に、多くの新規受注を獲得できます。
まずは自分の見直しから始めてみてください。
▼新規開拓営業についてはこちらも参考に!
この記事の監修者
株式会社営業ハック
代表取締役
笹田 裕嗣
営業代行事業を始め、「売れる営業組織」へと変革するためのあらゆる支援を行っています。
弊社独自のセールスメソッドを用いて、停滞する営業組織の改革から新規営業組織の立ち上げまでトータルでサポートいたします。今までご支援させていただいた企業数は100社を超え、主に中小・零細企業のあらゆる業種で成果を出し続けています。